人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

モーター スポーツ コラム 2025年4月2日

メルセデスのアントネッリ、デビュー2戦で証明した“本物”のポテンシャル

F1コラム by J SPORTS 編集部
  • Line
18歳のイタリア人ドライバー アンドレア・キミ・アントネッリ

18歳のイタリア人ドライバー アンドレア・キミ・アントネッリ

メルセデスが2025年シーズンに起用した18歳のイタリア人ドライバー、アンドレア・キミ・アントネッリが、F1界に新たな風を吹き込んでいる。

13歳でカートに参戦していた際、すでにメルセデスのスカウトの目に留まっていた逸材は、F3をスキップして2024年にF2へ参戦。そしてわずか1年後にはF1のフルタイムシートを射止めるという、近年でも異例のスピードでトップカテゴリーへの階段を駆け上がった。

その急成長の過程には、苦い記憶もある。2024年のイタリアGPでフリー走行1回目に臨んだアントネッリは、セッション開始からわずか10分でクラッシュ。ロイター通信によれば、本人は「モンツァは、ドライバーとして本当に最悪の瞬間だった」と語っており、母国ファンの前でのミスが、自身をドライバーとして、そしてひとりの人間として大きく変えたと振り返っているという。

それでも、シーズンオフの段階でアントネッリのポテンシャルを評価する声は多く、今季デビューを果たした6人のルーキーの中でも最注目株とされてきた。その一方で、トップレベルでの経験不足を不安視する声も少なくなく、さらには7度の世界王者ルイス・ハミルトンが抜けた穴を埋めるという重責がのしかかる。

迎えた開幕戦・オーストラリアGP。予選では16番手と厳しいスタートとなったが、決勝では変わりやすい天候と度重なるセーフティカーを冷静に乗り越え、次々とポジションを奪取。最終的には4位でフィニッシュし、デビュー戦でのポイント獲得という快挙を達成した。これはF1史上最年少での記録となる。

チーム代表のトト・ウルフはアントネッリの走りを次のように称えたとロイター通信は報じている。

「非常に優れたドライバーでさえスピンしたり、ウォールにぶつかったりしていたし、完走よりもリタイアの確率が高いようなレースだった。そんな中で彼は冷静さを保ち、素晴らしい走りを見せてくれた」

続く第2戦・中国GPでも安定感あるパフォーマンスを披露。チェッカー時点では8位だったが、レース後にフェラーリのシャルル・ルクレールとハミルトンがそれぞれ失格となったため、順位は6位に繰り上がった。

アントネッリはこのレースで、世界中のF1ファンの投票によって選出される“ドライバー・オブ・ザ・デイ”にも輝いた。得票率は20.7%。優勝を飾った2位のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、3位のオリバー・ベアマン(ハース)を抑えての受賞となった。

F1専門メディア『GPFans』によると、この吉報を受けたウルフはすぐさま無線を通じて「キミ、ドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれたぞ」と伝えたが、アントネッリは「僕が? 本当に?」と戸惑い気味に反応。それに対してウルフは「たぶん君のルックスとターゲット層のおかげだよ。それに、君のレースエンジニアのルックスもね」と笑いを交えて返したという。そのレースエンジニアとは、かつてハミルトンと数々のタイトルをともにしたピーター・“ボノ”・ボニントンである。

実はこの中国GPでは、1周目にアントネッリのマシンがルクレールのフロントウイングの破片を踏んでしまい、フロアに深刻なダメージを負っていたことがレース後に判明している。メルセデスによれば、1周あたり約0.5秒ものタイムロスに相当する損傷だったというが、アントネッリはそのことを知らされないまま最後まで走り切った。

「深刻なダメージを抱えながらも冷静にマシンを操り、文句ひとつ言わずに走り抜いた。若い彼のポテンシャルがはっきりと示されたレースだった」とウルフは改めて称賛を送ったと、英モータースポーツ専門メディア『Motorcycle Sports』が報じている。

当のアントネッリも、ダメージを受けた瞬間には思い当たる節があったという。

「そのときは、まさかダメージを受けるとは思わなかった。でも、後になってトラクションと加速にすごく苦労したんだ。いま思えば、あれが原因だったのかもしれない」(英モータースポーツ専門メディア『Motorcycle Sports』より)

2戦を終えた時点でのパフォーマンスには手応えを感じつつ、アントネッリの視線はすでに次戦・日本GPへと向いている。「マシンには十分な速さがある。あとは僕がうまくまとめて、より良い結果につなげるだけだ」(英モータースポーツ専門メディア『Motorcycle Sports』より)と、初挑戦となる鈴鹿サーキットでの一戦に意欲を見せた。

デビューからわずか2戦。それでも、アンドレア・キミ・アントネッリはすでにF1の舞台で確かな存在感を放っている。まだあどけなさの残る若き才能が、これからどんな成長を見せてくれるのか――その一挙手一投足から目が離せない。

J SPORTS編集部

J SPORTS 編集部

 

  • Line

関連タグ

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
モーター スポーツを応援しよう!

モーター スポーツの放送・配信ページへ