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モーター スポーツ コラム 2024年8月23日

SUPER GT第5戦プレビュー 変更された予選方式による影響は? 残暑厳しい鈴鹿は、再び350kmの戦い

SUPER GT by 島村 元子
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鈴鹿サーキットを舞台に開催されるSUPER GT第5戦。

夏休み最後の週末、鈴鹿サーキットで迎えるSUPER GT第5戦。8月上旬、富士で開催された第4戦に続き、今回も350kmのスプリントレースで行なわれる。前回の富士で、この鈴鹿から予選方式や使用可能なタイヤセット等の変更がアナウンスされたため、各チームがどんなアプローチを見せるのか気になるところ。独創性豊かにライバルを出し抜くのか、はたまたセオリーに従って忠実に攻めるのか…チームが総力を挙げて臨む一戦から目が離せない!

・今大会から予選方式が変更に

新予選方式でのチームの予選戦略に注目したい。

第4戦富士の決勝日、SUPER GTをプロモートするGTアソシエイションが公式予選方式の改定をブルテンで発表。これにより、第5戦鈴鹿から、新たな予選方式はじめ、決勝スタート時の使用タイヤ、またタイヤ持ち込み本数等について変更されることとなった。

詳細はSUPER GTの公式サイト等をご覧いただくとして、主だった変更について簡単に触れていきたいと思う。まず、予選方式。第4戦までは、Q1、Q2を事前にマーキングされた1セットのタイヤで走行し、そのタイヤセットで決勝レースをスタートするという決まりだった。それが、鈴鹿以降は、Q1用としてフロント最大2本、リヤ最大2本を「A」タイヤとしてマーキング。Q2用にもフロント最大2本、リヤ最大2本を「B」タイヤとしてマーキングを実施する。結果、最大4本のニュータイヤがQ1、Q2各セッションで装着が可能になった。Q2でのニュータイヤ投入を望む声も多かったと聞くため、この先は、いっそう緊張感あふれる予選アタックが見られるのではないだろうか。なお、これまで同様、同じタイヤでアタックしたい場合は、1セットのタイヤにA、B両方のマーキングを行なうとのこと。ただし、各セッションに2セットを同時使用することは禁じているが、総じて組み合わせによるタイヤ使用が可能となるため、選択肢は増えたと言える。一方で、Q1とQ2で異なるタイヤを装着できることから、予選通過基準タイム(各組上位3台平均の107%)の設定も復活。また、昨シーズン同様に予選終了後にはタイヤ抽選を行ない、A、Bいずれかを決勝レースのスタートタイヤとして決める。Q1とQ2の合算タイムで予選順位を確定するスタイルは継続されるが、使用タイヤの組み合わせ実現によって、各チームの戦略の幅も拡がりそうだ。

次いで、タイヤ持ち込み本数について。基本的に、公式練習開始から決勝レーススタートまでにマーキングされるドライタイヤは最大4セット(300kmレースの場合)となっているが、GT500クラスでは、今シーズンの第1戦から第3戦までの未勝利タイヤメーカー供給先競技参加者に対し、大会ごとに2セットの追加が許可された。結果、ダンロップとヨコハマを装着するチームでは、持ち込みセット数が増えることに。シーズン中はタイヤテストが極めて限定されるだけに、該当チームとすれば、タイヤセットの追加は心強いことだろう。

・大きく変わるGT300の予選

前回の鈴鹿(第3戦)でPP WINを果たしたD'station Vantage GT3。

参加台数が多いGT300クラス。これまでQ1は、全27台を2組に分けて実施していたが、気温や路面温度、さらにはコースの状況を含めコンディションの変化を受けて不公平が生じやすいのでは、という声が上がっていたと言う。Q1とQ2のタイムを合算するために及ぼす影響も否めないという判断から見直すことになり、組分けをやめて全27台によるQ1が実施される。台数が倍増するため、走行時間もこれまでの倍の20分間になった。

