人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

モーター スポーツ コラム 2025年2月21日

BMWの王座防衛なるか?新たにビモータも参戦する! | FIM スーパーバイク世界選手権2025 第1戦 フィリップアイランド プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
  • Line
FIM スーパーバイク世界選手権2025 第1戦 フィリップアイランド

FIM スーパーバイク世界選手権2025 第1戦 フィリップアイランド

排気量約1000ccのスポーツバイクで争う世界選手権シリーズ「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」が南半球オーストラリアのフィリップアイランドグランプリサーキットで開幕。「J SPORTS」では今季も同選手権を放送&配信します。

全12ラウンド、36レースで争われる2025年シーズンは今大会を除くとあとの11ラウンドは全てヨーロッパのサーキットでの開催。今回はシーズン唯一のフライアウェイ戦となる開幕戦・フィリップアイランド(2月21日(金)〜23日(日))のレースプレビューと共に今季の見どころをお届けしましょう。

トプラク・ラズガットリオグル(BMW)が36レース中18勝をマークするという圧倒的な強さを見せた2024年シーズン。彼はWSBKの新記録となる13連勝をマークするなどシーズン中盤に誰も手がつけられない速さを見せましたが、後半戦に入って怪我を負い欠場。2ラウンド合計6レースを欠場したにも関わらず、ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)の追撃を振り切り、見事に自身2度目のシリーズチャンピオンを獲得しました。

その前の2023年はオートバイメーカーの選手権であるマニュファクチャラーズランキングで4位に沈んでいたBMW。そこに移籍した1年目の元チャンピオン、トプラク・ラズガットリオグル(BMW)がここまで躍進するとは誰が予想できたでしょうか?普通だったから考えにくいことが実際に現実になったというのが2024年でした。

この躍進には「トプラクが速すぎるだけだ」とか「コンセッションルール(アップデートパーツを投入できる優遇措置)による恩恵によるものだ」など色んな説があります。確かにトプラクの速さはピカイチですし、そこは誰もが認めるところでしょう。その説は最も有力です。

ただ、BMW M1000RRのベース車両の素性の良さは近年、日本のレース関係者からも数多く聞こえてくるようになりました。世界耐久選手権(EWC)ではスーパーストッククラスで「チーム・エトワール」がチャンピオンを争いましたし、鈴鹿8耐では「TONE RT SYNCEDGE4413」がクラス優勝しました。そして今年は有力新興チームの「オートレース宇部Racing Team」がWSBKのマシンに近いスペックのBMW M1000RRを全日本ロードレースにも投入します。

国内メーカーのバイクに乗ってきた日本人ライダーたちがプライベーターのマシンですらカルチャーショックを受けたと発言しています。非常に優れた電子制御がベーシックなマシンからすでに付いているというのです。事実、BMWは昨年の各選手権でトータル229回表彰台でのフィニッシュをしているというのですから、世界中のどのレースでも活躍できる素性の良さを持っていることが分かります。

確かにそれを乗りこなして、別次元の結果を出すに至ったのはトプラク・ラズガットリオグル(BMW)の実力による部分が大きいとは感じますが、チームメイトのマイケル・ファンデルマーク(BMW)もベテランとしてラストチャンスにかける1年になりますから活躍が楽しみです。

対抗馬はやはり一大勢力となっている「ドゥカティ」でしょう。昨年ルーキーながら王座争いの矢面に立たされたニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)は強くなって2シーズン目に挑むでしょうし、ベテランで元王者のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)もまだ腕が衰えている様には見えません。

上記のワークスチーム「Aruba.it Ducati」の2人に加えて、プライベーターからはアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)など元MotoGPの実力派揃い。そこに昨年までBMWのプライベートチームだったBonovo Actionがドゥカティに鞍替えしてスコット・レディング(ドゥカティ)が陣営に加わるなど、レギュラー参戦だけで9人のライダーを擁しています。

一方でBMWはワークスチームのみの参戦で2台だけの少数派になってしまいました。この2メーカー、ドゥカティ、BMWに挑むライバルたちはどうでしょうか?

注目は「ビモータ」の参戦でしょう。カワサキ傘下に入っているイタリアのバイクメーカー「ビモータ」はカワサキワークスチームのリソースを引き継ぎ、今季は「ビモータbyカワサキレーシングチーム」として、アレックス・ロウズ(ビモータ)、アクセル・バサーニ(ビモータ)のラインナップを維持して闘います。マシンはKB998というモデルで、エンジンはカワサキZX-10RRと同じスペックとなっています。レース車両にするためのホモロゲーションモデルとして限定でベース車両が販売されていますが、ポテンシャルはまだ未知数。しかしながら、トップ10には常に名を連ねており、BMW、ドゥカティの対抗馬はビモータと言えるでしょう。

一方、MotoGPと同じくWSBKでも苦戦中のホンダ、ヤマハは今季もかつてのような輝きを放つのは簡単ではなさそうです。特にヤマハは台数こそ多いですが、YZF-R1が古参モデルになってしまっています。直前テストでも中段から後方に日本メーカーのマシンが並んでいる状態なのです。しかも、元王者のジョナサン・レイ(ヤマハ)は直前テストのクラッシュで骨折し、開幕戦の欠場が決定してしまいました。

ヤマハからはジョナサン・レイ、アンドレア・ロカテリ、レミー・ガードナー、ドミニク・エガーターらが参戦。ホンダからはチャビ・ビエルゲ、イケル・レクオーナ、タラン・マッケンジー、ザクワン・ザイディらが今季のレギュラーとして参戦を予定。そして1台だけ残ったカワサキでギャレット・ガーロフ(カワサキ)が年間参戦します。

そして、開幕戦フィリップアイランドには長島哲太(ホンダ)がワイルドカード参戦。ホンダ勢の復活のためにも良いデータを採って未来に繋げていってもらいたいところです。

今年も日本人レギュラーライダーが不在のWSBK。せめてヤマハ、ホンダのバイクだけでも上位を走ってもらいたいところですね。開幕戦フィリップアイランドでは日本メーカーの粘り強いレースを祈りましょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
モーター スポーツを応援しよう!

モーター スポーツの放送・配信ページへ