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5月に富士スピードウェイで行われた第2戦の様子
6年ぶりとなった海外戦から1ヶ月強。夏休み本番の8月2、3日には再び富士スピードウェイにSUPER GTが戻ってくる。前回、5月の一戦は3時間レースの長距離戦だったが、今回はスプリントでの戦いが待ち受ける。SUPER GT史上初となるこのイベント、いったいどのようなレースになるのか。
・SUPER GT"らしくない"レース!?
日本国内最高峰のGTカーレースとして知られるSUPER GT。基本、ふたりのドライバーが1台のクルマをシェアし、速さが異なるGT300クラスとGT500クラスの車両が混走しつつ、クラスごとの順位を競う。条件が異なる車両が同じコース上を走ることによって生じる混戦、さらには与えられたサクセスウェイト等の諸条件によって限りなくイコールコンディションを保ちながらシーズンの戦いを重ねていくため、つねに緊迫した状況下でのバトルを繰り広げている。まさにこれがSUPER GTのダイナミックさ、難しさであり、厳しい条件のなかで戦いに臨む姿にファンは酔いしれる。
しかし! 第4戦は、そのSUPER GTならではの醍醐味を一旦忘れてレースに没入していただきたい。「FUJI GT SPRINT RACE 夏休みスペシャル」と称されるように、今回はSUPER GTでありながら、レース自体は”完全に”スプリントレースとして開催する。ひとりのドライバーだけで1レースを戦う形になるのだ。なお、2010年から2013年の間には、「富士スプリントカップ」の名で同じようなイベントが実施されたが、これはシーズン終了後のノンタイトル戦として行なわれたもの。SUPER GTでは公式戦として過去に最短となる250kmレースを開催したこともあるが、当然ながらふたりのドライバーが1台のクルマをシェアしての戦いだった。
今回は、レースウィーク初日の2日(土)にGT300、GT500両クラス混走での35周を競う。およそ160km、時間にして1時間ほどのレースになりそうだ。続く3日(日)は、50分間の時間レースとなり、GT300クラスとGT500クラスがそれぞれクラス別で争う。距離にしておよそ115km、約25周のレースを2回行なうことになる。なお、各日とも午前中に公式練習および予選を実施するが、当日参戦しないドライバーは出走することができない。結果として1レースに出走するドライバーはひとりにとどまるが、その分、レースウィーク中は3レースを堪能することができる。さらに、ワンデーレースだけに、これに先立って行なわれる公式練習や予選も見逃せない。公式練習では、スプリントレースに見合うタイヤパフォーマンスをいかに引き出すか、クルマのセットアップがカギになりそうだ。予選もいつものノックアウト方式ではなく、計時方式を採用。ステアリングを握るドライバーはひとりであっても、一発勝負のクリアラップを求め、チームスタッフとともにもうひとりのドライバーも当日の”主役”をバックアップすることだろう。なお、すでに7月21日付けでSUPER GT公式ウェブサイトにはエントリーリストが発表されている。お気に入りドライバーがどちらのレースに出走するのか、事前にチェックすることもお忘れなく!
・スプリントレースは、”ないないづくし”!?
スプリントレースのフォーマットが導入されるのは、SUPER GT公式戦として史上初のこと。そのため、いつものレースで見慣れた”アレ”や”コレ”がない。あらためておさらいしよう。
まず、「ドライバー交代」。前述のように1レースに出走するドライバーがひとりのため、当然交代する必要がない。また、「給油およびタイヤ交換義務」もない。給油不要の距離であり、タイヤは無交換、マネージメントも心配無用だ。そして「サクセスウェイト」も今回は搭載しない。第3戦終了時点でGT500クラスでは全15台中13台が、GT300クラスでは全27台中24台がサクセスウェイトの対象となっているが、今回は全車が開幕戦同様ノーウェイトで戦うことになる。シーズン序盤から好成績を得てサクセスウェイトに青息吐息だったチームにとっては、久々に開放感たっぷり!? の戦いが可能となるというわけだ。どのチームにとっても純粋にクルマのポテンシャルを活かした走りに徹することができるため、パワー全開で戦いに臨んでくるだろう。もちろん、普段以上にタイヤパフォーマンスを存分に発揮できると意気込むチームもいるはず。各チームが持つ、さまざまな強みを発揮する絶好のチャンスとなりそうだ。
この”ないないづくし”によるスプリントのガチンコレースは、普段のSUPER GTとは異なり、とにかくすべてが単純明快。予選で好グリッドを手に入れることがレース結果に直結する可能性が極めて高く、いつも以上に予選セッションが白熱するはず。ワンデーレースということもあり、短期決戦の戦いは予選から盛り上がること、間違いなし! 一方、サーキットで観戦するファンにとっても、スタート後はコース上を走るクルマの順位がそのまま結果となるため、シンプルにレースを楽しめるだろう。
・中盤以降の戦いを見据え
今回、シリーズ戦の中盤にノーウェイトでの戦いを実施することになり、重いサクセスウェイトを搭載するライバルとの差を縮める絶好のチャンスがなくなった、と嘆くチームがいるかもしれない。しかし、ノーウェイトのスプリントレースだからこそ、普段のレースならできないようなアプローチが可能となることで、いつもと異なるパフォーマンスを披露できるチャンスもあるのではないか。クルマとドライバーの実力をしっかりと引き出す準備を進めるなか、シーズン中盤から後半に向けてどのようなアプローチが必要なのか、最適な解を見つけるきっかけに繋がることもある。SUPER GT”らしくない”今大会を機に、ランキングを上げてくるチームが現れることになれば、よりいっそうこの先のシリーズ戦も活気づくというもの。ファンの皆さんも、SUPER GT史上初となるスペシャルなレースウィークを存分に堪能していただきたい。
文:島村元子
島村 元子
日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。
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