F1アカデミー、サンリオと手を組みラスベガスでシーズンフィナーレ

F1界を変えるリーダー、スージー・ウルフ

今年で3シーズン目を迎えたF1アカデミー。3月に上海で開幕した女性ドライバーたちの熱い戦いは、全6ラウンドを経て、11月20日から22日にかけてラスベガスで行われる最終戦でクライマックスを迎える。そのフィナーレを彩るのが、日本のサンリオとのコラボレーションだ。

フォーミュラ界に吹き込まれた新しい風

F1アカデミーは、女性ドライバーがモータースポーツの頂点を目指すための育成プログラムとして2023年に誕生した。フォーミュラ1が主導するこのシリーズは、6チームが参戦するワンメイクレースとして運営され、全18台（うち1台はワイルドカード枠）が同一仕様のマシンでしのぎを削る。

出場できるのはシーズン初戦の時点で16歳以上25歳以下のドライバー。参戦期間は最長で2シーズンに制限されており、その間に上位カテゴリーへのステップアップを狙う。好成績を収めたドライバーは、GB3（ブリティッシュ・フォーミュラ3）やフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン選手権（FRECA）といったシリーズへ昇格し、スポンサーやメーカーからの支援を得られれば、F3に挑戦する道も開けてくる。

2024年のチャンピオン、アビ・プリング（ロダン・モータースポーツ）はその代表的な存在である。F1アカデミーで才能を開花させた彼女は、今季GB3に参戦しながらさらなる高みを目指す。プリングをはじめとするトップドライバーたちの多くが、最終目標としてF1参戦を掲げている。

F1界を変えるリーダー、スージー・ウルフの挑戦

このアカデミーを率いるのは、マネージングディレクターのスージー・ウルフ。元レーシングドライバーの彼女は、2014年のイギリスGPで20年以上ぶりにF1公式セッションに出走した女性として歴史に名を刻んだ。

カートからDTM、F1テストドライバー、そしてフォーミュラEのチーム運営まで多彩な経歴を持つウルフは、フォーミュラ1 CEOステファノ・ドメニカリの指名によりF1アカデミーの責任者に就任。彼女のリーダーシップのもと、アカデミーは女性ドライバーの発掘と育成のみならず、モータースポーツ界そのものに新たな価値観をもたらしている。

プライベートでは、メルセデスF1代表のトト・ウルフと結婚14年を迎えたばかり。自叙伝『Driven』も出版するなど、レース内外で注目を集めている。

ラスベガスで実現する異色の融合

そんなウルフ率いるF1アカデミーが、3シーズン目の締めくくりとして手を組むのが日本のサンリオだ。ハローキティをはじめ、シナモロール、マイメロディ、クロミ、ポムポムプリン、バッドばつ丸、ポチャッコといった人気キャラクターが勢ぞろいし、レースの舞台ラスベガスをポップに彩る。

3日間の特別チケットを購入したファンは、ラスベガスのヴァージン・ホテル近くに位置するイースト・ハーモンゾーンに設けられる「ハローキティ・グランドスタンド」で、第3コーナーから第4コーナーにかけての迫力ある走行シーンを間近で観戦できる。また、特製スイーツを提供する「ハローキティ・カフェ」やフォトスポット、さらにはハローキティ本人が登場するF1アカデミーのパドックにもアクセス可能。全36種類の限定グッズはオンラインでも販売されるため、現地を訪れられないファンもイベントの熱気を共有できる。

2人の女性リーダーが語るビジョン

F1アカデミーの公式サイト上で、ウルフはこう語っている。

「ラスベガスを象徴するスカイラインを背景に、これまでにない特別なフィナーレを作り上げたい。ハローキティ・グランドスタンドや限定グッズを通して、華やかにシーズンを締めくくるとともに、モータースポーツに対する古い固定観念を払拭したいと考えています」

一方、ラスベガスGPの社長兼CEOであり、フォーミュラ1の最高商務責任者（CCO）を務めるエミリー・プレイザーもこう述べている。

「両ブランドのファンに特別な形でレースウィークを楽しんでもらえる機会を提供したい。この取り組みはサーキットの枠を超え、モータースポーツをポップカルチャーの一部として定着させ、次世代のファン層を育てることにつながると信じています」

文：J SPORTS編集部