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モーター スポーツ コラム 2025年9月26日

2026年のスプリント開催地決定、F1短距離フォーマットの現在地

F1コラム by J SPORTS 編集部
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賛否が分かれるスプリントの2026年の開催地が発表された

賛否が分かれるスプリントの2026年の開催地が発表された

初開催のモントリオールやシンガポールを含む、全6戦からなる2026年のスプリント開催地が発表された。この機会に、F1スプリントの現在地を振り返ってみたい。

スプリント導入の目的と変遷

F1スプリントレースは、グランプリ週末をより刺激的かつ競争的なものにする目的で2021年に導入された新たなフォーマットだ。レース距離は約100km、グランプリの3分の1にあたる距離で、時間にしておよそ30分。通常の週末構成とは異なり、金曜日にフリー走行1回とスプリント予選、土曜日にスプリントとグランプリ予選が行われ、日曜日にグランプリ本戦という3日間の流れとなる。狙いは週末を通してエキサイティングな展開を用意し、観客を飽きさせないことだった。

当初はスプリントの結果がGP決勝のグリッドに直結する形式だったが、2023年からは独立したイベントとして扱われるようになり、専用の予選が新設。上位8名にはチャンピオンシップポイントが与えられる制度へと進化した。

もっとも、スプリントがGP決勝にまったく影響を与えないわけではない。たとえばレース中のクラッシュで大きなダメージを負えば、日曜日をグリッドではなくピットレーンからスタートしなければならないこともある。さらには金曜日にしかフリー走行が行われないため、戦略構築やマシンのセットアップに使える時間が限られ、リザーブドライバーがシミュレーターで担う事前作業の重要性も増している。

その短距離決戦で最多勝を誇るのが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンだ。今年のベルギーGP終了時点でスプリント開催は計21回、そのうち12回の勝利を挙げており、他を大きく引き離す記録となっている。

商業的な成功と拡大

スプリントの導入は、商業的にもF1に新たな風をもたらした。開催を希望するプロモーターは、数百万ドル単位の追加費用を支払う必要があり、それがF1とFIAにとっての新たな収益源となっている。また、PepsiCo(ペプシコ)傘下のスポーツドリンクブランドGatorade(ゲータレード)がスプリントの冠スポンサーとして契約を結んだことからは、従来とは異なる新たなファン層へのマーケティング戦略が進んでいることもうかがえる。

視聴率にもその影響は現れている。2024年には、スプリントを含む週末が非スプリント開催週に比べて、世界的に平均で10%高い視聴率を記録。ルイス・ハミルトンがフェラーリのドライバーとしてスプリントで初優勝を飾った今年の上海GPでは、対象15都市の生中継視聴者数が前年同大会に比べて80%以上増加した。会場での観客動員も好調で、F1全体の商業価値を押し上げる存在となっている。

2026年の開催地

そして先週、6年目となる2026年シーズンのスプリント開催地が以下の通りに正式発表された。
・中国GP(上海):3月13日~15日
・マイアミGP(マイアミ):5月1日~3日
・カナダGP(モントリオール):5月22日~24日【初開催】
・イギリスGP(シルバーストン):7月3日~5日【2021年以来の復帰】
・オランダGP(ザントフールト):8月21日~23日【初開催】
・シンガポールGP(シンガポール):10月9日~11日【初開催】

FIAおよびF1の公式サイトによれば、F1会長兼CEOのステファノ・ドメニカリは発表に際し、「2026年は新レギュレーションが導入される年。その中でスプリントに新たな開催地が加わることで、さらにドラマチックな展開が期待できる」とコメント。また、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長も「伝統のサーキットと新天地による構成は、プロモーターやチーム、ファンの強い支持を反映している。今後もこのフォーマットがチャンピオンシップを盛り上げる重要な要素であり続けるよう、各方面と緊密に連携していく」と語った。

賛否が分かれるスプリント

これまでの発展にもかかわらず、スプリントは全会一致で歓迎されているわけではない。来シーズンのスケジュールを報じた『BBC』は、市街地サーキットであるシンガポールについて、「オーバーテイクが難しく、スプリント向きではない」と報じ、コメント欄にも同様の意見が多数寄せられている。

以前よりドライバーからの評価も分かれており、スプリントを最も批判しているのは皮肉にも最多優勝を誇るフェルスタッペン。『Racefans』によれば、過去にはマクラーレンのランド・ノリスも「通常の週末の方が好ましい」と語っている。

一方で、『Grandprix247』の報道では、ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグやアルピーヌのピエール・ガスリーは、スプリントに肯定的な姿勢を示しつつも、開催地や頻度には慎重な意見を述べている。メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリは、「競争が激しくてチャレンジングだけど、本当に楽しい。将来的にもっと増えてもいいと思う」とポジティブに受け止めている。

ファンとドライバーの間で評価が分かれる中でも、F1の運営側はこのフォーマットに大きな可能性を見出しているようだ。『Autosport.com』によると、早ければ2027年にもスプリント開催数を現在の6戦から10戦規模に拡大する方向で、協議が進められているという。

文:J SPORTS編集部

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