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2018年のザ・ラグビーチャンピオンシップは、第3節を終え、ニュージーランド代表オールブラックスが圧倒的な強さを見せつけている。8月18日、開幕戦ではシドニーに乗り込んでオーストラリア代表ワラビーズに38-13で快勝。続く8月25日には、ホームのオークランドでワラビーズを迎え撃ち、40-12と第1戦と同じく6トライを奪い、両国の伝統の定期戦にかかる「ブレディースローカップ」を16年連続の保持を決めた。この試合では、SOボーデン・バリットが卓越したランニングスピードを見せつけて4トライを含む30得点をあげている。
9月8日に行われた第3戦では、ニュージーランド南島のネルソンで、アルゼンチン代表プーマスと対戦。プーマスは、第2節で南アフリカ代表スプリングボクスを破っており、その試合内容が注目されたが、終わってみれば46-24という危なげのない勝利だった。この試合のオールブラックスは、ボーデン・バレットに代えてSOにリッチー・モウンガを初先発させた。スーパーラグビーを制したクルセイダーズで活躍ぶりから、モウンガに対する期待感が高まっていたが、スーパーラグビーほどの輝きは見せられなかった。それでも、2PG、5ゴールをしっかり決めている。怪我で戦列を離れていたWTBネヘ・ミルナースカッダーが約1年ぶりに復帰。1キャップのFLシャノン・フリゼルが何度もラインブレイクし、3キャップのCTBジャック・グッドヒューが6トライ目を決めるなど新しい力も活躍し、選手層はますます厚くなっている。
オールブラックスは各試合で6トライをあげ、ボーナス点を含む満点の3連勝で勝ち点は15。他の3チームはすべて1勝2敗で、勝ち点6のスプリングボクスが2位につけ、勝ち点4のプーマスとワラビーズは得失点差でプーマスが3位になっている。試合内容を表すスタッツ(統計数値)でも、オールブラックスは他チームを圧倒。スクラム成功率=100%、ラインアウト成功率=85.7%、タックル成功率=85.8%で、いずれも1位。ボールを持って進む「キャリーメーター」は、2,141mで、2位のプーマスの1,319mを大きく引き離している。セットプレーの安定、強固なディフェンス、そしてグラウンドのどこからでも攻めることができる抜群の攻撃力。第4節以降、オールブラックスが敗れる姿を想像するのが難しいほどだ。
スプリングボクスは第1節でプーマスを34-21で破る好スタートを切ったが、第2節ではアウェイでプーマスに19-32で敗北。簡単なPGを外すなど精彩を欠いたSOハンドレ・ポラードは、第3節のワラビーズ戦では控えに回り、SOエルトン・ヤンチースが先発。アウェイ(ブリスベン)で勝利を目指したが、終盤の猛攻も届かず、18-23で敗れた。ただし、内容は互角でメンバー編成もさまざまにテストしており、この後、チーム力を上げてきそうだ。
ワラビーズは、ラウンド3ではNO8デヴィッド・ポーコックが首の怪我で、FBイズラエル・フォラウも万全ではなく欠場した。FW、BKの軸が不在だったわけが、スプリングボクスに対して、万能BKのカートリー・ビールをSOで起用してなんとか勝利を収めた。6月にアイルランド代表に負け、オールブラックスに連敗していたが、連敗を4で止めたことになる。オールブラックスには完敗したものの成長を感じさせるのがプーマスだ。FWはどのチームとも互角に戦い、ベテランFBホアキン・トゥクレは怪我で今季絶望だが、23歳のエミリアノ・ボフェリが変則的なステップでディフェンスを翻弄し、WTBラミロ・モヤノも決定力を見せつけ、29歳のSOニコラス・サンチェスもベストの状態に戻りつつある。
9月15日は、オールブラックス対スプリングボクス、ワラビーズ対プーマスが行われる。それぞれが3試合を経て、組織プレーの質は高くなるだろう。スプリングボクスとプーマスの挑戦が楽しみだ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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