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モータースポーツ コラム 2025年10月17日

終盤戦に向け、自信を深めつつあるサッシャ・フェネストラズ SUPER GT2025第7戦プレビュー

SUPER GT by 吉田 知弘
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No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraを駆るサッシャ・フェネストラズ

2025年のSUPER GTも、気がつくと残り2戦。今週末の第7戦オートポリスと、11月初頭の第8戦もてぎでシーズン終了となる。各クラスともチャンピオン争いが気になってくる場面であるが、その王座争いにも絡んできそうな“楽しみなドライバー”がいる。No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraをドライブするサッシャ・フェネストラズだ。

2019年から2022年まで日本のフィールドで腕を磨き、昨年・一昨年とフォーミュラE世界選手権に参戦。今年から再び主戦場を日本に戻し、SUPER GTとスーパーフォーミュラ(VANTELIN TEAM TOM’Sより参戦)で戦っている。

以前から日本にも彼のファンが多かったこともあり、昨年末のスーパーフォーミュラ合同テストで帰ってきたときは大きな注目を集めたが、本人はフォーミュラEとはスピード領域と車両特性が異なるマシンへの対応に苦戦。「自信を取り戻す必要がある」と、珍しく消極的になっている雰囲気がうかがえた。

さらに、車両のセッティングや当日のコンディションなど、ほんの些細なことで順位が大きく変わるほど繊細な日本のレース。SUPER GTでは復帰初戦となった開幕戦岡山で3位表彰台を獲得するも、その後が思わぬ苦戦を強いられてしまい、公式練習では毎戦のように下位からスタート。なかでも、サクセスウェイトの差がではじめた第5戦鈴鹿で、39号車は比較的軽いウェイトだったにも関わらず予選最下位。チーム内では原因究明のため、日没後もミーティングを続ける姿があった。

サッシャ・フェネストラズ

いろんな事情が絡み合うレースの世界だが、どうしても結果が出ないと、ドライバーの実力を疑う声が、否が応でも出てきてしまう。特にフェネストラズに対しては、日本に帰ってきた当初に不安があるような感じだっただけに、彼のパフォーマンスを疑う声もゼロではなかった。

しかし、チームがクルマ側に不具合があったという原因を突き止め、対処をした上で決勝に臨むと、フェネストラズは見違えるような走りを披露。相方の関口雄飛とともに最後尾からどんどん追い上げ、9ポジションアップの6位でフィニッシュした。

レース後、「これだけオーバーテイクできたのは楽しかったし、リスクを負いながらも、ライバルを追い抜いて順位を上げていかないといけないシチュエーションは僕も燃えたよ!!」と笑顔で語るフェネストラズ。それを見て、本当に自信を取り戻したのだなと感じることができた。

そして、フェネストラズは早速次のレースで本領を発揮。第6戦SUGOでは、予選2番手につけると、決勝では関口の力走でトップを奪い、フェネストラズに交代。途中、アクシデントによる赤旗中断を挟んだものの、再開後も力強くトップを守り続けた。

しかし、ライバルの名取鉄平(No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z)も手強かった。コンディションとうまく噛み合い、高いパフォーマンスを発揮しているヨコハマタイヤに加え、24号車はサクセスウェイトが1kgと軽い状態。それでも、フェネストラズは相手のスペースをちゃんと残しながら、ラインを塞いでいく走りでトップを守る。

外から見た雰囲気だと、普通ならあっという間に抜かれていたかもしれないという状況下で、フェネストラズは約5〜6周も粘り続けた。このまま逃げ切れるかと思われたが、名取も狙っていたという最終ラップの馬の背コーナーで並びかけられ、ポジション交代。フェネストラズのSUPER GT復帰後初優勝はお預けとなった。

「左側のミラーにトラブルが出ていて、一瞬名取の姿を見失った。気づいた時には手遅れだった」とフェネストラズ。

「あとコーナー4つ抑えていれば優勝だったから、本当に残念。でも脇阪監督から『今日は最低でも2位で帰ってくればチャンピオン争いに加われるから、絶対に(接触などないように)気をつけて!』と言われていた。まずは2位になれたことが良かった」と、いつも通りのスマイルで取材に対応してくれた。

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2位となった第6戦スポーツランド

ただ、理由はどうであれ、勝負に負けることは、ドライバーにとって最も悔しいこと。レースが終わってチームのピットに戻ったフェネストラズは、悔しい表情を周りに見られたくないかのように、自身の腕で顔を覆う瞬間があった。

もうひとつの挑戦であるスーパーフォーミュラでは、先日行われた第9戦で自身初のポールポジションを獲得し、ハーフポイントとなったが決勝で優勝。確実に流れに乗りはじめている。

そんな中で迎える今回のオートポリス大会。3時間と長丁場のレースになる分、今年は決勝で粘り強さをみせている39号車は、きっと手強い存在になるかもしれない。

何より、フェネストラズにとっては悔しい1戦となった前回のSUGO。そのリベンジを果たせるのか…目が離せない。

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文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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