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モーター スポーツ コラム 2025年3月6日

スーパーフォーミュラ2025開幕!連覇か奪還か!? いよいよ始まる“日本一”をかけた争い

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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鈴鹿サーキットで開幕を迎えるスーパーフォーミュラ2025

今シーズンは全12戦で争われるスーパーフォーミュラ2025。“日本一”の座をかけた熾烈な争いが、今年もいよいよ始まる。

昨年、初王者で歓喜した者、一歩及ばず悔し涙を流した者、思うように結果を出せず苦労した者、上り調子で来て優勝まであと一歩と近づいた者、1年目の参戦で様々な経験を積んで今年こそ結果が求められる者、そして初めてスーパーフォーミュラに参戦する者…。参戦する22名のドライバーが抱く“今季にかける想い”は様々だ。

【連覇だけではない“王者”坪井翔が掲げる2025年の目標】

坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)

昨シーズンは坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が安定した強さをみせ初のシリーズチャンピオンを獲得。開幕戦の鈴鹿こそノーポイントに終わったが、全9戦中7度の表彰台を獲得し、富士スピードウェイで行われた3レース全てで優勝を飾るなど、1年を通して安定して上位につけていた印象があった。

また並行して参戦するSUPER GTでは山下健太と組んで、こちらも3勝を挙げる活躍でチャンピオンを手にし、国内トップカテゴリーダブルタイトル獲得という快挙を達成した。

今季は両カテゴリーでカーナンバー1をつけて参戦。2月に都内で開催されたスーパーフォーミュラのプレスカンファレンスでは今年の意気込みを漢字1文字で表現したが、再度チャンピオンに輝くという意味を込めて『再』という字を選んでいた。

もちろんスーパーフォーミュラでは連覇というのが彼にとって今季の目標となるが、それ以外にも“昨年以上”の結果を残したいと考えている。

「やっぱり昨年勝ったのは富士だけなので、他のサーキットでも勝ちたいです。1回で終わることなく『たまたま(チャンピオンが)獲れた』と言われないような成績をしっかり出さないといけないと思っています」

思えば、鈴鹿での最終大会では力強い走りを披露してチャンピオンを勝ち取ることはできたが、2レースとも太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に大きく差をつけられた。それもあってか、チームも100%喜び切れているという感じではなかった。

開幕戦の舞台は、昨年ライバルに圧倒された鈴鹿。連覇を達成するためにも開幕ラウンドでどんな結果を残せるかが見どころのひとつとなりそうだ。

【3度目の王座へ。新コンビで臨む野尻智紀】

野尻智紀(TEAM MUGEN)

昨年はランキング2位となるも、坪井から大きくポイント差をつけられた野尻智紀(TEAM MUGEN)。今年も変わらず16号車で王座奪還を目指すのだが、陣営にとってはある意味で大きな体制変更があった。

2019年に野尻がTEAM MUGENに加入して以降、ずっと彼のマシンを担当していた一瀬俊浩エンジニアがThreeBond Racingに移籍。今年は田口顕人エンジニアが16号車担当となる。

「素晴らしい船に乗ったつもりでいます!」と野尻。田口エンジニアは以前からデータ担当でTEAM MUGENにいたこともあり、公式テスト前日に行われたメディアデーのセッションでも、仲の良いやり取りが見えた。

「一瀬エンジニアは素晴らしい能力を持ったエンジニアの1人です。ただ、今年一緒にやる田口エンジニアにも“彼にしかない良さ”は必ずあると思います。そこから新しいクルマを作っていければいいなと。もしかすると苦労する部分もあるかもしれませんが、そこはひとつずつ補っていければ良いかなと思います」

3度目の王座を目指す今シーズンに向けて“開幕ラウンドで勝つ”ということを強く意識しており、「2連勝目指してがんばります」と野尻。振り返ると、彼が初めてチャンピオンに輝いた2021年以降、開幕ラウンドで優勝(2022年と2023年は2レース開催で開幕戦2位に終わるも翌日の第2戦で優勝)を飾っている。それを踏まえると鈴鹿での開幕ラウンドは野尻にとってチャンピオン奪還への大きな一歩目になることは間違いないだろう。

