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モーター スポーツ コラム 2025年11月20日

サンパウロGPでダブルDNFのフェラーリ、残る3戦のカギは【結束】か?

F1コラム by J SPORTS 編集部
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苦境に立たされるルクレールとハミルトン

苦境に立たされるルクレールとハミルトン

11月2週目に行われたサンパウロGPでフェラーリが痛恨のダブルDNFを喫した。

ルイス・ハミルトンは1周目にウィリアムズのカルロス・サインツJr.やアルピーヌのフランコ・コラピントとの多重接触の中でフロアを損傷。ダウンフォースを大きく失った状態で走行を続けたものの、ペナルティも重なり、37周目にリタイアを余儀なくされた。一方、予選3位につけていたチャールズ・ルクレールは、序盤の1コーナーでメルセデスのキミ・アントネッリとマクラーレンのオスカー・ピアストリが絡むクラッシュに巻き込まれ、マシンに致命的なダメージを負って戦線を離脱した。

この結果、フェラーリはコンストラクターズ選手権で2位から4位に後退。ドライバーズ選手権でもルクレールは5位(214ポイント)、ハミルトンは6位(148ポイント)と、期待されたポイント獲得には遠い状況が続いている。

会長によるドライバー批判

レース翌日のミラノで、フェラーリのジョン・エルカーン会長が「ドライバーは発言を控え、運転に集中すべきだ」と、突如厳しいコメントを発した。また、同じ週末にフェラーリがWECでのコンストラクターズ選手権とドライバーズ選手権のダブルタイトルを獲得したことを引き合いに、「フェラーリはチームが結束していれば必ず結果を出せる」と強調。メカニックやエンジニアには一定の評価を示しつつ、「その他は基準に達していない」と言い切るなど、一連の発言は『Sky Sports』『Autosport』など主要メディアが一斉に報道する事態となった。

ハミルトンとルクレールのSNS上の反応

この発言に対し、2人のドライバーはすぐにSNSでコメントを発表。ハミルトンは『X』に「チームを信じているし、自分自身も信じている。絶対に諦めない。今も、以前も、これからもずっとだ」と投稿している。

一方のルクレールは「サンパウロは本当に厳しい週末だった…。ここから先は良い方向に向かうしかないけど、残り3戦で状況をひっくり返すにはチームの結束が不可欠だ。いつも通り、全力で挑む。」と『Instagram』に綴った。エルカーンと同じく「結束」をキーワードに据え、あくまでチームとしての前進を強調している。

批判が批判を呼ぶ

エルカーンの発言は1週間が経っても沈静化せず、ついにはフェラーリ以外の関係者の見解まで巻き込む事態となっている。『GPBlog』など複数のメディアによれば、元ハース代表ギュンター・シュタイナーはポッドキャスト『Red Flags』で、「ドライバーを起用したのは誰なのか?鏡を見るべきだ」とエルカーンを逆に批判したという。

さらに『RacingNews365』によれば、元F1ドライバーのファン・パブロ・モントーヤも、エルカーンの発言は「内部からのプレッシャー」によるものだとし、「フェラーリの最大の問題は政治だ。とにかく政治的な要素が多すぎる」と率直に述べているとのことだ。

ファンやメディア関係者の反応

『RacingNews365』がオンラインで実施したアンケートでは、「ドライバーを支持」が84.94%、「エルカーン会長を支持」が15.06%と大差がつき、ファンの多くがドライバー側に共感している状況が浮き彫りになった。

『The Race』は、エルカーン発言の翌日に記者たちの見解をまとめた記事を公開。ある記者は、フェラーリの経営陣がドライバーや現場を公の場で批判するのは「良い兆候ではない」と指摘。ミハエル・シューマッハの黄金期に、チーム代表のジャン・トッドとテクニカルディレクターのロス・ブラウンが上層部の過度な干渉を遮断していたことがしばしば成功要因として語られる点を挙げた。

別の記者は、2016年の日本GP前後にセバスチャン・ベッテルが「運転に専念しろ」と伝えられたとされる出来事を思い起こさせると言う。ベッテルの発言領域にチーム上層部が強い不満を示したことが背景にあり、今回の状況と重なる部分があると指摘する。こうした公での発言そのものが、フェラーリ上層部の不安定さを象徴しているとの見解を示した。

全体を通して見えてくるのは、サンパウロでのダブルDNFを引き金に、フェラーリ内部の緊張が一気に表面化したという構図ではないだろうか。ハミルトンとルクレールはあくまで冷静な姿勢を崩していないが、ファンやメディアからは経営陣の姿勢に対する疑問が高まりつつある。

果たしてフェラーリは混乱を乗り越え、シーズン最後の3戦で巻き返しを図れるのか。今後の動向は、コース上だけでなくマラネロの内側にも注目が集まることは間違いない。

文:J SPORTS編集部

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