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ローランド(日産)が初王座獲得!日産はチーム&メーカー王座をかける | FIA フォーミュラE世界選手権 2024/25 第16戦 ロンドン プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシドライバーズチャンピオンを獲得したオリバー・ローランド(日産)
電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE世界選手権」のシーズン11(2024年〜25年)もいよいよフィナーレ! 7月26日(土)27日(日)にロンドンのエクセル・ロンドンサーキットを使って行われる最終ラウンド「London ePrix」が開催されます。そのレースの模様は「J SPORTS」で生中継。今回はシーズン11の締めくくりとなる第15戦、第16戦のプレビューをお届けしましょう。
さて、前戦ベルリンでは大量リードを築きランキング首位を走り続けてきたオリバー・ローランド(日産)が最終ラウンドを待たずして見事シーズン11のドライバーズチャンピオンを獲得しました。フォーミュラEとしては10人目のシリーズチャンピオンが誕生。そして日産にとっては初のチャンピオンドライバー輩出となりました。
ローランドはベルリンの第13戦でリタイア、ノーポイントとなってしまい、痛恨の無得点レースを作りピンチに追い込まれましたが、第14戦では4位フィニッシュを果たしてタイトルを決定することができました。今季はまさにオリバーイヤーと言っても良いくらい、飛び抜けた速さ、強さ、しぶとさがありましたからチャンピオンの称号は当然の報いと言えるでしょう。オリバー・ローランド(日産)は栄光のチャンピオンドライバーとして、母国イギリスに凱旋することになりました。
日本メーカー&チームとしても初のドライバーズチャンピオン輩出を果たした日産ですが、最終ラウンド「London ePrix」ではさらに2つのタイトルを狙う大仕事が待っています。チームチャンピオンと今季から始まったマニュファクチャラーズチャンピオンの獲得です。
ただ、チームチャンピオンシップの「日産フォーミュラEチーム」、そしてマニュファクチャラーズの「日産」、そのどちらも現状はランキング2位になってしまっており、ロンドンでは逆転させなければなりません。
今季の日産ワークスチーム「日産フォーミュラEチーム」はローランドがシーズンを通じて好調だったものの、再加入したノーマン・ナト(日産)の成績が安定しませんでした。ナトの決勝でのポイント獲得は僅かに2回だけ。4勝、ポール3回、表彰台7回のローランドとは比べものになりません。現状、ポルシェワークスチーム「タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム」に対して23点負けており、この逆転にはナトのロンドンでの頑張りが必要になってきます。
ハイライト
【決勝 ハイライト】FIA フォーミュラE世界選手権 2024/25 第14戦 ベルリン(ドイツ)(7月13日)
一方でポルシェワークスはパスカル・ヴェアライン(ポルシェ)=ランキング2位とアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)=ランキング4位という2人のコンビで、優勝こそヴェアラインの1勝だけに留まっていますが2人揃って表彰台の登ることも多く、結果を残す安定感という意味では日産ワークスチームよりもアドバンテージがあります。2人ともチャンピオン経験者というラインナップが活きている何よりの証ですね。日産ワークスチームの逆転はかなり難しいと考えられます。
パワートレインサプライヤーの選手権であるマニュファクチャラーズ選手権でも「ポルシェ」が「日産」を7点リードしています。日産パワートレイン勢としては「マクラーレン」の21歳、テイラー・バーナード(マクラーレン)がルーキーイヤーらしからぬ走りで5回の表彰台を獲得し、ドライバーズランキングは3位につける活躍ぶり。ノーマン・ナト(日産)が不振だった分のアシストをポイント獲得でもしてきた形になっています。
躍進する21歳のテイラー・バーナード
「マクラーレン」は今季限りの撤退を発表。フォーミュラEとしては買い手を探していた状態ですが、現状新たなチームの参入の話はなく、有望なテイラー・バーナード(マクラーレン)は他チームからのオファーを待たなくてはいけない状況です。好調だったマクラーレン・ニッサンのパッケージでラストとなる「London ePrix」で史上最年少優勝記録の更新となればマニュファクチャラーズ選手権での日産の逆転タイトル獲得は充分にあり得ることでしょう。ちなみに「日産フォーミュラEチーム」は「London ePrix」で新型リーフの発売を記念してそのイメージカラーである水色のスペシャルカラーで走ることが発表されています。
フォーミュラEの来季シーズン12に関してはまだドライバーラインナップの多くが確定していません。ベルリンでも優勝し、シーズン後半に調子を取り戻しつつあるニック・キャシディ(ジャガー)が来季はチームを離れることを発表していますが、その移籍先も不透明です。各ドライバー、多くの選択肢を探ることができる状態を作るためには重要なレースの一つである「London ePrix」で好成績を残したいところでしょう。
今季はテイラー・バーナード(マクラーレン)、ダン・ティクトゥム(クプラ・キロ)らワークスチームに属さない若手の活躍も目立ちました。彼ら以上のインパクトを残すことも必要です。9人のウイナーが誕生した今季の締めくくりで10人目、11人目のウイナーが現れることも期待したいですね。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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