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モーター スポーツ コラム 2025年9月4日

残り4戦12レース、ラズカットリオグルがランキング首位で終盤戦へ | スーパーバイク世界選手権 第9戦 マニクール プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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スーパーバイク世界選手権 第9戦 マニクール

スーパーバイク世界選手権 第9戦 マニクール

市販車ベースの世界選手権オートバイレース「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」はサマーブレイクが終わり、いよいよクライマックスとなる残り4ラウンド12レースのシーズン終盤へ突入です。第9戦の舞台はフランスの間にクールサーキット。今回は2025年9月5日〜7日に同地で開催される第9戦のレースプレビューをお届けしましょう。

さて、シーズン序盤はニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)の大量リードで始まった今季のWSBKですが、2025年モデルにリニューアルしたBMW M1000RRの熟成が進んだシーズン中盤からは王者トプラク・ラズガットリオグル(BMW)が逆襲の狼煙をあげ、ついにシリーズランキング首位を奪取。チャンピオン争いはトプラク・ラズガットリオグル(BMW)=407点、ランキング2位のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)=381点の一騎討ちの様相になってきました。

来シーズンからMotoGPへの転向が決まっているラズガットリオグルには通算3回目のWSBKチャンピオン獲得という目標だけでなく、もう一つ更新しておきたい大記録があります。それは自身が昨年記録した13連勝というWSBKの連勝記録を超えることです。ラズガットリオグルは第6戦から3戦連続で合計9連勝を記録。第5戦チェコのレース2で2位になってしまいましたが、それが無ければ新記録まであと2連勝という状況になっていたかもしれません。今回のマニクールで3連勝すれば12連勝となり、次戦アラゴンは新記録更新が期待できるシチュエーションが生まれます。そうなれば同時にチャンピオンに王手をかけることになるわけです。

シーズン中盤戦から後半戦にめっぽう強いトプラク・ラズガットリオグル(BMW)はサマーブレイク明けに設定されることが多いマニクール(フランス)で過去8回優勝しています(昨年は怪我で欠場)。ただ、実はマニクールで3連勝した経験はありません。彼にとっては記録更新という意味でも、WSBK卒業前に3連勝したサーキットを増やすという意味でも重要なレースになります。来季からはMotoGPということで、フランスGPの開催地はル・マンですから、マニクールでレースをするのはしばらく無いと思いますので、このサーキットに置き土産をしておきたいところでしょう。

一方でニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)にとってみれば、ラズガットリオグルが欠場した昨年のマニクール・レース1で序盤に順位を落とし、その焦りからかハイサイドで転倒。自滅した形でノーポイントレースを作ってしまったコースです。スーパーポールレース、レース2と2連勝していますが、あくまでラズガットリオグルが居ないレースでの勝利。今年のブレガは連勝中のランキング首位、ラズガットリオグルを止めなくてはならないというまた違ったプレッシャーに苛まれることになります。ここで止めることがチャンピオンシップを考えると重要です。

チャンピン争いは上記の2人が有力ですが、サマーブレイクの間にはトプラク・ラズガットリオグル(BMW)のMotoGPへの電撃移籍に端を発した2026年のシート争いが加熱。大きな移籍も発表されました。

まずランキング3位につけるダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)がラズガットリオグルの後釜としてBMWに移籍することが決定しました。MotoGPドゥカティワークスでの優勝が印象的なイタリア人のBMW移籍は多くのファンを驚かせました。サテライトチームでありながらワークスのアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)を上回る結果を残すペトルッチの起用は手堅い選択と言えます。ただ、来年は35歳になるベテランの年齢。10歳以上若いニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)に対峙しなくてはいけません。なお、ランキング15位と低迷中のマイケル・ファンデルマーク(BMW)に関してはまだ残留が確定していません。

WSBKにもそろそろ世代交代の波は来ています。大きなニュースとして6年連続のワールドチャンピオン、ジョナサン・レイ(ヤマハ)が今季限りでの引退を発表しました。今季、怪我から始まり、優勝争いからは程遠い結果になってしまっている元王者は潔くライダーとしてのキャリアを終えます。

また、ドゥカティワークス「Aruba.it Racing Ducati」はアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)をペトルッチが抜けるサテライトチーム「Barni Spark Racing Team」へと移籍させ、代わりにイケル・レクオーナ(ホンダ)の起用を発表。ドゥカティワークスは来年26歳コンビへと若返りを図ることになりました。

ヤマハはワークス的なトップチーム「PATA Maxus YAMAHA」の実質的エースとなったアンドレア・ロカテッリ(ヤマハ)が初参戦の鈴鹿8耐で決勝のコースレコードを樹立。実に頼もしい存在になってきました。そして、レイの引退により誰がその空き枠を手にすることになるのか、MotoGPのシート争いもその鍵になりそうです。

多くのライダーがまだ来季の契約を済ませていない中、WSBKの伝統コースであるマニクールの結果は非常に重要。少しでもアピールしたいライダーたちは攻めの走りでレースを盛り上げてくれるでしょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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