WRC王者から将来のF1ドライバー候補まで……スーパーフォーミュラ鈴鹿ルーキーテストは見どころ満載！

ルーク・ブラウニング

11月23日に2025シーズンが終了した全日本スーパーフォーミュラ選手権だが、早くも2026年に向けて動き始める。その最初となるイベントが12月10日（水）～12日（金）に鈴鹿サーキットで開催されるシーズンオフの公式テスト／ルーキーテストだ。

12月5日に日本レースプロモーションから参加ドライバーの一覧（暫定版）が発表され、総勢33名ものドライバーが参加予定。今年も注目のドライバーたちがやってくる。

なかでも日本のみならず世界的に話題となったのが、カッレ・ロバンペラだ。

カッレ・ロバンペラ

世界ラリー選手権（WRC）で2年連続チャンピオンに輝いたが、今季限りでラリー界世界最高峰の舞台から離れることを発表。それと同時に、来シーズンのスーパーフォーミュラ参戦を表明した。現在25歳の彼は、次なる目標としてF1を掲げているとのこと。それを実現するためにも、スーパーフォーミュラの参戦はかなり重要なものとなるだろう。

サーキットレースの経験は、ラリーほど豊富ではないがポルシェ・カレラカップ・ベネルクスでは優勝経験もあるとのこと。スーパーフォーミュラ参戦に向けて、旧型のF2マシンでテストドライブしているところも公開されている。

とはいえ、スーパーフォーミュラでいきなり結果を出すというには、かなり難しい上に、最初のルーキーテストでどこまで経験を積めるかが重要となる。まだ、どのチームから参戦になるのか発表にはなっていないが、今回はKids com Team KCMGから参加。まずは初めてのスーパーフォーミュラと鈴鹿サーキットでどんな走りをみせるのか、かなりの注目を集めそうだ。

その次に注目なのが、2日目・3日目にKONDO RACINGの4号車をドライブする予定のルーク・ブラウニングだ。ウィリアムズアカデミードライバーの一員で今季はFIA-F2に参戦し、ランキング4番手（カタール ラウンド終了時点）につけている。

ルーク・ブラウニング

さらにシーズン中はF1のフリー走行1回目にも出走。今回もアブダビでのF1シーズンオフテストに参加した後に来日し、スーパーフォーミュラをドライブすることになるようだ。

彼も今後は要注目のドライバーで、2027年以降はF1へのステップアップ候補の1人と言われているほか、来季のスーパーフォーミュラ参加の噂もある。それだけに今回のテストは目が離せない存在だ。

ブラウニングは2023年のマカオグランプリ王者でもあるが、「マカオGP」関連で昨今活躍したドライバーも今回のテストに参加する。まずはフォーミュラ・リージョナル規格になってから初のマカオGPウィナーとなったウーゴ・ウゴチュクウも参加することが発表されたほか、今年のマカオGPで優勝最有力候補と言われたフレディ・スレイターもテスト走行に臨む。

2人とも来季はFIA-F3参戦が決まっているが、将来F1に参戦した時に備えて鈴鹿サーキットを経験しておくことが主な目的なようだ。難攻不落のマカオ ギアサーキットで速さをみせ、今後はF1ドライバー候補になっていきそうな2人が鈴鹿に挑む姿も注目だ。

そして、このテストからTEAM GOHがスーパーフォーミュラに復活し、1台体制で走行することになる。そのドライバーにはチャーリー・ブルツが選ばれた。元F1ドライバーで、WECでもトヨタ陣営の一員としてドライブ経験のあるアレクサンダー・ブルツの息子で、フォーミュラ・リージョナルのオセアニアやヨーロッパの選手権で活躍し、今季はFIA F3に参戦。11月にはマカオGPも経験した。

こちらも初のスーパーフォーミュラのマシンと鈴鹿サーキットという舞台をどう攻略するのか、楽しみなところだ。

こうしてまとめてみたものの、SF初走行となる海外ドライバーを紹介するだけでも、これだけのボリューム。それだけ、今のスーパーフォーミュラが海外のドライバーたちから興味関心が高いということの表れなのだろう。

国内ルーキー勢も、今後活躍が期待される選手が多数参加

野村勇斗

もちろん、海外ドライバーだけでなく、日本人ドライバーも今後の躍進が期待される選手や、SUPER GTで活躍しているドライバーが多数参加する。

特に興味深いのが、直下のスーパーフォーミュラ・ライツで今季12勝を挙げてチャンピオンに輝いた野村勇斗、日本のフォーミュラ・リージョナルで王者となった梅垣清、そしてFIA-F4でタイトルを手にした鈴木斗輝哉と、スーパーフォーミュラを目指す上での登竜門となるカテゴリーで今季チャンピオンを獲得した3人のドライバーが参加する。

3人とも初めてのトップフォーミュラのマシンということで、そこに慣れながらの走行になると思うが、この経験が今後必ず活きるだろう。

さらにSUPER GTのGT500クラスで活躍する名取鉄平はKONDO RACINGで1日目のみ参加。同じく大草りきは、3日目にPONOS NAKAJIMA RACINGの64号車をドライブする。

名取鉄平

その他にも2度目の参加となる小山美姫や、スーパーフォーミュラ復帰が決定した松下信治もテストに参加することが決まっている。

それぞれ、レギュラー陣営に対してどこまでタイム差を縮めることができるかも、見どころのひとつだ。

こうして話題の多いスーパーフォーミュラ合同／ルーキーテストをJ SPORTSでは全セッションLIVE配信予定。現地に行くことができなくても、テストの様子を追いかけることができる。

文：吉田 知弘