【ル・マン特集 | 決勝まであと11日】元2輪世界王者ロッシが挑む2度目のル・マン

決勝レーススタートまであと11日

100年以上の歴史を誇る自動車耐久レースの代名詞「ル・マン24時間レース」が2025年6月14日（土）〜15日（日）に開催されます。「J SPORTS」ではFIA WEC（世界耐久選手権）の中で最も重要なこのレースを今年も24時間完全生中継。このレースをより楽しんでいただくために、決勝レースがスタートするまでの間に24個のトピックスを取り上げ、今年のル・マンの見どころをご紹介しています。第14弾は２輪レースファンも注目したい「バレンティーノ・ロッシの挑戦」についてです。

2輪最高峰クラスで7度のワールドチャンピオン、全クラス合計すると9度もワールドチャンピオンの座に輝いたバイクレース界のレジェンド、バレンティーノ・ロッシが今年もル・マン24時間レースに参戦します。ロッシが参戦するのは「LMGT3」クラスで、マシンは昨年と変わらずBMW M4 GT3です。

昨年からFIA WECに参戦を開始したロッシは昨年がル・マン初出場。2023年には前座レースのル・マンカップでクラス優勝を果たし、昨年ようやく本戦出場となりました。残念ながらチームメイトのジェントルマンドライバー、アハマド・アルハーティのクラッシュによってリタイアとなってしまいましたが、ロッシが昨年、ル・マンやFIA WECで見せた素晴らしい走りは4輪でも世界レベルにあると言っても過言ではないインパクトがありました。

2輪レースのスーパースターだけあって、パドックでの人気もやはり凄いものがあります。富士スピードウェイでも観客の2割くらいがロッシファンなのでは？と思ってしまうほど、ロッシグッズやヤマハのウェアなどに身を包んだロッシファンが集結。ピットウォークは常に人だかりができていました。富士スピードウェイのイベント施策として行われた、子供たちとの「玉入れ競争」にロッシが参加したのは実にシュールでしたね。2輪レースの現場では絶対あり得ないシーンでした。

BMW M4 LMGT3

ロッシが乗るBMWは富士スピードウェイで3位表彰台を獲得。しかも、ロッシのオーバーテイクもあっての表彰台でしたから盛り上がりました。そして、2年目の今年は、ロッシの母国イタリアのイモラで開催された第2戦でハイパーポール予選に進出。バレンティーノ・ロッシ自らのタイムアタックで「LMGT3」クラスのポールポジションを獲得。ロッシはついに4輪レースの世界選手権でもポールポジション獲得者としてその名を刻むことになりました（厳密にはLMGT3の格式はFIAトロフィーですが）。

今季はアハマド・アルハーティがブロンズドライバーで変わらずですが、プラチナドライバーはDTM（ドイツツーリングカー選手権）で昨年ランキング2位を獲得したケルビン・バン・デル・リンデに変更。彼はアウディから乗り換え、FIA WECではレクサスから乗り換えとなりますが、ニュルブルクリンク24時間レースで2回の総合優勝を飾ったGTカーのプロが加入したことで、ル・マンでロッシがクラス優勝を飾ることも決して夢物語ではないのかもしれません。

昨年以上にドライバーとしてのパフォーマンス面でも期待が持てるバレンティーノ・ロッシ。国際映像には頻繁に映ってきますので、2輪レースファンもル・マン24時間レースは必見ですよ。

文：辻野ヒロシ