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モーター スポーツ コラム 2025年5月28日

興奮の東京大会で日産が優勝。続くアジアラウンドは上海 | FIA フォーミュラE世界選手権 2024/25 第10戦 上海 プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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第9戦の東京大会で勝利したローランド(写真中央)

第9戦の東京大会で勝利したローランド(写真中央)

ダブルヘッダー開催となった東京大会から2週間。「フォーミュラE世界選手権」のシーズン11(2024年〜25年)は上海へ。5月31日(土)、6月1日(日)の2日間、上海インターナショナルサーキットで「Shanghai ePrix」が開催されます。今回も土日開催の2レース制で行われるレースは「J SPORTS」で生中継。第10戦・第11戦のプレビューをお届けしましょう。

さて、先日行われた「Tokyo ePrix」は初の2日間開催になったということで大いに盛り上がりましたね。ピットブーストも採用された土曜日の第8戦は猛烈な風雨となり、予選が中止されてしまいましたが、決勝レースでは赤旗中断前にピットブーストの義務を消化していたストフェル・バンドーン(マセラティ)が作戦勝ちというか、運も大いに味方して優勝。「マセラティ」は昨年所属したマクシミリアン・ギュンター(現DSペンスキー)に続き、東京で連覇を達成しました。

そして、曇り空でなんとかドライコンディションになった日曜日の第9戦はホームレースとなるヤマハのパワートレインを使用するルーカス・ディグラッシ(ローラ・ヤマハ)が予選から素晴らしいアタックを披露するなど、盛り上がりました。

さらに同じくホームレースとなるポイントリーダーのオリバー・ローランド(日産)がデュエル予選でポールポジションを獲得。パスカル・ヴェアライン(ポルシェ)とのスリリングな展開のレースを見事制して今季4勝目をマーク。モナコから4戦連続、今季7回の表彰台を獲得して、ランキング2位のヴェアラインに77点もの差をつけました。

「日産」はチームランキングでも「ポルシェ」を上回り、さらにマニュファクチャラーズランキングでも他を圧倒。始まったばかりの後半戦を圧倒的なマージンを築いて闘える状態です。非常に有利な状況になりましたね。

モナコ、東京とストリートサーキットが4レース続きましたが、今回は常設サーキットの「上海インターナショナルサーキット」での開催です。F1中国グランプリが開催されるフルコースの一部を使う、1周3.051kmのフォーミュラEレイアウトでレースが行われます。

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【決勝 ハイライト】FIA フォーミュラE世界選手権 2024/25 第9戦 東京(5月18日)

昨年はミッチ・エバンス(ジャガー)とアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)が優勝した上海ですが、昨年も大接戦が展開されました。市街地コースと違いF1規格のパーマネントコースだけにコース幅が広く、2ワイド、3ワイドは当たり前。時にはまるでローリングスタートのような2列になってギチギチに間が詰まった集団走行も見られます。まるでバイクレースを見ているかのようなスリップストリームを使った駆け引きが展開されるので、非常に面白いレースになることは間違いありません。

ここでシリーズランキング首位のオリバー・ローランド(日産)が気をつけたいのはそのパック(集団)の中で駆け引きに負けないことです。いくらパックの中にいてもトップとポイント圏外では25点もの差があります。すでに77点の差がついているパスカル・ヴェアライン(ポルシェ)とのギャップですが、ポイント圏外にドボンしてしまうと一気にその差を詰められてしまうことになります。また逆も然り。パスカル・ヴェアライン(ポルシェ)、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)、テイラー・バーナード(マクラーレン)などのランキング上位勢はとにかくここで駆け引きに勝たなくてはいけません。

東京で熱い走りが光ったのはテイラー・バーナード(マクラーレン)でした。初日のフリー走行のクラッシュを乗り越えて、雨の中、猛烈なオーバーテイクショーを披露。前日にクラッシュした場所での追い抜きは見事でした。

そして、ダン・ティクトゥム(クプラ・キロ)も東京で大いに輝きました。第9戦ではデュエル予選で初のフロントローを獲得。クラッシュでポールポジション争いには敗れましたが、レースではアグレッシブかつ積極的な走りを続けて初表彰台を獲得しました。元々実力と速さのあるドライバーでしたが、小規模チームで良い結果を残すのはかなりハードルが高いのが現状です。そのティクトゥムは自らの力でその状況を変えてみせました。彼のフォーミュラEでの人生を変えるかもしれない、印象的な3位表彰台獲得でした。

上海インターナショナルサーキット

上海インターナショナルサーキット

ティクトゥムが所属する「クプラ・キロ」はチャイナレーシング、NEXTEV TCR、Nio、ERTなど名前を頻繁に変えながらフォーミュラEでのレース活動を行ってきました。初年度のシーズン1ではネルソン・ピケJr.を初代ドライバーズチャンピオンに導きましたが、それ以降はテールエンダーの常連。今回の表彰台はシーズン5のメキシコシティでオリバー・ターベイが2位になって以来7年ぶりの表彰台でした。

チームは昨年までのアメリカの投資ファンドがオーナーになったことで、「ERT」から「クプラ・キロ」にチーム名を変更。さらに独自のパワートレイン開発をストップし、ポルシェのパワートレインを今シーズンから使い始めました。チーム国籍は中国からアメリカに変わっていますが、チームのルーツは中国です。安定したポテンシャルを持つポルシェパワートレインの強みを活かして、上海で再び表彰台を獲得できるか注目です。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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