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モーター スポーツ コラム 2025年4月30日

ヤマハのロカテリが初優勝し、シリーズは混戦模様に | FIM スーパーバイク世界選手権 2025 第4戦 クレモナ プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIM スーパーバイク世界選手権 2025 第4戦 クレモナ

FIM スーパーバイク世界選手権 2025 第4戦 クレモナ

市販車ベースにしたスポーツモデルで争う世界選手権「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」の第4戦がクレモナサーキット(イタリア)で開催されます。昨年、WSBKを初めて開催した1周約3.8kmのコースは波乱を産むレースになるのでしょうか?ドゥカティの母国「イタリアンラウンド」として開催されるレースは2025年5月2日(金)〜4日(日)に行われます。「J SPORTS」では今季も同選手権を放送&配信。今回は第4戦クレモナ(イタリア)のレースプレビューをお届けしましょう。

さて、前戦のアッセン(オランダ)は予想外の展開になりました。開幕戦(フィリップアイランド)はニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)の3連勝、第2戦(ポルティマオ)はトプラク・ラズガットリオグル(BMW)の3連勝となり、この2人だけが今季の主役化していくことは容易に想像ができたのですが、またもアッセンは波乱の舞台となり、3レースともに勝者が異なるウィークエンドになりました。近年のWSBKでは1イベントで3人のウイナーが誕生したのは、2024年がアッセン、2023年がモスト(チェコ)のそれぞれ1度だけとレアケースな出来事なのです。

レース1ではポイントランキング首位のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)が優勝し、今季4勝目。ウェットコンディションで行われたスーパーポールレースではトプラク・ラズガットリオグル(BMW)が優勝。そしてニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)にトラブルが発生してリタイア。同じ日に行われたレース2は完全にドライコンディションになりましたが、なんとヤマハ勢が躍進し、アンドレア・ロカテリ(ヤマハ)が今季初優勝。そして、ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)にはまたもトラブルが発生し、2レース続けてのリタイアになってしまったのです。

このコースは昨年王者のトプラク・ラズガットリオグル(BMW)があまり得意ではなく、ドライコンディションでは苦戦。ウェット路面からドライアップしていくトリッキーコンディションのスーパーポールレースでなんとか1勝をマークできました。

ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)にとっては痛い2戦連続リタイアです。今季は優勝3回、2位3回と素晴らしいシーズンスタートだっただけに勝てる可能性のあるレースで37点を失うことになってしまいました。

一方アッセンでの「ヤマハ」勢の躍進は驚きでした。今季はエースのジョナサン・レイ(ヤマハ)が開幕戦から怪我で欠場中。ジェイソン・オハローラン(ヤマハ)が代役を務めていますが、トップチーム体制の「PATA Maxus YAMAHA」は実質アンドレア・ロカテリ(ヤマハ)頼みの状態なのです。YZF-R1にフロントウイングが付いたことで、空力面でのアップデート効果を知るにはなかなか厳しい状況でした。

しかし、アンドレア・ロカテリ(ヤマハ)は第2戦ポルティマオで3位表彰台に立つと、アッセンではレース1で2位表彰台、そしてレース2の優勝と力強いレースを披露。彼にとってアッセンは表彰台経験のある得意コースではありましたが、キャリア5年目にして嬉しい初優勝となりました。ヤマハの優勝は2023年のマニクール以来、約1年半ぶりです。

アンドレア・ロカテリ(ヤマハ)は28歳のイタリア人ライダー。グランプリから転向してきたライダーの一人であり、Moto3時代には表彰台経験もあります。2020年にスーパースポーツ世界選手権に戦いの舞台を移すとYZF-R6で開幕9連勝を含む12勝をマークしてチャンピオンに。その翌年からWSBKにステップアップをしました。

チームメイトだったトプラク・ラズガットリオグル(当時ヤマハ/現BMW)の影に隠れた部分はありましたが4シーズンで17回の表彰台を獲得する活躍を見せており、エースとしてジョナサン・レイ(ヤマハ)が移籍してきてからも、元王者を上回る結果を出し続けてきました。そして勝ち取った初優勝。ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)がトラブルなく走りきっていたら、その後の展開は分かりませんでしたが、何はともあれアッセンでのロカテリは非常に速かったですね。

そして、もう一人、ヤマハで表彰台に上がったのがレース2で3位となったレミー・ガードナー(ヤマハ)。ご存じ、元GP500ワールドチャンピオンのワイン・ガードナーの息子であり、2021年のMoto2ワールドチャンピオンに輝いたライダーです。

ガードナーは2023年にWSBKに転向。ヤマハの第2チームである「GYTR GRT Yamaha」で3年目を迎えています。昨年のアッセンでもレース2で3位表彰台を獲得していますし、Moto2の初ポールもアッセンでした。コースによって成績にムラがあるのは否めないのですが元々のポテンシャルは高いライダーですから今年のこれからのレース次第ではヤマハから再評価を受けてもおかしくないと言えるでしょう。ヤマハ勢の躍進は今後シーズンをより面白いものにしてくれるはずです。

第3戦・アッセンを終えて、ランキング首位はニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)=136点、ランキング2位にトプラク・ラズガットリオグル(BMW)=115点、ランキング3位にアンドレア・ロカテリ(ヤマハ)=107点という構図に。ブレガが大きくリードしてはいますが、昨年が初開催だった第4戦クレモナ(イタリア)では現在ランキング5位につけているベテラン、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)が3連勝しましたし、地元イタリア勢の活躍がシリーズの行方に大きな影響力を及ぼしそうな予感。逆に首位を追いかける立場のトプラク・ラズガットリオグル(BMW)は昨年のクレモナでのレースを欠場していますから、今回が初レースに。

王者の苦戦は続くのか、それとも昨年、クレモナで苦戦したニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)にさらなるプレッシャーを与えることになるのか、見逃せないレースウィークになりそうです。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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