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2月17日に開幕したスーパーラグビー2018もいよいよ決勝戦を迎える。8月4日(土)、ニュージーランド(NZ)南島クライストチャーチで対戦するのは、連覇に王手をかけた地元クルセイダーズと、悲願の初優勝を狙うライオンズだ。NZと南アフリカ両カンファレンスの1位同士の戦いは昨シーズンの決勝と同じ顔合わせだ。昨年は、ライオンズの地元ヨハネスブルグで行われ、14-8でクルセイダーズが勝ち、9年ぶりの8度目の優勝を飾った。
スコット・ロバートソンヘッドコーチ就任2年目のクルセイダーズは、レギュラーシーズンを14勝2敗の好成績で駆け抜けた。キャプテンのLOサム・ホワイトロックを筆頭に「ほぼオールブラックス」の強力FWで圧力をかけ、今年オールブラックス入りを果たしたSOリッチー・モウンガの好リードでトライの山を築いてきた。プレーオフに入ってもその戦いは盤石だ。準々決勝で南アフリカ3位のシャークスを40-10で下すと、準決勝ではNZ2位のハリケーンズを30-12で破った。ハリケーンズの才能あふれるBK陣の持ち味を出させなかった鉄壁のディフェンスは今季の充実ぶりを強く印象付けるものだった。
対するライオンズは、負傷者が多かったこともあって、レギュラーシーズンは9勝7敗と苦しんだ。しかし、プレーオフに入ってからは、強力スクラムとラインアウトからのモールでスコアする得意のスタイルで、アルゼンチンのジャガーズを40-23、オーストラリアのワラターズを44-26で破って3年連続の決勝進出を果たした。過去2年は準優勝を終わっており、今年こその思いは強い。攻守に際立つのはHOマルコム・マークスだ。タックル後の相手からボールを奪うジャッカルは、しばしば試合の流れを変える。また、180㎝の小さなFLクワッガ・スミスは、密集サイドを爆発的なスピードで駆け抜けてトライをあげるなど、調子を上げている。クルセイダーズにとって脅威になる2人だ。
2008年以来、ホームでの決勝戦を迎えたクルセイダーズは、準決勝から先発で1名のメンバー変更。怪我のジョーダン・タウファに代えて、ヘイデン・ベドウェル=カーチス(188㎝、104㎏、27歳)が先発する。マオリオールブラックスの経験もあり、今季は13試合に出場している。堅実なタックラーだ。ライオンズは、先発2名の変更。FLローレンス・エラスマスから安定感あるカイル・ブリンク、WTBは、準決勝では怪我で退場したアピウェ・ディアンティに代わって経験豊富なコートナル・スコーサンが入る。ディアンティはリザーブ席に座る。
ここまでの戦いぶりを見ていると、クルセイダーズが圧倒的に優位に見える。相手ディフェンスに対応して、タックルを受けにくい位置に次々にパスを出し、走り込んでくる攻撃は止めるのが難しい。セットプレーの安定、隙のない組織ディフェンスもあり、卓越したプレーメイカーであるモウンガは試合を追うごとに判断の精度を上げているように見える。しかし、誰もが一方が優位と思ったときほど番狂わせは起きるものだ。クルセイダーズがメンタル面で甘く入ってしまえば取り返しのつかないことになるかもしれない。ライオンズとしては、スクラムで勝り、相手陣深くに入ってのラインアウトの回数を増やしたい。セットプレーの多い展開になれば勝機はある。
個人賞争いでは、クルセイダーズのWTBジョージ・ブリッジがここまで15トライで、トライランキングの2位。1位のベン・ラム(ハリケーンズ)は16トライでシーズンを終えた。同数でのトライ王か、17トライというスーパーラグビー新記録を達成するのか、ブリッジにも注目だ。また、まもなく開幕する日本のトップリーグに加入する選手も出場する。クルセイダーズのFLマット・トッド(パナソニック)、ライオンズのFLクワッガ・スミス(ヤマハ発動機)、CTBハロルド・フォースター(パナソニック)だ。どの選手も各ポジションでスーパーラグビー屈指の実力者だ。トッドとスミスのボール争奪戦でのマッチアップは凄まじいものになりそうだ。トップリーグと重ねながらスーパーラグビー決勝戦を楽しめる日本のファンの皆さんは幸せかもしれない。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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