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【プレビュー】日産、ローランドが体制強化を図ったライバルを迎え撃ち、連覇を狙う。 | FIA フォーミュラE世界選手権 2025/26 第1戦 サンパウロ
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシFIA フォーミュラE世界選手権 2025/26 第1戦 サンパウロ プレビュー
電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE世界選手権」のシーズン12(2025年〜26年)がいよいよ開幕します。今季は年末のサンパウロ(ブラジル)から8月中旬のロンドン(イギリス)まで、10カ国、11箇所のコースを転戦する史上最多17戦が設定されました。東京大会「Tokyo ePrix」は7月末の第14戦、第15戦のシーズン終盤に設定されており、日本国内でもこれまで以上に注目されることになるでしょう。
今季も「J SPORTS」では「フォーミュラE世界選手権」を生中継。今回は2025年12月6日(土)にブラジルで開催される開幕戦「SaoPaulo ePrix」のプレビューと共に新シーズンの見どころをご紹介しましょう。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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FIA フォーミュラE世界選手権 2025/26 第1戦 サンパウロ(ブラジル) 予選
配信期間 : 2025年12月6日午後9:25 ~
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FIA フォーミュラE世界選手権 2025/26 第1戦 サンパウロ(ブラジル) 決勝
配信期間 : 2025年12月6日深夜1:30 ~
アップデートされた新規定のマシン「Gen3 Evo」、新ルールの「ピットブースト(ピットインでの急速充電)」が導入され、フォーミュラカーレースとしてより魅力が増したシーズン11(24年-25年)は日本国籍チーム「ニッサン」が大活躍したシーズンとなりました。エースドライバーのオリバー・ローランド(ニッサン)が4勝をマークして前半戦を圧勝し、後半戦もクレバーなレース運びで初のドライバーズチャンピオンを獲得。東京大会「Tokyo ePrix」での大接戦を制しての優勝もインパクト絶大でした。
チャンピオンとして連覇を狙うオリバー・ローランド(ニッサン)はまず最も注目すべきドライバーでしょう。ただ、「ニッサン」は昨シーズン、チームチャンピオンとパワートレイン製造会社のマニュファクチャラーズチャンピオンはポルシェ陣営に奪われました。今季はニッサンのパワートレインを使っていた「マクラーレン」がフォーミュラEから撤退し、ワークスチーム「Nissan Formula E Team」だけが孤軍奮闘せざるを得ない状態になってしまっています。3チームがパワートレインを使用するポルシェ陣営に対しては数の原理からすると明らかに劣勢となります。
「ニッサン」はオリバー・ローランド、ノーマン・ナトの2人で変わらずですが、ポルシェ陣営にはドライバーラインナップの変化があります。まず、「ポルシェ」ワークスチームはシーズン10王者のパスカル・ヴェアラインに加えて、ニコ・ミュラーがアンドレッティから移籍。「アンドレッティ」はシーズン9王者のジェイク・デニスが残留し、2022年FIA F2王者のフェリペ・ドルゴビッチが加入。「クプラ・キロ」は昨年初優勝を達成したダン・ティクトゥムのチームメイトに、今年FIA F2に参戦していた若干20歳のドライバー、ペペ・マルティを起用します。F2で活躍した血気盛んなルーキー2人を大胆起用するというニッサン陣営とは異なるチーム体制になっています。
ルーキーの起用は来季以降に新型マシン「Gen4」が導入されることにヒントがあると考えられます。「Gen4」は最大出力が600kW(816馬力)と現行の350kW(469馬力)から比べると大幅にパワーアップ。さらにマシンも大型化し、より「電気自動車のF1」と呼ばれるに相応しいスペックになります。ラップタイムの向上は当然であり、来季以降はF1に乗れる実力を持った若手ドライバーたちがその速さをより活かせるレースになるからです。若手にとってはそれを前にした準備の1年でもあります。
テイラー・バーナード
若手の注目株という意味では昨シーズン大成功をおさめたテイラー・バーナードを忘れてはいけないでしょう。ニッサンパワートレインの「マクラーレン」でルーキーながら合計5回の表彰台、2回のポールポジションを獲得。次々に最年少記録を塗り替えてきた21歳です。今季は「マクラーレン」の撤退により、ステランティスグループのトップチーム「DSペンスキー」に移籍します。
ステランティス陣営を見てみると、「DSペンスキー」にマキシミリアン・ギュンターが継続して、バーナードが新加入。そしてマセラティからブランド変更して参戦する「シトロエン」に2度のチャンピオン、ジャン・エリック・ベルニュが移籍。さらにジャガーで昨シーズン年間2位となったニック・キャシディが移籍してきました。「DSペンスキー」はとにかく爆発的な速さが魅力の2人、「シトロエン」は着実に結果を残せる2人というラインナップです。
一方、キャシディが離脱したジャガー陣営はワークスチーム「ジャガー」はミッチ・エバンスが今年も継続参戦し、そこにシーズン6王者のアントニオ・フェリックス・ダ・コスタが移籍するというベテラン2人のラインナップに変更。ジャガーパワートレインを積む「エンビジョン」はベテランのセバスチャン・ブエミが継続で、ルーキーのジョエル・エリクソンが加入しました。
ドライバー布陣が変わっていないのは「マヒンドラ」(ニック・デ・フリース/エドアルド・モルタラ)、「ローラ・ヤマハABT」(ルーカス・ディグラッシ/ゼイン・マローニ)の2チームのみで今季もフォーミュラEはかなりリニューアル感の強いシーズン開幕となります。ドライバーラインナップを覚えるのが大変そうですね。
開幕戦ブラジル「SaoPaulo ePrix」のコースは1周約3kmで、ストレート3本が主体となったシンプルなストップアンドゴーレイアウト。Gen3 Evoではスリリングな駆け引きによるオーバーテイク合戦が展開され、昨年の決勝ではトップ10人の内6人がトップ10圏外のグリッドからのスタート。優勝したミッチ・エバンス(ジャガー)はなんと最後尾22番グリッドから全車を抜いての優勝でした。これまでのリザルトでは一発の速さではニッサン勢、ポルシェ勢が速く、決勝ではジャガー勢が強さを見せており、初開催の2023年はミッチ・エバンス(ジャガー)の優勝だけでなく、ジャガーパワートレインが表彰台を独占しました。
昨シーズン後半にキャシディの3連勝で復調した印象のある「ジャガー」がブラジルでまたも速さを見せるのか、それとも意外なルーキーや若手が上位に来るのか、毎年のことながら蓋を開けてみるまで分からないのがフォーミュラEの面白さでもあります。12月6日(土)のワンデー開催で日本での放送は深夜の深い時間帯になりますが、要注目の闘いとなるシーズン12の開幕戦を楽しみましょう。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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