今年のTEAM MUGENはマシンのカラーリングが大きく変わったことに伴い、野尻のレーシングスーツ色も一新。彼が初めてスーパーフォーミュラのタイトルを手にした時を彷彿とさせる赤色になった。

色んな意味で“再出発”を思わせる印象がある今季の16号車陣営から目が離せない。

【頂点に立つため、出来ることを淡々と…。“-6kg”で2025年に臨む牧野任祐】

牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

昨年、第2戦オートポリスで涙の初優勝を飾り、その後も快進撃が続いた牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。最終戦までチャンピオン争いに加わるも、逆転は叶わずランキング3位でシーズンを終えた。彼にとってはスーパーフォーミュラで自己最上位という結果だったが、レース終了後は“悔しさ”の方が先行していた。

並行して参戦するSUPER GTでもGT500ランキング2位。奇しくも両カテゴリーで坪井に敗れる形となった。

もちろん今年狙うのは昨年のリベンジ。そのために例年とは異なる取り組みをしてきたという。

「今年はGTで一緒に組んでいる(山本)尚貴さんにお願いして同じようなトレーニングメニューでやらせてもらっています。今までもトレーニングをしていなかったわけではないですけど…『自分がチャンピオンを獲りたい』と思った時に、すごく身近にチャンピオンを獲っている人がいたので」

その様子は彼のSNSでもシーズンオフ中に更新され、数年前から山本が取り入れているファスティングを行なっているところも投稿されていた。

「僕は身長がある方ですし、GTでも軽い方が良い部分もあるので…今で言うと(昨シーズンと比べて)6kgくらい体重が落ちました。これをやったからと言って結果が出るとは思っていないですけど、ちょっとでも良い感じになれば良いなと思っています」と牧野。

今年はタイヤのスペックが変わったほか、鈴鹿サーキットの東コースも新舗装になるなど細かな変更点が多いなか、公式テスト1日目ではトップタイムを記録。昨年も例年とは違う雰囲気があったが、今年はそれにも増して“覚悟”のようなものが感じられる。

悲願のスーパーフォーミュラ初タイトルへ……再度挑戦の日々が始まったといったところだろうか。

【リベンジのシーズンへ……虎視眈々と頂点を見据えるドライバーたち】

太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

もちろん、今年の主役候補は前出の3人だけではない。昨年はあと一歩及ばず悔しい思いをしたドライバーがたくさんいた。

まずは太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。最終大会の鈴鹿で2連勝を飾ったのを見ても分かるとおり、他を圧倒する速さを持っていた。しかし、肝心なところでトラブルに悩まされて、勝てるチャンスがあった第4戦富士と第5戦もてぎでいずれも決勝ノーポイント。これがチャンピオン争いに響き、最終的にランキング4位に終わった。今年はポイントの取りこぼしがなく進めることができれば、間違いなくチャンピオン候補の一角となりそうだ。

またルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した岩佐歩夢(TEAM MUGEN)は、今年もF1のプログラムと並行してスーパーフォーミュラに参戦する。昨年は初経験となったオートポリスでポールポジションを獲得したほか、シーズンを通して3度の2位表彰台を記録した。しかし、一番の目標であった優勝・シリーズチャンピオンというところには手が届かなかった。彼にとっては勝負の年となる2025年、チャンピオン争いも含めてトップに絡んでくる可能性は十分にあるだろう。

こちらも勝てそうで勝てないレースが続いたのが福住仁嶺(Kids com Team KCMG)。2024年はホンダからトヨタに移籍し、新天地での戦いとなったなか第4戦富士ではポールポジションを獲得した。しかし、決勝ではタイヤ交換で時間がかかりポジションダウン。悔しい結果に終わる。その後も上位に食い込むが、優勝まであと一歩届かないレースが多く、本人からも「悔しい」という声が聞こえてきた。シーズンオフのテストでは相変わらず好調な様子で、チームも優勝を目指してレベルアップを図っている。その努力が今年は実を結ぶのか。こちらも目が離せない。

いよいよ始まる2025国内トップフォーミュラの熱き戦い。公式テストが雪の影響で十分な走り込みができなかった分、勢力図が全く見えていない状況=誰が勝ってもおかしくないほど横一線の状態だ。それだけに、1戦たりとも見逃すに、シリーズの行方を是非追いかけてほしい。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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