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灼熱の富士スピードウェイで開催されるSUPER GT第4戦。
2024年のSUPER GTは、約2ヶ月のインターバルを経て、Rd.4富士を迎える。シーズンも中盤戦に突入し、終盤戦に向けたチャンピオン争いを含め、ますます目が離せないレースが続いていくことになりそうだ。
今回は2ヶ月のインターバルがあったと言うこともあり、改めて開幕3戦を振り返るとともに、それらを踏まえた上で中盤戦の勢力図を予想していこうと思う。
GT500『3台が燃料リストリクター入り。夏場をどう乗り切るか』
前回の富士(Rd.2)を制したNo.3 Niterra MOTUL Z。
今季、ホンダ シビックTYPE R-GTが登場し話題となっているGT500クラスだが、開幕戦でフタを開けてみれば、昨年チャンピオンに輝いたNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が速さをみせた。
新たにタイム合算方式が導入された予選でポールポジションを獲得すると、決勝でもライバルを寄せ付けない走りをみせ、2番手以下に11秒もの大差をつけて優勝を飾った。2位にはNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)が入り、GR Supra勢がワンツーフィニッシュ。3位にはNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)がつけ、シビックのデビュー戦で表彰台に上がった。
一方、開幕戦では後塵を拝する形となった日産陣営だったが、Rd.2富士では躍進。序盤からレースをリードしていき、No.3 Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)が優勝。No.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)が2位に入り、今度は日産勢がワンツーフィニッシュ。今季はドライバー体制なと入れ替えが多かったなか、その新体制で早くも結果を出した。
Rd.3鈴鹿では、苦戦続きだったNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が躍進。予選でポールポジションを獲得すると、決勝でもトップ争いを展開。後半にNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)に先行されるが、ピットアウト時にアンセーフリリースをとられ、ドライブスルーペナルティで後退した。代わってトップを取り戻した37号車がトップチェッカーをうけ、笹原とアレジにとっては待望の初優勝をなった。
こうして3レースを終えて、それぞれ勝者が異なるのだが、開幕戦を制した36号車がRd.2富士、Rd.3鈴鹿ともに上位に食い込む走りをみせてランキング首位を独走。それを7ポイント差で3号車の高星/三宅が追うという状況となっている。
SUPER GTでは獲得ポイントに応じて課せられるサクセスウェイトのルールがあるが、特にGT500の場合は搭載量が50kgを超えた車両は、その一部を重りではなく燃料リストリクター制限される形が導入される。今回はその対象が36号車、3号車、37号車の3台。長いメインストレートを持つ富士スピードウェイでは燃料リストリクター制限が入ると、かなり苦しくなる傾向があり、特に36号車は4戦目にして制限が2段階目に入るため、上位に食い込むのがより難しくなる。
そういった状況下で、今回の富士と次戦の鈴鹿で、どれだけポイントを稼いでくるか。ここが注目ポイントとなるだろう。
その一方で、開幕3戦を終えて思うように結果を残せていないチームもいる。今回はサクセスウェイトの差が車両ごとによって大きく出始めており、サクセスウェイトが軽いマシンにチャンスが出てきそうだ。その分、ここでしっかり結果を残してポイント差を詰めないと、後半戦での巻き返しが厳しくなってくる。
また開幕戦から上位争いをしているホンダ勢も、3戦を終えて勝ち星がない状況。この8月の連戦でシビックTYPE R初勝利を掴みたいところだろう。
今回の富士と次回の鈴鹿がどのような結果になるのか……チャンピオン争いを占う上では目が離せない1戦となりそうだ。
GT300『独走ムードになりつつあるmutaを止めるのは?』
No.2 muta Racing GR86 GT。
GT300クラスも開幕戦を制したNo.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)が絶好調。昨年はシーズン中に2位フィニッシュを3度経験し、年間ランキングも2位に終わり、2人にとっては悔しいシーズンとなった。
だが、今季開幕戦では、その悔しさを強さに変えて優勝。Rd.2富士以降も上位フィニッシュを続け、Rd.3鈴鹿では2位表彰台を獲得した。
ここまでの流れを考えると、今回も2号車が上位に上がってきそうな雰囲気があるが、5月のRd.2ではGT3勢が速さをみせた。今回のレース距離は350kmということで、戦略の取り方も変わってくる可能性もあり、これがどのように影響を及ぼすのかが見どころとなりそうだ。
このGT300クラスも、3戦を終えてポイントを稼げていない分、サクセスウェイトが軽いチームがいくつかいる。特にNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)やNo.18 UPGARGE NSX GT(小林崇志/小出峻/三井優介)は、後半戦を考えるとここでポイントを稼いでおきたいところ。350kmというフォーマットでどのような戦いをみせるのか。注目したいところだ。
7月のスーパーフォーミュラ第4戦もそうだったが、今週末も富士スピードウェイはかなりの暑さになりそう。現地で観戦を予定されている方は、熱中症には十分にお気をつけいただきたい。
そして当たり前のことではあるが、今回も無事にレースが終わることを…心から願いたい。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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