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モーター スポーツ コラム 2025年11月21日

異例の鈴鹿3連戦、2025スーパーフォーミュラ王者争いの行方は?

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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現在ランキングTOP、3連覇を狙う坪井翔

11月に入って国内外の各カテゴリーもシーズンエンドを迎えるなか、スーパーフォーミュラも11月22日(土)・23日(日)の鈴鹿大会で最終戦を迎える。当初は第11戦と第12戦の2レース開催として予定されていたが、10月の第10戦富士が濃霧によりキャンセルになり、その代替レースを鈴鹿のレースウィークに実施することが決定。このため2日間で3戦をこなすという超ハードスケジュールで2025年のスーパーフォーミュラチャンピオンが決まることになる。

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まずは、変則スケジュールということで、週末の流れをおさらいしていく。
【11月21日(金)】
11:05~12:05 フリー走行1
14:10~15:10 フリー走行2
【11月22日(土)】
8:00~8:42  第11戦の公式予選
10:05~10:47 第12戦の公式予選
14:30~    第11戦決勝レース(27周/10周目以降にタイヤ交換義務あり)
【11月23日(日)】
9:50~    第10戦決勝レース(19周/タイヤ交換義務なし)※グリッドは10月に富士スピードウェイで行われた予選で決定したものを採用。
14:30~    第12戦決勝レース(31周/1周目以降にタイヤ交換義務あり)

こうして見ると、全体の周回数はもちろん、3レースともにタイヤ交換義務の有無やそのタイミングがバラバラということで、戦略面でも臨機応変な対応が求められそう。とはいえ、今回の舞台は鈴鹿ということでレース中のオーバーテイクが難しい上に、寒い時期の開催ということで、夏場と比べてタイヤの摩耗も少なくなることから、全体的に早めにタイヤ交換を済ませる戦略が主流になることも予想される。

そうなると、土曜日の午前に集中している2回の予選が大きなターニングポイントになってきそうだ。
いずれにしても、何が起こるか分からない最終大会。2日間とも一瞬たりとも目が離せない展開になるだろう。

最終大会が3連戦になったこともあり、数字上では6人のドライバーにチャンピオン獲得のチャンスが残っているが、実質的にはランキング首位で104.5ポイントを獲得している坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)と、それを14.5ポイント差(※)で追いかける岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION)の3人が有力候補と言える。
※第10戦の予選ポイントを含めた合計ポイント

なかでも勢いに乗っているのが、SUPER GTでGT500史上初となる個人3連覇を果たした坪井。今年はハースF1のTPCにも参加するなど、忙しい日々を過ごしていたが、それでも自身のドライビングを高めるために努力を怠っていない模様。それがSUPER GTの終盤戦では底力として表れていた印象がある。

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坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)

今季のスーパーフォーミュラを制することができれば、これも前人未到の2年連続で国内二冠達成となる。今シーズンは、第4戦もてぎでトラブルによるリタイアを喫した以外は、全戦でポイントを獲得しているが、予選一発の速さという点ではライバルの方が少し上回っている感もある。

振り返ると「なんとか拾い上げた」というコメントをよく聞く今シーズンだが、偉業達成のためにも、鈴鹿では自ら先手を打ちたいところだろう。

そんな坪井をランキング2番手で追うのが、岩佐。今季序盤戦はなかなか歯車が噛み合っていなかったが、第8戦SUGOでの初優勝で、流れが良い方向に変わっている印象がある。第9戦では予選でのクラッシュが響く結果とはなったが、ウエットコンディションでも安定した速さを披露していた。

岩佐歩夢(TEAM MUGEN)

鈴鹿に関しては3月の第1戦で2位、第2戦で3位ということで、相性は良さそう。さらにシーズン中盤まで抱えていた問題も解決したとのことで、最終戦ではさらに力強いパフォーマンスが見られることが予想される。

今季もレーシングブルズのリザーブドライバーとして、F1の現場にも帯同しながらスーパーフォーミュラに参戦している岩佐。もちろん、今季の結果が来季以降のキャリアにも少なからず影響してくるだろう。初優勝を果たして、ひとつ肩の荷が下りている分、チャンピオン争いを追いかける立場で迎える最終ラウンドで、どんな走りをみせるのかに注目だ。

同じく90ポイントのランキング3番手につける太田にとっては、鈴鹿3連戦は絶好のチャンスかもしれない。鈴鹿では過去3シーズンで4勝を挙げる速さをみせている。

太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION)

今年の開幕戦も岩佐との一騎打ちを制してシーズン初戦を制し、その後も比較的気温が低い序盤戦で活躍を見せた。今週末も気温が下がり気味ということを考えると、予選から他を圧倒する速さを発揮してきそうな予感だ。

10月頭にはインディカーの公式テストにも参加し、自身の目標に向かってひとつずつ近づいている太田。彼にとってもスーパーフォーミュラチャンピオンという称号は、今後のキャリアのためには絶対に必要になってくるはず。一度勢いにのれば周りも手が付けられないほどのパフォーマンスを発揮するだけに、まずは土曜日の予選からどのポジションにつけてくるのかが、見どころになりそうだ。

そして、今回は変則の超過密スケジュールということで、万が一どこかでアクシデントを喫してマシンにダメージを負うと、修復するまでの時間が限られている。特に日曜日は午前・午後と決勝レースが立て続けにあるため、ひとつひとつのパフォーマンスはもちろんのこと、“流れ”も重要になってくる。

ただ、クラッシュがあると流れが崩れてしまうため、そういったところもコントロールしながらのレース運びが求められるだろう。

もちろん、今回の変則スケジュールはチームのメカニックやコースサイドのオフィシャルなど、関わる全ての人にとって負担がかかってくるものであることは間違いない。まずは安全に、無事に、全員が週末を乗り切ることを願うばかりだ。

全く予想がつかない2025年の国内トップフォーミュラ締めくくりの週末。そこで、どんなドラマが生まれるのか。ぜひ、ご注目いただきたい。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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