Q1の結果を受け、Q2では、上位14台を「Upper(アッパー)14」とし、その他を「Lower(ロワー)15」に組分け。また、第4戦まで実施していた合算タイムによるアッパーとロワー各4台の入れ替えも廃止する。なお、GTAとしては、タイム合算方式についての議論も重ねてきたとのこと。ドライバーやチーム関係者だけでなく、レースファンからも”分かりにくい”という指摘を受けていることを認めつつ、予選方式の根本まで変更することになれば、あまりにも変化が大きいため、ルールとして見直し可能な範囲で変更する方向に落ち着いたようだ。

果たして、20分間に全27台が出走するQ1はどのようなセッションになるのか。コースインするタイミングはもちろんのこと、コース上で何台のクルマがウォームアップ/アタックしているのか、見極めるのは至難の業かもしれない。最善の状況でアタックに向かうためのチームの総合的な判断力も欠かせない。残り時間をにらみつつ、自分の走りだけに集中できればよいのだが、コース上のトラフィックも意識しつつ、様々な情報を頭に入れながらのアタックに挑まなければならない。担当ドライバーにとって、これはかなり”重労働”になるはず。変更後初となる鈴鹿でQ1は、予期せぬ展開になる可能性もあり、ファンとしては不確定要素の面白さを味わえるかもしれない。

・後半戦突入、タイトルを巡っての攻防にも注目

12号車MARELLI IMPUL Z。

シーズン2度目の鈴鹿は、今シーズンの後半戦の最初の戦いでもある。GT500クラスでは、ランキング上位6台を対象に燃料流量リストリクターが絞られている。350kmのスプリントレースだけに、粘りの走りでポジションアップという展開を期待するのは難しいものの、前回の富士では暫定ランキングトップのau TOM’S GR Supraの坪井翔/山下健太組が緻密なチーム戦略を活かして7位入賞。ポイント計上に成功したことを考えれば、今回も同様の戦いを目指すチームがいても不思議ではない。また、ライバルよりも軽いサクセスウェイトを搭載するチームのなかでは、22年の夏の鈴鹿で勝利したMARELLI IMPUL Z(当時はカルソニック IMPUL Z)の平峰一貴/ベルトラン・バゲット組に注目か。もちろん、前回、待望のニューマシンで初優勝を遂げたシビック・タイプR-GTを駆るホンダ勢も、ホームサーキットでの初勝利を目指していっそう気合いを入れてくるはず。いずれにせよ、今回勝利すれば一気にランキングアップできるチャンスだけに、タフなサバイバルレースとなりそうだ。

GT300クラスでは、最大サクセスウェイト搭載量の上限である50kgを積むクルマが6台になった。ランキング上位陣は、ガマンのレースになる可能性が高いものの、チャンスがあれば1ポイントでも多く獲ることを意識した戦いが予想される。一方、前述のように、予選方式の変更による影響も気になる。予選Q1、Q2ともにニュータイヤを投入することで、クラスポール争奪戦にも変化が見られるであろうし、当然、決勝での様相も変わってくるだろう。

依然として厳しい残暑が続き、連日のように熱中症警戒情報が発表されている日本列島。鈴鹿では、暑さを上回る予測不可能なレース展開に”熱中”してしまいそうだ。

■ドライバーからひと言!

山下健太(No.36 au TOM’S GR Supra)

チームを移籍した初戦(岡山)は、ガチンコ勝負のなかで勝つというほぼ完璧なレースだったと思います。今年から予選でのポイント(トップ3)も付くので、サクセスウェイトが昨年よりも重くなっていますが、決勝では戦略がうまくいって、なおかつピット作業も早いのでピットインのたびに勝手に順位が上がっている感じです(笑)。なので、その分、走りに集中することができますね。

シーズン2度目となる鈴鹿は350kmと距離が短いので、自分たちにとってはウェイトが重いだけに、正直追い上げのチャンスはこれまでより少ないかもしれません。ただ、今年のスープラはテクニカルでハイスピードな鈴鹿寄りのクルマになっているので、それが強みでもあります。少しでもポイントを獲れるよう、しっかりとがんばります。

レースでの見どころとしては、シケインあたりかな。自分で見に行くことはあまりないんですが(笑)、楽しそう。今回、僕らにとっては追い上げのレースになることには違いないですが、どうやって順位を上げていくか、ピットワークのがんばり含め、36号車としてのいろんな仕事ぶりを見てもらえるとうれしいですね。

J SPORTS オンデマンド番組情報

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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