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モーター スポーツ コラム 2025年7月28日

【鈴鹿8耐特集 | 決勝まであと6日】ついに逆転が起きる?外国車の勢いがすごい!

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レーススタートまであと6日

鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レーススタートまであと6日

今年で46回目の開催となる伝統のバイクレース「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」の開催がいよいよ2025年8月1日(金)〜3日(日)に迫ってきました。「第46回鈴鹿8耐」は「J SPORTS」で生中継。このレースをより楽しんでいただくために、決勝レースがスタートするまでの間に8個のトピックスを取り上げ、今年の鈴鹿8耐の見どころをご紹介。第3弾は今年の鈴鹿8耐を語る上で重要なトピックス「国産車vs外国車」についてです。

MotoGPやWSBK(スーパーバイク世界選手権)をご覧の方ならご存知かと思いますが、かつてはバイクレースを席巻していた日本メーカーが近年苦戦を強いられています。昨シーズン、MotoGPではドゥカティ、KTM、アプリリアが上位を占め、WSBKではドゥカティとBMWが勢力図の中心に居る状態です。スプリントレースでは日本車の苦戦が特に顕著になっています。

一方、耐久レースでは今も日本車が優勢です。昨年はスズキの「YOSHIMURA SERT MOTUL」が年間チャンピオン、2位にヤマハの「YART YAMAHA」と日本車が上位2位までに入っています。しかし、BMWのワークスチーム「BMW Motorrad WORLD ENDURANCE TEAM」がランキング3位を獲得。そのBMWワークスが日本メーカーと同じブリヂストンのタイヤに変更した今季は勢力図に異変が起きてもおかしくはない状況になっています。

国内レースを見ても外国車の勢いは増すばかりです。昨年から「DUCATI Team KAGAYAMA」がドゥカティ・パニガーレV4Rのワークス仕様車を投入し、JSB1000でも3勝をマークする大活躍を見せ、今季も開幕戦ではホンダ、ヤマハ、スズキのワークスチームを凌駕しました。さらに「オートレース宇部 Racing Team」が今季からBMW M1000RRワークス仕様と同等スペックのマシンを投入。開幕戦、第2戦とヤマハワークスとバトルを展開して表彰台を獲得しました。JSB1000では明らかな変化が起こっています。

JSB1000と近いレギュレーションの鈴鹿8耐・EWCクラスでもドゥカティ・パニガーレV4RとBMW M1000RRは高いポテンシャルを発揮すると考えられ、国内メーカーはまさに戦々恐々といった状態にあります。

昨年、惜しくも表彰台を逃し、4位完走となったドゥカティ・パニガーレV4Rは今年も「SDG DUCATI Team KAGAYAMA」でエントリー。元々WSBKで使われていたマシンでポテンシャルは充分なのですが、ドゥカティにはいわゆる「耐久仕様」のパーツが存在せず、24Lの耐久レース用給油タンクをはじめ、耐久レースに必要なパーツの製作はTeam KAGAYAMA独自で行われなければなりませんでした。

昨年、表彰台を逃した要因の一つがピットインの際のタイヤ交換時間にあると加賀山監督は認めています。パニガーレV4Rはリアタイヤを支えるスイングアームが左側のみの片持ち式を採用しています(市販車ベースのレースですから基本構造を変えることはできません)。そのため、タイヤ交換の際にスタンドを横から刺すシステムになっているのですが、両持ち式のライバル勢に比べるとスタンドをかけてバイクを持ち上げるのに余分に時間がかかってしまっていました。

ピットストップの度にその時間で負けていると、8回ほどのルーティーンピットでは大きな差になってしまうわけです。これを解消するために今年、「SDG DUCATI Team KAGAYAMA」は4輪レースのスーパーフォーミュラで使われているセンターナット式のタイヤ交換システムからアイディアを得た新しいクイックチェンジシステムを採用。ピットストップの短縮を狙います。

一方でBMWはS1000の時代からプライベートチームが使うことを想定した「カスタマーレーシングサービス」の考え方重視でレースマシンを設計、製作、販売しています。そのため、耐久レース用のパーツが豊富に存在しています。ネット注文でパーツをオーダーできることから、鈴鹿8耐でも以前から多数のプライベートチームがBMWを使っています。また、耐久レースを想定した仕様でも充分にJSB1000などのスプリントレースで闘えるポテンシャルを備えていることも大きな特徴です。

一昔前までは耐久レースで信頼性が高い日本車以外を選択するなんてことはヨーロッパの人でも考え付かなかったことですが、BMWは開幕戦ル・マン24時間では3位、4位完走。スパ8時間では2位、SSTクラス優勝と今季も好成績をあげており、もはや信頼性は日本車と互角と言えます。

とはいえ、鈴鹿8耐ではホンダ、ヤマハのワークスマシンが強さを見せるでしょう。彼らは鈴鹿8耐で勝つことを主眼に「鈴鹿8耐スペシャル」のマシンを作り、繰り返しテストをしています。極端な話、鈴鹿8耐で勝てばOKで、その後は展示車になるというマシンなのです。汎用性を考えたマシン、スプリント仕様のマシンを使うプライベーターが真っ向勝負するのはなかなか大変なことでしょう。

しかし、鈴鹿8耐でも外国車によるポールポジション、表彰台、あるいは優勝が起こる可能性は徐々に増しています。今年の8耐は日本メーカーにとって、予選から負けるわけにはいかない闘いなのです。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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