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マレーシアでのSUPER GT開催は2013年以来12年ぶりとなる
2025年シーズンのSUPER GTは、今季一番の注目レースであるマレーシア大会を迎える。近年はコロナ禍の影響もあり、海外ラウンドの開催が見送られていたが、2019年のタイ大会以来、マレーシアでのGT開催は2013年以来ということになる。
舞台となるのは、かつてF1マレーシアGPの開催コースであり、SUPER GTでも数々の名バトル・名シーンを生んだセパン・インターナショナル・サーキット。実はクアラルンプール国際空港のすぐ隣に位置している。
ここ最近はシーズンオフに行われるメーカーテストの舞台となっているが、最近SUPER GTを観始めたファンにとっては馴染みの薄いコースでもあるだろう。改めて、今回のセパンはどんなコースなのか? 同コースで3勝の実績を持つ松田次生と、前回の第2戦富士を制した大湯都史樹に、コースの特徴や攻略法などを聞いた。
【掴みどころがないから難しい】
「セパンは良い思い出もあれば、悪かったこともありましたけど、やっぱり初めてセパンで勝ったときですね。ラルフ・ファーマンと組んだ年(2002年)で、あの時は自分にとっての初海外戦だったので嬉しかったですし、そこと最後のセパンでJP(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)と勝てたこと。そこは良かったで」
2013年のセパン大会で優勝を飾った松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組#12 「カルソニックIMPUL GT-R」
そう語るのは、リアライズコーポレーション ADVAN Zをドライブする松田。セパンはレースだけでなくテストで何度も訪れているため、知り尽くしたコースのひとつと言っても良いかもしれないが、意外にも満足いくラップを刻めたことはないという。
「気持ちよく『決まった!』という記憶があまりないんですよね。感触としては良くなかったのに、『なんでタイム出たんだろう?』とか『めっちゃ決まったはずなのに、なんでタイムが出なかったんだろう?』とか。そういうところがけっこうあって……セオリーに行くというのが一番じゃないかなと思います」
1999年に開業し、大小合わせて14のコーナーがあるセパン・インターナショナル・サーキット。なかにはダブルヘアピンや複合コーナーなど難易度の高いコーナーもある。
テストで走行経験のある大湯も、「掴みどころが難しいですね。だけど、クルマやタイヤの特性差は出やすそうだなと感じたサーキットです」と話す。
各コーナーで攻略法はさまざまだが、なかでも2人が難しいと語るのがコース中盤のターン7&8。右の中高速コーナーが2つ連続で現れるポイントだ。
大湯:「強いていうなら中盤のターン7と8ですね。つい(攻めに)いきたくなるんですけど、頑張ると逆に遅いんですよ」
松田:「そうそう。頑張りすぎると、入り口でオーバーステアになったり、出口がアンダーステアになってしまったりとか……。めちゃくちゃイヤらしいコーナー」
大湯:「本当に難しくて、ターン8での脱出速度をあげようと思ってターン7を抑えると、ターン8の脱出が遅くなるんですよね」
松田:「それで、ターン7で攻めすぎると、ターン8の脱出が遅くなるんですよね……。2つのコーナーが連なっていますけど(ラインとしては)ひとつのU字を描く感じ。そのラインの描き方も難しいんです。早くインにつくのか、もうちょっと外側から入っていくのか。それに加えて風向きによってエアロが抜けたりして、さらに難しくなったりします」
攻めすぎても抑えすぎてもいけないという区間は、今週末観戦する上で見どころとなりそうだ。
【気になるオーバーテイクポイントは? 混走で想定されることは?】
レースを観る上で気になるポイントといえば、やはりオーバーテイクポイント。セパン・インターナショナル・サーキットはコース幅広く、フルブレーキングで減速して飛び込んでいくコーナーもある。一見すると、バトルが頻発しそうだが、2人からは意外な答えが返ってきた。
松田:「基本的には1コーナーだと思います。アウトから抜きに行って、並びながら2コーナーに行ければイン側をとれるので。ただ、今のクルマだとそこまで行けるかが未知数ですね」
大湯:「2本のストレートがありますがスリップストリームも効くようで効かないので……多分オーバーテイクはそんなに多くないのかなと思います」
以前、SUPER GTがここで開催されていた時は、最終コーナーでのオーバーテイクシーンもよくあったが、GTが開催されなくなった期間中にコース改修があったという。
松田:「最終コーナーがコース改修されて、逆バンクみたいになったので、インに飛び込めなくなったんですよ。以前僕がレースをしていた時はフラットな形状だったんですけど『なんでこうなっちゃうの?』というくらい。インに飛び込んでも外に流されるので、(メインストレートで)クロスラインを取られて抜き返されてしまうかなと」
大湯:「GT300のことも抜きにくいので、だからこそ混走がきっかけで起きるバトルはあるかもしれないですね。でも、基本的にどのコーナーもラインを外せないです」
松田:「そう、けっこうライン外は埃っぽいんです」
GTV#3ではセパン・インターナショナル・サーキットの攻略を徹底解説!
GTV 2025 〜SUPER GT トークバラエティ〜 #3
【教えて次生先生】GTV 2025 〜SUPER GT トークバラエティ〜 #3-4
また、以前のSUPER GTと異なるのは各クラスの参戦車両。GT300はGT3マシンの比率が多くなったほか、GT500も共通モノコック化など、12年前とは大きくレギュレーションが異なる。それゆえに、松田はオーバーテイクが難しいと予想する。
松田:「昔はGT500とGT300の差があったんで、結構抜きやすかったんですけど、今はそんなに差がありません。向こう(GT300)はABSを使ってブレーキも奥まで行ってしまうので、ブレーキングポイントで抜きに行っても抜ききれないことがあるんです」
【2人が語るマレーシア大会の見どころは?】
SUPER GT 2013第3戦
最後に、久しぶりのマレーシア大会で、ここに注目すれば面白そうというポイントを2人に聞いた。
松田:「マレーシア戦はいつも荒れるので、そのなかでどう生き残っていくのかを見てもらうのが良いのと、タイヤ的にもテストの段階ではそこまで悪い感じはなかったので、僕たちとしてはヨコハマタイヤさんと良い形で迎えられればなと思います。でも、スープラ勢が速そうではありますね(笑)」
大湯:「やっぱり、レイアウトも含めて日本にはない要素が多いと思っています。路面のグリップ感も違うので、タイヤへの影響度も変わってくるはずなので、ペース差は出やすくなる気がしています。抜きにくいサーキットではありますけど、団子状態になりやすそうな気もしています。そこの攻めぎ合いみたいなところを、観てほしいなと思います」
日本のサーキットとは異なり、そこまで徹底的に走り込んでいるわけではないサーキット。しかも、GT300クラスでは初体験というドライバーも多い。果たして、どんなレースになるのか。今週末はSUPER GTから目が離せない!
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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