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2025年WRC第10戦ラリー・デル・パラグアイ “WRC初登場の南米大陸高速グラベルイベント”
Mr.フクイのものしり長者 de WRC ! by 福井 敏雄前戦で1-5位を独占したトヨタに今戦も注目
前戦フィンランドでは、ロバンペラ選手が悲願の地元初優勝を遂げると共に、同地にチームの本拠地を構えるトヨタが1-5位を独占して大きな話題になりました。トヨタは今シーズン9戦中8回の優勝でメーカーポイントを順調にリードしていますがドライバーポイントが分散しており上位グループは僅少差で激戦です。
今回初登場のパラグアイは南米大陸の内部に位置しブラジル、ボリビア、アルゼンチン等と国境を接している小型国家です。首都はアスンシオンですがラリーが開催される地域は首都から約350キロ離れたエンカルナシオンを中心に開催されます。路面はグラベルですが表面がややソフトで道幅は広い部分と密林地帯があり二回目走行では深い轍に悩まされることがあります。WRC初登場のため選手が手に出来る情報量が少ないので短期間のレッキでは質の高い走行が難しいでしょう。パラグアイはここで開催されるトランス・チャコ・ラリー等モータースポーツ愛好国です。長いあいだ熱望していたWRCですからファンにとって未知の世界への飛躍でありイベントの成功を期待しましょう。次のラリーも南米連続のチリです。5月のポルトガルから7戦連続のグラベルラリーはチリで一旦小休止。その後はセントラル・ヨーロッパ、ジャパンとターマックが2戦あり、最終戦は新顔のサウジアラビアでシーズン終了です。
私はパラグアイに行ったことはありませんが、トヨタ入社当時の駆け出しの時代、1960年代に輸出部員として中南米担当業務をしていたことがありました。パラグアイのトヨタ販売店にはトヨトシ氏が日本からの移民の成功者として君臨されていました。そのご子孫、多分3代目と思いますが、後に私の最後の仕事であるドイツのトヨタ・モータースポーツ(旧TTE)にて1990年ころマルセロ・トヨトシ氏の訪問を受けたことがあります。
彼はモータースポーツと車両販売の関連性を熱心に語っていたのが印象的でした。トヨトシ・ファミリーはパラグアイの日系社会の重鎮であるばかりでなく同国経済界の重鎮であり、ある時期の在日パラグアイ大使も務められました。半世紀も前の話が思い出されるほど不思議な関係です。
ラリー概要は下記の通りです。
| SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
|---|---|---|---|---|
| L-1 (8/29) | 8 | 140.90 km | 154.86 km | 295.76 km |
| L-2 (8/30) | 7 | 113.60 km | 310.57 km | 424.17 km |
| L-3 (8/31) | 4 | 80.72 km | 198.98 km | 279.70 km |
| Total | 19 | 335.22 km | 664.41 km | 999.63 km |
文:福井 敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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