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谷口信輝(No. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG)
第4戦富士スピードウェイで開催された「FUJI GT SPRINT RACE」。SUPER GT初の試みとなったレースはどんな展開になるのか、ファンはもちろんのこと、戦うドライバーやチームスタッフもさまざまな思いをもって戦いの行方を見守ることになった。
初日に行なわれたGT300、GT500クラス混走によるRace1の結果を受け、俄然勝ちを強く意識したドライバーがいた。ベテランの谷口信輝だ。コンビを組む片岡龍也が担当したRace1では、予選5番手から決勝は2位表彰台を獲得。翌日のRace2を戦う谷口は、公式練習そして予選でも2番手につけ、優勝を狙えるポジションから決勝を迎えた。
「前回のセパン戦では、ヨコハマタイヤのパフォーマンスが夏の暑い路面温度によく合っていました。さらに、今回もRace1を見ていたら勝負権がとわかって……」と谷口。実のところ、チームは第3戦セパンでクラス3位と健闘。4号車に今シーズン初の表彰台をもたらした。だが、これは中山友貴と奥本隼士の”代役”ドライバーふたりによる功績。片岡と谷口は同日開催となったベルギーでのスパ24時間レースに参戦しており、セパン戦は欠場していた。そんななか、Race1で片岡がレギュラードライバーとしてひと足先に表彰台へと上がったことで、谷口も表彰台獲得に向けて”スイッチ”が入った。結果、タイムアタックをを2番手で終え、フロントロウを手にした。
「片岡が決勝2位になってハードルを上げてくれたけど(笑)、プレッシャーはないです。そのおかげで逆に戦えるクルマだということが確認できて良かった」と満足気だったが、加えて、前後のライバルへの警戒心を口にした。前方には、Race1のウィナーであるNo.777 D'station Vantage GT3。そして後ろは、Race1の予選で最速タイムをマークしたNo. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT。ランキング争いでも上位に名を連ねている。その一方で、足元に装着されたタイヤはそれぞれメーカーが異なる。ノーウェイトかつタイヤ交換や給油などのピット作業もないスプリントレースでは、クルマの戦闘力が普段のシリーズ戦より明確に出やすい。それゆえ、谷口はどんな戦略を練っていたのか。
「前のアストン(777号車)が速いのはわかっていたけど、ガマンして2番手で終盤まで走っていれば、後半で形勢逆転できそうだなと思っていました」。ところが、先行したのは2号車。スタートでポジションアップを狙ったライバルに対し、谷口は硬めのタイヤを選んでおり、ポジションキープは叶わなかった。とはいえ、8周目にはレース中のファステストラップを刻み、前方の2台を追随。ところが10周を過ぎるとペースが落ち始める。「ブレーキのフィーリングが悪くなって、加えてタイヤがピックアップに見舞われグリップが猛烈に落ちたんです」。決勝前に急激に日差しが陰り、路面温度も前日比で10度ほど下がったことも裏目に出た。
「プッシュする走りをしていたのでタイヤが摩耗したならわかるんですが、そうじゃなくてピックアップだった。こうなるともうどうしようもなくて。あとは防戦一方でした」。凌ぐ走りを続けたが、終盤には後続車からの追い上げに遭い、終わってみれば、結果は5位。「レース後にタイヤを見たら、表面が”ブサイクな顔”で。片岡のときは(ピックアップもなく)”キレイな顔”だったんですけどね」と、声を落とした。
決勝前にはテレビカメラはじめ、多くのメディアが谷口を取り囲み、自身も相当気合いが入っていることを自覚していた。なにより、今回はスプリントレースならではの”強み”を活かせる絶好の機会だと捉えていた。それゆえ、レース後は悔しさ以上に周りからの期待に応えられなかったことへの申し訳なさの方が勝っていたという。
これから迎えるシリーズ後半戦では、搭載するサクセスウェイトがパフォーマンスに大きな影響を及ぼすようになってくる。「これまで着実にポイントを稼いできたけれど、この先はレースで上位の結果を狙うのは難しくなるでしょうね。次からは全体での勝負じゃなくて、上位ランカー同士での争いになるので、そこを楽しみにしてもらいたいです。僕らがタイトル争いに加わることでシリーズが盛り上がればいいなと思います」。スプリントレースで”魅せた”ベテランドライバーの粘りに、これからも注目したい。
文:島村元子
島村 元子
日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。
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