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セパン・インターナショナル・サーキットで開催されたSUPER GT 2013 第3戦
今シーズン第2戦富士の戦いからすでに1ヶ月半が過ぎ、しばし”SUPER GTロス”になった方もおられたのではないだろうか。いよいよ来週末に第3戦が開幕し、戦いの舞台は日本を離れてマレーシアへと移ることになる。蒸し暑いセパン・インターナショナル・サーキットで久々に繰り広げられるレースは、どのような展開が待ち受けるのか。6月27、28日に開催される第3戦「SUPER GT MALAYSIA FESTIVAL 2025」はレーススタート時間はじめ未知数なことが多いだけに、よりワクワクドキドキ感あふれる戦いに期待が膨らむ。
・セパンに集うGT車両は、全34台
現在公開されているエントリーリストには、GT500、GT300の2クラス合計34台の名が記された。内訳は、GT500クラスが15台、そしてGT300クラスが19台となっている。レースをよく知るファンの皆さんは、国内戦より出走台数が少ないことにすぐ気がついたかもしれない。これは、SUPER GTをプロモートするGTアソシエイション(GTA)が先んじて発表している最大決勝出走台数に基づいたもので、セパンの場合、サーキット内のピット数の関係もあり、日本からの参加車両は33台となっている。うち、15台がGT500クラスのため、GT300クラスは18台。これに現地特別参加の2台が加わり、合計35台での第3戦開催を予定していたのだが、ではなぜ34台になっているのか。
実は、5月中旬に鈴鹿サーキットで行なわれたGTエントラント協会(GTE)主催の合同テストにおいて、セパン戦参加資格のあったNo.20 シェイドレーシング GR86 GTが車両火災に見舞われ、最終的に参戦を見送るという辛い決断を下すことになったため。残念ではあるが、一戦でも早い復活を願うばかりだ。
一方、参戦車両のなかでは2台がドライバーラインアップを変更している。No.4 グッドスマイル 初音ミク AMGは、レギュラードライバーの谷口信輝、片岡龍也が同日にベルギーのスパ・フランコルシャンで開催される24時間レースにチーム参戦するため、代わって中山友貴と奥本隼士が参戦を果たす。また、No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rは、第2戦に続いてジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが欠場するため、平手晃平と金丸ユウのコンビで出走する。
なお、特別参加で出走するのはNo.333 EBM Vantage GT3(ケロン・リー/ジェゼマン・ジャファー)とNo.611 EBM GIGA 911 GT3(エイドリアン・ダ・シルバ/ドリアン・ボッコラッチ)の2台。アール・バンバー・モータースポーツ(EBM)はオーストラリアやアジアで幅広いモータースポーツ活動を行っており、チーム代表のアール・バンパーは、ル・マン24時間レースのLMP1-Hクラスでポルシェのファクトリードライバーとして2015年と2017年に優勝を達成したドライバーとして知られる。もともと、2020年に開催予定ながらコロナ禍でキャンセルされたマレーシア戦へ出場を計画していたチームでもあるのだが、ようやくSUPER GTの参戦が実現したというわけだ。ジャファーとダ・ジルバはマレーシア人で、ボッコラッチはフランス人。そしてケロン・リーは中国人という編成。車両は、今シーズンのSUPER GTでも存在感を見せているアストンマーティン・バンテージGT3エボとポルシェ911 GT3Rを投入する。また、チームドライバーはGTワールドチャレンジ(GTWC)のオーストラリアやアジアシリーズにも参戦するなど、経験も豊富。勝手知ったるセパンのコースを味方に、SUPER GT車両とどんなバトルを披露するのかも見どころのひとつと言えるだろう。
・セパンでのSUPER GTは12年ぶり!
