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モーター スポーツ コラム 2024年9月18日

ラズガットリオグルの出場は不透明。地元イタリアのブレガに風が吹くか? | FIM スーパーバイク世界選手権 2024 第9戦 クレモナ プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIM スーパーバイク世界選手権 2024 第9戦 クレモナ

FIM スーパーバイク世界選手権 2024 第9戦 クレモナ プレビュー

スポーツバイクレースの最高峰カテゴリー「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」は9月に3ラウンドという過密スケジュール。そんな中、第8戦マニクール(フランス)で大波乱が発生。フリープラクティスでのアクシデントでランキング首位のトプラク・ラズガットリオグル(BMW)が怪我を負い、マニクールのレースを3レース共に欠場したのです。そこから1週だけ空いて、2週連続の2連戦が始まります。9月20日(金)〜22日(日)に開催される第9戦の舞台は初開催のサーキット。今回は第9戦・クレモナのレースプレビューをお届けしましょう。

破竹の13連勝というWSBK新記録を打ち立て、チャンピオン街道まっしぐらといった状態だったトプラク・ラズガットリオグル(BMW)にとって、まさかまさかのアクシデントでした。第8戦マニクールの彼の欠場は誰も予想だにしなかった出来事でした。それもそのはず、彼が7年間のキャリアの中で3つの決勝レースを全て欠場するというのは初めてのことだったからです。

一見アグレッシブに見えがちな彼のライディングですが、そもそもレース1からスーパーポールレースまでの2レースでリタイアすることが非常に稀で、リタイアやノーポイントレースの多くがレース3に集中していることからも、まずは着実にポイントを取っていくライダーであることがよく分かります。レース1で不運なリタイアとなっても、そのあとしっかり立て直すことも多く、1ラウンド全てのレースをノーポイントに終わったのは2018年の1度だけ。彼のデビューイヤーのラグナセカ(アメリカ)でのレースで、その当時はまだ2レース制の時代でした。3レース制で無得点は初めてのことなのです。

アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)に2年連続でタイトルを奪われた2022年、2023年の2シーズンで、トプラク・ラズガットリオグル(BMW)がリタイアしたのは僅かに4回。それ以外のレースでは全てポイントを獲得しているのですから、フリー走行からアクシデントによる欠場となってしまうのは非常にレアケースであり、まさかの事態でした。

ランキング首位不在の第8戦マニクールではレース1では得意のウェット路面を制してマイケル・ファンデルマーク(BMW)が今季初優勝。そしてスーパーポールレース、レース2はランキング2位のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)が2連勝をマーク。鬼のいぬ間になんて言葉がありますが、しっかりルーキーのブレガが首位とのポイントを詰め、55点差に迫りました。これは1ラウンド全て優勝で飾った場合の62点より少ないポイント差です。

もし仮にトプラク・ラズガットリオグル(BMW)の回復が間に合わず欠場となり、ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)が3連勝を飾ったとすると、ランキング首位は完全に逆転してしまうことになります。出場か欠場かはレース前のメディカルチェック次第ということになりますが、全く余裕のないポイント差になってきたと言っても過言ではありません。チャンピオン争いの行方は分からなくなってきてしまいました。

また、ランキング3位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)も第8戦マニクールのスーパーポールレースで転倒し、2レースを欠場。こちらも第9戦クレモナに出場できるかどうかはまだ不透明な状況で、一大事です。ランキングトップ3の内、2人が欠場となってしまえば、シーズンの流れは一気にルーキーのニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)に傾くことになります。

第9戦の舞台は初開催となるクレモナサーキット。イタリア北部の3.9kmのサーキットで、これまでイタリア選手権などで使われたことはありましたが、大きな国際レースは初めての開催となります。今は多くのWSBKライダーが元グランプリライダーであり、クレモナで大きな排気量のバイクでレースをしたことがありません。そういう意味では未知数ですが、ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)にとっては母国での開催だけに、多少は有利にはたらくことになるのでしょうか。

今回のクレモナでのレースは怪我を負ったライダーたちの代役の出場も注目です。まず、元ワールドチャンピオンのジョナサン・レイ(ヤマハ)はレース1で負傷。今回は欠場となり、元MotoGPライダーで先週はYART YAMAHAでFIM世界耐久選手権・ボルドール24時間を戦ったニッコロ・カネパ(ヤマハ)が代役を務めることになります。

そして、同じくYART YAMAHAから同選手権に出場したマービン・フリッツ(ヤマハ)はトレーニング中の怪我で欠場中のドミニク・エガーター(ヤマハ)の代役としてGYTR GRTから残りのレースに出場することになりました。

どちらもYART YAMAHAのヤマハYZF-R1に乗り、鈴鹿8耐で爆発的な速さを見せた2人だけにWSBKへの参戦は非常に興味深いものがあります。タイヤがピレリのワンメイクになって彼らがどんなパフォーマンスを見せるかお手並み拝見と言ったところですね。

シーズン折り返しになって欠場するライダーが増えたことで、トプラク・ラズガットリオグル(BMW)の独走ショーと化していたWSBKがガラリと変わりつつあります。まずは無事に出場できることを祈りたいですが、レースウィークに入って流れを掴んだライダーが残りのチャンピオンシップも優位に進めていくことになるでしょう。今回のクレモアのレースはシーズンの行方を占う、非常に大事な1戦です。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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