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鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レーススタートまであと2日
「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」の開催がいよいよ2025年8月1日(金)〜3日(日)に迫ってきました。「第46回鈴鹿8耐」は「J SPORTS」で生中継。このレースをより楽しんでいただくために、決勝レースがスタートするまでの間に8個のトピックスを取り上げ、今年の鈴鹿8耐の見どころをご紹介。第7弾は8月2日(土)に開催される特別な予選「トップ10トライアルの魅力」についてです。
灼熱の耐久レース「鈴鹿8耐」のもう一つの魅力にポールポジションを決める最終予選「トップ10トライアル」があります。これは金曜日の予選(ライダー上位2人の平均タイム順)で上位10位までのチームが参加できる特別予選で、8月2日(土)の午後に行われます。ライダー1人がコースを占有してタイムアタックするため、トップライダーのフルアタックをじっくり楽しめる特別なショーです。
海外では「SUPER POLE」と表現されることが多い一発アタックの予選方式ですが、2輪ロードレースでは実は鈴鹿8耐が先駆者と言われています。元々は北米のモータースポーツにヒントを得た予選方式ですが、1994年から20チームの最終予選が「スペシャルステージ」という名前で開催され、後にWSBKがこの方式を採用。そして2000年代は4輪のF1やSUPER GTもこの予選方式を採用していました。現在はこの予選方式を使い続けるレースは少なくなり、「トップ10トライアル」という名前に変わり、鈴鹿8耐の名物になっています。
決勝レースは徒競走から始まるル・マン式スタートですし、ゴールまでの8時間という長時間レースにおいてポールポジションはあまり大きな意味をなさないかもしれません。ですから中にはこのアタックをそれほど重要視しないチームがあるのも事実です。かつてはタイヤメーカーがポールポジション争いに躍起になってスペシャルタイヤを用意したりしていましたが、現在は決勝と同等スペックのタイヤで挑むチームがほとんどです。
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【#鈴鹿8耐 注目チームインタビュー】#76 オートレース宇部 Racing Team Rider BLUE 浦本修充選手
とはいえ、コース全域を一人で独占する特別な予選ですから、プロのレーシングライダーたちの魂が揺さぶられないわけがありません。実は鈴鹿8耐に出場したいと思っているMotoGPやWSBKのライダーたちもこの予選を注目して見ているそうで、彼らが一度はトライしてみたいタイムアタックになっているそうです。
チームからは「バイクを壊すなよ」と釘を刺されつつも攻めてしまうのがライダーの性(さが)。特に調子の良いライダーは誰にも負けたくないという気持ちが先走ります。昨年はYART YAMAHAの第1アタッカーのマービン・フリッツが2分5秒130というベストタイムを記録し、その後ライバルたちが更新できない状態が続き、チームのポールポジションはすでに確定していたのですが第2アタッカーのカレル・ハニカが猛烈な走りを披露。セクター1の区間タイムでフリッツを上回った直後に大転倒を喫してしまいました。チームメイトに負けたくないという気持ちがライダーに限界ギリギリの走りをさせ、観客があっと驚くスーパーアタックを楽しめる。「トップ10トライアル」はそんな最高のショーです。
今年の鈴鹿8耐で過去にポールポジション経験があるのは中須賀克行(4回)、津田拓也(1回)、マービン・フリッツ(1回)の3人だけ。中須賀克行(YAMAHA RACING TEAM)がポールを取れば5回目となり、ワイン・ガードナーに並んで歴代2位の記録となります。2019年にもポールを獲得している中須賀はヤマハ発動機70周年に華を添えるべく、ポールポジションを狙ってくるでしょう。
昨年惜しくもポールを逃したのは「DUCATI Team KAGAYAMA」の水野涼。外国車初のポールポジションは達成できませんでしたが、鈴鹿のJSB1000でそのポテンシャルは証明されていますから、今年はポールを狙える可能性は高いと思います。ただ、全日本JSB1000のテストで負ってしまった怪我の具合次第。無理はできません。
そんな中、ポールポジション争いに名乗りを上げてきそうなのが、BMWで走る「オートレース宇部 Racing Team」の浦本修充です。1回目の合同テストでは2分5秒台のタイムをマークし、総合トップタイムを記録。この時は耐久用にパワーダウンしていなかったようですが、耐久仕様でロングランを行った2回目のテストでも2分5秒台をマークしました。浦本は初めての外国車によるポールポジションを狙ってくるはずです。
ポールポジション争いのターゲットタイムは東コースの路面改修も影響し、2分4秒台を争う戦いになってくるでしょう。風向きや気温次第では2分4秒台前半のタイムが出てくるかもしれません。FIM EWCの規定で、コースレコードは決勝レース中のベストタイムが認定されるため、語り継がれる記録としてだけ残りますが、鈴鹿8耐の複数ウイナーである高橋巧(Honda HRC)もマイケル・ファン・デル・マーク(BMW Motorrad WORLD ENDURANCE TEAM)もポールポジション経験はありませんから、彼らもポールを狙ってくるのではないでしょうか。例年以上に今年の「トップ10トライアル」は盛り上がりそうです。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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