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3連勝するも、アッセンはラズガットリオグルの不得意コース? | FIM スーパーバイク世界選手権 2025 第3戦 アッセン プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ3連勝するも、アッセンはラズガットリオグルの不得意コース?
市販車ベースのオートバイで闘う世界選手権シリーズ「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」の第3戦がTTサーキット・アッセン(オランダ)で開催。肌寒く、天気の変わりやすいダッチウェザーでお馴染みの伝統的コースでのレースは2025年4月11日(金)〜13日(日)に行われます。「J SPORTS」では今季も同選手権を放送&配信。今回はアッセン(オランダ)の第3戦のレースプレビューをお届けしましょう。
さて、開幕戦・フィリップアイランドはニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)がパーフェクトな3連勝を飾りましたが、ヨーロッパラウンドの幕開けとあるポルティマオ(ポルトガル)では昨年王者のトプラク・ラズガットリオグル(BMW)が3連勝を飾りました。ラズガットリオグルは昨年からポルティマオ6連勝、9勝目、さらに4年間続けて12レース連続表彰台をポルティマオで獲得しています。起伏に富んだポルティマオのアルガルヴェインターナショナルサーキットをいかに彼が得意としているかが分かりますね。
第3戦の舞台はオランダのTTサーキット・アッセン。ここは2輪レースの名イベントの一つ「ダッチTT」(オランダGP)の舞台としても知られており、MotoGP(グランプリ)を1949年から開催。WSBKも1992年からコロナ禍の2020年を除き、長年開催されており、シーズンカレンダーの中で外せないコースとなっています。
2006年に大幅改修されたコースは1周約4.6km。高速かつテクニカルなサーキットとなっています。ポルティマオの予選結果を見てみると、トップスピードはドゥカティが若干優っているものの、同コースの高速セクションであるセクター1とセクター4ではドゥカティとBMWは互角。両社のファクトリーマシンは今回もアッセンの高速区間で速さを見せるでしょう。
ただ、ポルティマオで3連勝というパーフェクトなレースウィークを過ごしたトプラク・ラズガットリオグル(BMW)にとって、アッセンは実は勝ち星の少ないコースです。表彰台は9回ありますが、そのうち優勝は昨年のレース2の1回だけ。アッセンはヨーロッパラウンドの最初のレースになるなどシーズン前半から中盤に差し掛かる時期の開催が多く、トプラク・ラズガットリオグル(BMW)はシーズン立ち上がりがスロースタートになることが多かったので、勝利数は意外にも少ないのです。ラズガットリオグルにとってはあまり得意なコースであるとは言えません。
ただ、2022年のヤマハ時代にはアッセンでポールポジションも獲得していますし、昨年のアッセン初勝利はラズガットリオグル怒涛の13連勝の始まりとなった優勝です。ずっと勝てなかったアッセンで勝てた自信がシーズン中盤の誰も止められない勢いに繋がったと考えて良いでしょう。ポルティマオでの勢いが継続できるか注目です。
そして、チームメイトのマイケル・ファンデルマーク(BMW)にとっては母国オランダでのレースは特別なものです。2015年にWSBKにデビューしたファンデルマークはデビュー年のアッセンで初の3位表彰台を獲得。BMW移籍前のホンダ、ヤマハ時代には7回表彰台を獲得するなど地元に強いライダーでした。
特にダッチウェザーと呼ばれる変わりやすい天候から雨のレースになることも多く、ファンデルマークにとって得意な条件が生まれやすいコースでもあります。ポルティマオでは3レース連続シングルフィニッシュを果たし、復調の感があるファンデルマークにも要注目でしょう。
こういった経験豊富なBMWライダーたちに対しチャンピオン争いを挑み、ランキング首位につけるのが若手のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)です。2位のトプラク・ラズガットリオグル(BMW)とは29点差とマージンは大きくありますが、ここでラズガットリオグルに3連勝されてしまうと少なくとも16点差に詰められてしまいますから、アッセンは何がなんでも勝たなければならないレースです。
とはいえ、まだ彼は2年目。ルーキーイヤーの昨年に学んだことを結果に繋げるよう努力する年ではあるのですが、経験値という意味では圧倒的に不足しています。そう考えるとポルティマオでしっかり2位表彰台を3レースとも達成し、ラズガットリオグルと首位争いを展開したレースを見ていると、いきなり強いライダーに成長してきたという印象ですね。ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)はスーパースポーツ世界選手権時代に2勝、昨年のWSBKデビューイヤーはスーパーポールレースで2位表彰台を獲得しました。
ドゥカティ勢ではコンスタントにポイントを重ねているベテラン、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)がランキング3位。ファクトリーチームのアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)は接触による転倒・リタイアがありランキング4位。そしてランキング5位にはドゥカティ、BMW以外で唯一表彰台を獲得したアンドレア・ロカテリ(ヤマハ)が続きます。
ヤマハのエース、ジョナサン・レイ(ヤマハ)は13年間に渡って毎年アッセンで表彰台に登ってきたアッセンを最も得意とするライダーですが、怪我からの復帰が今大会も叶わず、引き続きジェイソン・オハローラン(ヤマハ)が代役を務めます。
ホンダ勢ではチャビ・ビエルゲ(ホンダ)がレース1で今季ベストリザルトとなる5位フィニッシュを達成。リタイアするライダーが多かったレースではありますが、決勝ペースは予選よりも強さが感じられ、ポジティブな要素が見え始めたと言えるでしょう。ただ、ホンダが表彰台争いに加わるにはまだ差があります。
とはいえ、天候の変化など不確定な要素に左右されることも多いアッセンでのレース。大番狂わせが起こった後、シーズンの流れを掴むのは果たしてニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)なのか、それともトプラク・ラズガットリオグル(BMW)なのか。聖地でのレースがいよいよ始まります。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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