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MotoGPへの転向前に新記録の達成なるか? | スーパーバイク世界選手権 第10戦 アラゴン プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシスーパーバイク世界選手権 第10戦 アラゴン プレビュー
1000ccのスポーツバイクで争う世界選手権オートバイレース「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」は残り3ラウンド9レースとなりました。これからは比較的温暖なスペイン、ポルトガルのイベリア半島3連戦でチャンピオンを決定します。今回は2025年9月26日〜28日にスペインのモーターランドアラゴンで開催される第10戦のレースプレビューをお届けしましょう。
チャンピオン争いはいよいよ佳境に入ってきました。しかし、ランキング首位のトプラク・ラズガットリオグル(BMW)=469点、ランキング2位のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)=430点とその差は39点差。このポイント差は大きいようで小さいと言えます。
ブレガが残り9レースを全勝した場合でも、トプラク・ラズガットリオグル(BMW)が全て2位でフィニッシュすると最後は同点になります。そうなった場合、勝利数はラズガットリオグルが18勝、ブレガが17勝でチャンピオンはラズガットリオグルが手にすることになります。すなわちブレガは自力で逆転チャンピオンを取ることが困難な状況です。そういう意味ではブレガは窮地に追い込まれたと言えるでしょう。
ただ、残り9レースの最大獲得ポイントは186点もあり、ラズガットリオグルが最大25点獲得のレース1、レース2で一度でもノーポイントレースを作ってしまえば、ブレガに大きな逆転チャンスが訪れることになります。ここ最近、いつも以上に多重クラッシュが起こっているWSBKだけにラズガットリオグルはそれに巻き込まれてはいけません。
来シーズンからMotoGPへの転向が決まっており、BMWを離れることになっているラズガットリオグル。転向前に達成しておきたいのが、自身が持つ13連勝という記録の更新です。前戦マニクール(フランス)でも3連勝し、これで4ラウンド連続の12連勝を達成。今回のアラゴンでレース1、スーパーポールレースを勝てば新記録達成となります。
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【第9戦 ハイライト】FIM スーパーバイク世界選手権 2025 マニクール(フランス) 決勝レース2(9月7日)#sbk
トプラク・ラズガットリオグル(BMW)の14連勝達成はニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)の逆転チャンピオンの可能性がかなり遠くなるということでもあります。ブレガとしては何としてでも阻止しなくてはいけないアラゴンラウンドなのです。
実はアラゴンはラズガットリオグルにとって数少ない未勝利のサーキットでもあります。ただ、表彰台には何度も登っており、苦手なサーキットというわけではありません。コロナ禍の時代は開幕戦に設定されており、シーズン立ち上がりがスロースタートなのは彼のパターン。当時のヤマハは今のBMWほどの戦闘力があったとは言えませんし、BMWに移籍した昨年も怪我による欠場から復帰したレースでした。果たしてアラゴンで彼は今年勝つことができるでしょうか?
ここアラゴンは地元スペインの元WSBKチャンピオン、アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)が強いコースです。40歳を迎えたバウティスタは今季まだ未勝利でランキング5位。完全にチームメイトの若手ライダー、ブレガにエースの座を奪われている状態ですが、バウティスタにはアラゴンで過去に9勝をマークした実績があります。来季からサテライトチーム「Barni Spark Racing Team」への移籍が決定しているバウティスタにとって、ドゥカティワークスでの勝利を期待したいですね。来季のドゥカティワークス「Aruba.it Racing Ducati」にはイケル・レクオーナ(ホンダ)が乗ることになっています。
そして、来季の移籍事情も色々と明らかになってきています。ラズガットリオグルが離脱する「BMW」にはダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)が移籍してきますが、マイケル・ファンデルマーク(BMW)に関しては離脱が発表されました。彼はWSBKを離れ、北米のMotoAmericaでのレースを希望しているそうです。その後釜はまだ決まっていません。
また、ジョナサン・レイ(ヤマハ)が引退する「ヤマハ」のシートも誰が乗るのかまだ不透明です。日本メーカーでは「ホンダ」はチャビ・ビエルゲ(ホンダ)も今季限りでの離脱を発表。ホンダは2人の鈴鹿8耐・優勝ライダーを失うことになります。前戦マニクールで3レース連続3位表彰台を獲得した「ビモータbyカワサキ」は来季もアレックス・ロウズ(ビモータ)、アクセル・バサーニ(ビモータ)が継続参戦します。
チャンピオン争いという意味でもシリーズランキング争いという意味でも、そして来季のシート争いという意味でも重要なアラゴンのレース。いつも以上に激しいレース展開に期待しましょう。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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