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鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レーススタートまであと1日
「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」の開催がいよいよ2025年8月1日(金)〜3日(日)に迫ってきました。「第46回鈴鹿8耐」は「J SPORTS」で生中継。このレースをより楽しんでいただくために、決勝レースがスタートするまでの間に8個のトピックスを取り上げ、今年の鈴鹿8耐の見どころをご紹介。最後の第8弾は鈴鹿8耐のもう一つの熱き闘い「SST(スーパーストック)クラスの注目チーム」についてです。
FIM EWC(世界耐久選手権)第3戦・鈴鹿8耐では総合優勝を争うEWCクラスに加えて、「Team SUZUKI CN CHALLENGE」がエントリーする実験車クラスであるEXP(エクスペリメンタル)クラス、そしてもう一つより市販車状態に近いレギュレーションのマシンで争うSST(スーパーストック)クラスの3クラスが設定されています。
近年はSSTクラスに参戦するチームが多くなってきていて、55チーム中18チームがこのSSTクラスにエントリーしています。SSTではEWCクラスに比べると低コストでマシンを製作することができ、タイヤがダンロップのワンメイクであるためクラス順位争いがよりコンペティティブだからです。国内の全日本ロードレース選手権にはST1000クラスがあり、こちらも同じダンロップのワンメイクタイヤのレースであるため、全日本とセットで参戦計画を立てやすいこともメリットです。
SSTクラスはFIM EWC(世界耐久選手権)の4戦中3戦の有効ポイント制になっており、昨年から年間チャンピオンを狙う海外チームも鈴鹿8耐に遠征してくるようになりました。ただ、国内チームのスポット参戦も多いため、クラス上位でフィニッシュするのは海外チームにとっては至難の業です。
そんな中、日本代表チームとしてSSTクラスに年間参戦しているのが2年目の「Team Etoile(チーム・エトワール)」。昨年は鈴鹿8耐で2位フィニッシュを果たし、最終戦ボルドール24時間でチャンピオン争いの可能性を残しました。今年は鈴鹿8耐でのクラス優勝を狙うべく、元JSB1000ライダーの渡辺一樹をレギュラーで起用。さらに継続の大久保光、そして期待のルーキー、伊藤元治の強力な布陣でBMW M1000RRを走らせています。今季はル・マン24時間でクラス4位、スパ8時間でクラス4位と表彰台まであと一歩のレースを続けており、2戦を終えてランキング4位につけています。
年間ランキング首位の「NATIONAL MOTOS HONDA FMA」はル・マンで優勝しているため合計81点を獲得。「Team Etoile」はそこから30点差がついていますが、鈴鹿8耐でスパ8時間以上の3位以内でフィニッシュし、ランキング首位の「NATIONAL MOTOS HONDA FMA」よりも前でゴールすればさらにその差を詰めることが可能になります。鈴鹿8耐での優勝が逆転チャンピオンへの第一歩と言えます。
ただ、SSTクラスは国内の有力チームがひしめき合う激戦区でもあります。昨年は序盤の暑い時間に転倒が相次ぎ、サバイバル戦になりましたが、地の利を活かした国内チームがハイペースで走ればかなり強力です。
優勝候補の一つがカワサキモータースジャパンのトッププライオリティチーム「Kawasaki Plaza Racing Team」です。今年は岩戸亮介をエースに3人の日本人トリオのチームを形成。転倒で勝負権を失った昨年のリベンジに挑みます。
またヤマハの若手トリオが走る「NCXX RACING with RIDERS CLUB」も有力なSSTクラスのチーム。クラス優勝の経験もあるチームですから今年も優勝争いは間違いないでしょう。
さらに日本のチームと海外チームのコラボレーションとなるのが「Dafy-Rac 41- Honda」(Kaedear-RAC41 HONDA)。こちらはル・マンでクラス2位表彰台を獲得したチームで、現在ランキング5位。近年はFIM EWCを主戦場にしている日本人ライダーの石塚健が走ります。
また、海外チームとしては元グランプリライダーで現在はスーパースポーツ世界選手権に参戦する鳥羽海渡が乗る「Honda No Limits」もランキング6位につけており、日本関連の年間チームが割と近い順位でランキングを争っています。ライバルに差をつけるには彼らにとって鈴鹿8耐は非常に重要なレースになります。
そして昨年のウイナー「TONE RT SYNCEDGE 4413」は今年もBMWで走りますが、なんと今年は人気アニメの「新世紀エヴァンゲリオン」とのコラボレーションを発表し、エヴァ2号機のカラーリングで「TONE Team 4413 EVA 02 BMW」として参戦。昨年の優勝ライダー、星野知也、吉田愛之助のコンビに加え、新たにドイツ選手権を戦う元WSBKライダーのレアンドロ・メルカドの起用が決まりました。メルカドはレースウィークからの合流ですが、昨年もハンネス・スーマーを起用して躍進しただけに今年も優勝候補と言えるでしょう。
EWCクラス以上に激しい戦いになることが予想されるSSTクラスのレースにも要注目。昨年よりも9チーム多い55チームを集めて開催される「第46回鈴鹿8時間耐久ロードレース」はぜひ推しチームを見つけて楽しんでください。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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