コロナ禍で暫く開催が見送られてきた海外戦。今回は、6年ぶりの復活となるが、その舞台がタイからマレーシアへと移っている。2014年から2019年までタイのチャン・インターナショナル・サーキットでの開催だったが、実のところ、それ以前はセパンが戦いの舞台だったのだ。初年度の開催は、SUPER GTがまだ全日本GT選手権として開催されていた2000年。翌年もエキシビションレースとして行なわれ、2002年からシリーズ戦として盛り込まれた。翌年は、SARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大の影響を受けて開催を見送ったが、2004年には復活。以降、2013年までシリーズ戦を開催してきた。
中高速コーナーが多いテクニカルコースとして知られるセパン。マレーシアは熱帯雨林気候に属しており、当然ながらレースウィーク中はタフな暑さとの戦いが予測される。一方、日本の季節とは異なり、今は乾季の期間。1日中雨になることは稀で、いわゆるスコールと呼ばれる激しい通り雨が降ることが多い。このため、各チームともつねに雨を意識しつつ、コースに合うセットアップを見つけることが求められるだろう。
先述のように、SUPER GTのシリーズ戦としては12年ぶりとなるが、コロナが落ち着き始めた頃からシーズンオフにはGT500クラスがテストを実施している。今冬も多くのドライバーが現地での走り込みを経験しており、レースに向けての心配点も少ないと思われる。その一方、GT300クラスでは経験値にバラツキがあるかもしれない。アジアを中心に開催されるGTシリーズに参戦経験があればセパンも走っているだろうが、まったく初めて、というドライバーも少なくない。もちろん、昨今は事前にシミュレータを活用して戦いに臨むこともできるため、経験値だけがすべてではない。とはいえ、やはり本場の蒸し暑さや国内サーキットと異なる路面の特性など、”肌で感じる”違いも皆無ではないはず。幸い、今年は26日(木)の午後4時30分から1時間半、そしてサーキットサファリ併催で午後6時から1時間のフリープラクティスが設けられている。27日(金)の予選、そして28日(土)の決勝レースも同じ午後4時30分スタート予定のため、しっかりと予選、決勝に向けて準備に充てることが重要になってくるだろう。
・トップランカーは”燃リス”調整併用の戦いに
第2戦終了時のGT500クラスランキングトップはNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)。開幕戦優勝、第2戦2位の快進撃でサクセスウェイト(SW)は70kgに。ただし、燃料流量リストリクター径の調整を併用したサクセスウェイトが課され、実際に搭載するのは36kgとなり、代わりに2ランクダウンのリストリクター径を使用することになる。一方、第2戦で悲願の優勝を果たしてランキング2位となったNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)のSWは42kgのため、まだリストリクター径の調整はない。同3位のNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)もSWが42kgにつき、38号車と同条件。つまり、1号車だけがパワーを制限された状態で戦うことになるが、テクニカルコースのセパンではどのような影響があるのか。まずは初日のフリープラクティスでの結果を注視したい。
一方、GT300クラスでは、ランキングトップのNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)が72kgのSWとなっており、「サクセス給油リストリクター」を併用したSWが課される。これは今シーズンからGT300クラスに新たに導入されたもので、65号車が初めてその対象になる。給油流量リストリクターの径を調整して燃料給油時間にかかる時間を強制的に長くするため、通常に比べてピットストップ時間が延びることになるのだが、どれほどのタイム差が生じるのか。チームとしては、周到な準備をもって戦いに臨まねばならないだろう。対するライバルたちは、シーズン中盤以降のタイトル争いに加わるためにも、好機をつかみたいところだ。
・セパンをよく知るドライバーもたくさん!
GT500クラスはセパンでのテストを定期的に実施しているものの、実戦は12年ぶりにつき、いつも以上に不確定要素がありそうな今大会。そうなると、セパン戦を知るドライバーの”引き出し”が活きるのでは?
そこで、過去のレースを調べたところ、セパンでのラストレース、つまり2013年に勝利したのは、GT500クラスがNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)、またGT300クラスは、No.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志)。なんと、全選手が今シーズンも参戦している。オリベイラは母国ブラジルのストックカーシリーズ出場につき今回は欠場するが、残る3選手はクラスやチーム、車両こそ違うものの、久々のセパンで再び活躍が期待される。なかでも松田はセパンで3勝、高木も2勝しており、相性も良さそう。そんな、”セパンあるある”を事前にリサーチしながらレースを観るのも楽しいかもしれない。現地に足を運ぶファンはもちろんのこと、TV観戦の皆さんは、予選、決勝ともにJ SPORTSでしかと戦いの行方を追いかけていただきたい。日本からはわずか1時間の時差につき、眠い目をこすらずとも存分に楽しめるのではないだろうか。
文:島村元子
島村 元子
日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。
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