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8月18日(土)、2018年のザ・ラグビーチャンピオンシップ(TRC)が開幕する。TRCは、ニュージーランド(NZ)、オーストラリア(AUS)、南アフリカ(SA)、アルゼンチン(ARG)によって行われる南半球最高峰の国代表選手権だ。昨年は各チームとホーム&アウェイで戦い、NZが6戦全勝で15度目の王座に就いた。NZの全勝優勝は2年連続で、この無敵の王者に土をつけるチームが現れるのかどうかは今年の大きな見どころだ。
最初に対戦するのは、タスマン海をはさんだ隣国同士のNZ代表オールブラックス対AUS代表ワラビーズ。シドニーのANZスタジアムで午後7時45分(現地時間)にキックオフされる。この試合は、両国による伝統の定期戦ブレディースローカップも兼ねる。1930年代にニュージーランド総督であったブレディスロー卿がカップを寄贈したことでその名を冠するようになった。今年は、10月27日に横浜の日産スタジアムで行われるので日本のファンの皆さんの関心も高くなるだろう。日本で行われる試合も含めて、両国は今年3試合を行い、勝ち越したチームにカップが渡ることになる。2003年からはオールブラックスがカップを保持し続けているが、昨年10月21日には23-18でワラビーズが勝っている。はたして、ワラビーズがホームの今回はどうなるか。
オールブラックスは、109キャップのNO8キアラン・リードがキャプテン。PRは、オファ・トゥウンガファシが怪我のため、ティム・ペリーがリザーブ入り。もし、出場すれば、30歳でのテストマッチ(国代表同士の試合)デビューとなる。アウトサイドCTBには先発2試合目となるジャック・グッドヒューが入った。クルセイダーズでもコンビを組むライアン・クロッティと12、13番で並ぶ。グッドヒューは安定感あるプレーが売りだが、来年のラグビーワールドカップに向かってオールブラックス定着をアピールできるか。
LOサム・ホワイトロックはこの試合でNZ史上8人目の100キャップを獲得する。久しぶりに代表復帰のブロディー・リタリックと47試合目のLOコンビでの登場だ。誰が10番を背負うのか注目されていたが、スーパーラグビーを制したクルセイダーズのリッチー・モウンガではなく、ボーデン・バレットが先発する。モウンガの台頭もあり、2年連続世界最優秀選手の実力を見せつけたい。
対するワラビーズは、キャプテンのマイケル・フーパーが6月の怪我から復帰し、ボールハンターのNO8デヴィッド・ポーコック、198cm、121kgのパワフルFLラカン・ツイという強力なFW第三列を組む。オールブラックスのキアラン・リード、FLサム・ケイン、リアム・スクワイヤーというFW第三列とのボール争奪戦での攻防は凄まじいものになりそうだ。
HB団は、SOウィル・ゲニア、SOバーナード・フォーリーのベテラン。CTBはカートリー・ビールとリース・ホッジのコンビ、最後尾は不動のFBイズラエル・フォラウが固める。フォラウは、オールブラックスと戦った15試合で6トライをあげている。HOはイングランドのレスター・タイガース所属のタタフ・ポロタナウ。いつものようにハンマーで叩くようなタックルを連発するだろう。豪華メンバー同士の戦いは、初戦からタフなものになりそうだ。
同日、南アフリカのダーバンで行われるのは、SA代表スプリングボクス対ARG代表プーマスだ。スプリングボクスは、6月のテストマッチシリーズでイングランドに2勝1敗と勝ち越し、ラシー・エラスマスヘッドコーチの評価は高まるばかり。6月には17名の新たな選手が代表デビューし選手層も厚くなった。FLシア・コリシがキャプテンを務め、6月は怪我で欠場した主力選手の4人、HOマルコム・マークス、LOエベン・エツベス、FLフランソワ・ロー、NO8ワーレン・ホワイトリーが戻ってきた。エラスマスヘッドコーチも、攻守の要になる彼らの復帰を喜ぶが、プーマスの地力アップを警戒する。
プーマスは、元代表HOのマリオ・レデスマが新ヘッドコーチとなった。レデスマヘッドコーチは今年のスーパーラグビーでは、ほぼプーマスで固めたジャガーズを率い、参戦3年目で初のプレーオフ進出を成し遂げた。スーパーラグビーで活躍したWTBバウティスタ・デルギー、FBエミリアノ・ボフェリ、ジャガーズのキャプテンFLパブロ・マテーラも先発。スプリングボクスに対しても、立ち上がりからアグレッシブに仕掛けるはずだ。昨年のTRCではスプリングボクスに連敗。プーマスの2016年以来の勝利はなるか。
どのチームも2019年のラグビーワールドカップに向かってチーム力を上げ、自信をつけたい時期だ。2018年のTRCのオープニングを飾る2試合も見る者の胸を躍らせる内容を期待したい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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