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観客を魅了するプレーが次々に飛び出すラグビーを見せてくれそうな気がする ヒトコム サンウルブズ vs. チーフス プレビュー
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一今週末は、スーパーラグビー2018第6節の6試合が開催される。サンウルブズは、南アフリカツアーから帰国し、3月24日(土)、東京・北青山の秩父宮ラグビー場で、ニュージーランドのチーフスを迎え撃つ。チーフスと言えば昨年まで3シーズンにわたって日本代表のリーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス)が所属し、神戸製鋼コベルコスティーラーズのPR山下裕史もプレーしたチームだ。また、現在も東芝でプレーしたFLリアム・メッサム、リコーでプレーしたティム・ナナイ=ウィリアムズが所属する。日本のファンの皆さんには馴染み深いチームだ。
チーフスは今季ここまで3戦して2勝1敗。初戦となった第2節でディフェンディング・チャンピオンのクルセイダーズに23-45で完敗したが、その後は連勝。勝ち点は「8」でニュージーランドカンファレンスでは5チーム中4位。しかし、3位はチーフスより1試合多いクルセイダーズ(2勝2敗10点)で悪くないスタートと言えるだろう。
長年チームを引っ張ったSHタウェラ・カーバロー、SOアーロン・クルーデンというオールブラックスのハーフ団が渡仏したが、大きな戦力ダウンは感じない。SHにはオールブラックスのブラッド・ウェバーが安定しており、SOは昨季までは主にFBで活躍していたダミアン・マッケンジー、その兄マーティー・マッケンジー、昨季のU20ニュージーランド代表SOティアーン・ファルコンがポジションを争う。いずれも小柄だが、正確なスキルと的確な判断力でBKラインを動かしてくる。
特にダミアン・マッケンジーは、175cm、81kgという小さな体で、オールブラックスに選出された天才肌のランナーだ。今季も、SO、FBの両方でプレーしながら「ディフェンス突破」、「クリーンブレイク」の数でトップ10入りしており、瞬時の加速と鋭角的なステップワークはサンウルブズにとっても脅威になる。BKラインはオールブラックス22キャップのCTBアントン・レイナート・ブラウンが攻守の軸になるが、196cm、99kgのWTBソロモン・アライマロ(22歳)の突進力は図抜けており、出てくれば怖い選手だ。
FW陣は、BK並みの走力を誇るHOネイサン・ハリス、204cmの長身LOブロディー・レタリック、苦しい時にこそ体を張ってチームを勇気づけるFLサム・ケインらオールブラックを経験者が軸。前節は南アフリカのブルズに一時7-21とリードされながら、あわてず追いつき、最後は41-28で勝った。ディフェンスでは簡単に抜かれるシーンが目立ったが、攻撃面では決定力を見せつけた。南アフリカ、オーストラリアのチームと比べてボールを動かすスピードが速く、ディフェンスラインを突破し、一気にトライまで走り切る能力が高いのだ。サンウルブズの組織ディフェンスがほんの少しほころびを見せるだけで、あっという間にトライされてしまうだろう。
サンウルブズとしては、前節のライオンズ戦同様、ディフェンスライン全体で前に出てプレッシャーをかけ続けたい。今季苦しんでいるラインアウトの修正が急務だが、ライオンズ戦ではゴールラインを背負ったラインアウトという苦しい場面が多く、不用意な反則、ミスで、自陣深く入られないような戦いが求められる。チーフスを4トライ以内に抑えることができれば勝機が見えてくるはずだ。
本稿執筆時点でメンバーは未定だが、ライオンズ戦で圧倒的な突破力を見せつけたのが、WTBホセア・サウマキで、10回のボールキャリーで、168mを前進。両軍の選手全員の中で唯一の100m越えを余裕でクリア。CTBマイケル・リトルもボールを持てば確実に前に出ており、WTBレメキ ロマノ ラヴァ、FB松島幸太朗らランニングスキルの高い選手たちが、チーフス相手にどんなパフォーマンスを披露してくれるのか楽しみだ。また、リーチ マイケルは、昨年まで所属したチームとの対戦に燃えているだろう。
リーチ対メッサム、リーチ対ケインのマッチアップも注目。もちろん、サンウルブズの今季初勝利が見たいが、今の両チームであれば、観客を魅了するプレーが次々に飛び出す、その名の通りの「スーパーラグビー」を見せてくれそうな気がする。チーフスのダミアン・マッケンジーがプレースキッカーを務めた場合は、狙いを定めるときのあの「微笑み」が秩父宮ラグビー場のスクリーンに映し出され、ファンを喜ばせてくれるだろう。こちらも必見。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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