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モーター スポーツ コラム 2025年10月10日

SUPER GT第7戦プレビュー シーズン2度目の3時間レース。タイヤ選択&マネージメントがカギに!?

SUPER GT by 島村 元子
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昨シーズンの同レースを優勝したNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra。ランキング3位に浮上した

10月を迎え、なお真夏日となる地域も時折見受けられるが、朝晩はしっかりと秋の気配を感じるようになってきた。来週末、SUPER GT第7戦が開催されるのは、大分・オートポリス。今シーズンも残すところオートポリスとモビリティリゾートもてぎでの2戦となり、今回の結果をもってタイトル争いの行方がより明確になるのは言うまでもない。今回は、どのチームにとっても”落とせない”重要な一戦になるはずだ。

サクセスウェイトが軽減

SUPER GTが設けるオリジナルルール「サクセスウェイト」。これは、様々な車種が戦うなか、常に戦闘力をできる限り保てるよう、好成績を残した車両に対して課されるウェイトハンディだ。上限は100kgだが、車両に搭載されるのは50kgまで。残りの超過分として、GT500クラスは「燃料流量リストリクター」を、GT300クラスでは今シーズンから「サクセス給油流量リストリクター」をそれぞれ併用する形でハンディを設けている。

なお、この規定はシリーズ7戦目、つまり今回のオートポリスで見直しが行なわれ、獲得ポイント×1kgへと軽減される。ウェイトによる妨げが減り、しばらくガマンのレースが続いていたチームとしては、ようやく攻めの戦いへと切り替えることができるというわけだ。シーズン序盤から結果を残してきたチームが”お目覚め”のスイッチを入れ、最終戦に向けてギアを上げてくることだろう。

3時間の長時間レース。タイヤ選択もカギに

常に連続したコーナーを走るようなイメージがあるオートポリス。リズミカルな走りを実現させるためのセットアップが大切なポイントとなる。一方、場所的には山間部で標高が高いためエンジンの全開率は低く、燃費は他のサーキットより楽と言われている。そしてとりわけ重要になってくるのがタイヤだ。

多くのドライバーが「オートポリスはタイヤに厳しいサーキット」という印象を持っており、実際タイヤへの負担も大きい。また、ピックアップを起こす可能性が高いことでも知られる。走行中、タイヤの表面にタイヤかすなどが付着し、タイヤのグリップが急激に低下するのだが、この現象が起こると存分にペースアップできないため、とても厄介なことになる。それゆえ、事前のタイヤ選択はもちろんのこと、レース中のタイヤマネージメントも戦いの行方を左右する要因になる。”賢い”戦いをするためには、用意周到であることが求められる。

一方、今回のレースフォーマットは3時間レース。シーズン2度目、そしてオートポリスとしても昨シーズンに続き2度目となる。アクシデント等もなく円滑にレースが進んだ場合、距離的には450km近くになりそうだが、昨シーズンはFCYやSCの導入もあって92周/430km超の戦いだった。また、ピットストップが2回義務付けられているが、レースの状況やピットインのタイミング次第によって、予選で思うような結果を残せず下位スタートに甘んじたチームが大幅なポジションアップを果たすことも起こり得る。ちなみに、4回にわたりSCが導入される波乱の展開となった昨シーズンは、予選10位スタートのNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)が優勝。GT300クラスでも、No.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が予選15位からの大逆転勝利を実現させている。それゆえ、緻密な戦略、またレースの流れを味方につけることができるチームに注目が集まることだろう。

どうなる? タイトル争い

開幕戦からひたすらランキングトップをリードするNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)。これに8点差で続くのがNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)。そして、SUGOでシーズン2度目の表彰台に立ったNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)がランキング3位に浮上し、現時点ではトップ5をTOYOTA勢が独占する。なかでも1号車、14号車はサクセスウェイトを軽々と乗り越えるような強さと戦略でシーズン中盤を戦い抜いており、開幕戦から入賞を続けている。とりわけ1号車は抜群の安定感をもってシーズンを戦っており、ディフェンディングチャンピオンとしての経験値をしっかりと活かしている。ピット作業の”時短”はじめ、刻々と変わる状況下での対応力など、高い完成度を求めて戦うチームがオートポリスをいかに攻略するのか、こちらも楽しみだ。

なお、第5戦鈴鹿、第6戦SUGOを勝利したのはNISSAN勢。予選が好調ながら思うような結果が残せていないNo. 3 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞)としては、そろそろ本領発揮といきたいところ。もちろん、シーズン未勝利のHonda勢の逆襲にも期待したい。No.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)は鈴鹿、SUGOと連続ポールポジションを獲得したものの、2戦とも4位どまり。サクセスウェイトはまだ18kgと軽いため、”3度目の正直”を目指すはず。また、タイトル経験者として反撃を計画するNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)の存在も忘れてはならない。

トップ3が急接近のGT300

GT300クラスのランキング争いは、前回のSUGO戦の結果を受けて一気にトップ3のポイント差が縮まった。No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)がシーズン当初からトップをキープする一方、SUGOではNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/平手晃平)が2位に、またNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)も重いサクセスウェイトを跳ね除けて4位でチェッカーを受けて65号車にジリジリと迫っている。加えて、今シーズンからGT300クラスは年間ポイント合計が上位7戦分の有効ポイント制へと規定改定されたため、今回理想的な結果を残すことができれば最終戦のもてぎまでタイトル争いにも加われるだけに、予測もつかない大混乱が予想される。

風光明媚な阿蘇の山脈に立地しているオートポリス。サーキットへの道中は、あたり一面に群生するススキの穂が眩しく輝いている頃だと思われる。レースウィーク中は、朝晩と日中の気温差もより大きくなるだろう。現地観戦では、秋の風情を感じつつ緊張感あふれる戦いを堪能できそうだ。

J SPORTS オンデマンド番組情報

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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