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モーター スポーツ コラム 2024年7月16日

現役MotoGPライダー、ヨハン・ザルコの参戦 | 鈴鹿8耐2024 プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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#30 Team HRC with 日本郵便

#30 Team HRC with 日本郵便

FIM世界耐久選手権 第3戦「鈴鹿8時間耐久ロードレース」(通称、鈴鹿8耐)が2024年7月21日(日)に決勝レースを迎えます。年間でFIM世界耐久選手権を放送する「J SPORTS」はもちろん鈴鹿8耐も生中継。見どころが満載の鈴鹿8耐をいくつかの話題に絞ってプレビューしていきましょう。第2弾は「久しぶりとなる現役MotoGPライダーの参戦」です。

今年で45回大会を迎え、50周年、50回大会の開催も目前に迫ってきている鈴鹿8耐。半世紀近くの歴史を振り返る中で、常に話題として外せないのがロードレース世界選手権(グランプリ)を戦うトップライダーたちの参戦でしょう。

ケニー・ロバーツ、ワイン・ガードナー、ミック・ドゥーハン、ケビン・シュワンツ、ウェイン・レイニー、バレンティーノ・ロッシ、ケーシー・ストーナー、ニッキー・ヘイデンなどその名前を挙げればキリがないほど数多くの最高峰クラス王者たちが鈴鹿8耐に参戦し、その歴史を彩ってきました。

近年ではポル・エスパルガロ、ジャック・ミラー、中上貴晶ら今も現役MotoGPライダーとして活躍するライダーたちの参戦が記憶に新しいところです。ただ、ここ数年は現役のMotoGPライダーの参戦はかなり減ってしまいました。というのも7月末から8月上旬に開催される鈴鹿8耐のスケジュールがMotoGPと被ることが多く、さらには近年MotoGPのレース数が増加し、サマーブレイクが貴重なリフレッシュ期間になっているため、MotoGPライダーたちは契約上、参戦を考えづらくなってしまいました。

そのため、近年はスーパーバイク世界選手権とのバッティングを避けることが多くなり、スケジュールが空いているのと同時に同じスーパーバイクベースの車両で走ることから、ジョナサン・レイやアレックス・ロウズなどスーパーバイクのライダーが鈴鹿8耐に参戦するケースが増えていたのです。

それが今年はパリ・オリンピックの関係もあり、7月21日(日)決勝とスケジュールがかなり前倒しになり、MotoGPとはバッティングしなかった反面、多くのライダーが参戦を希望するスーパーバイク世界選手権とはスケジュールが被ってしまうことになりました。そのため、今年はどのチームも鈴鹿8耐のライダー探しにとても苦労していた印象です。

2連覇しているホンダワークス「Team HRC with 日本郵便」も例外ではありませんでした。昨年も参戦したスーパーバイク世界選手権のチャビ・ビエルゲが参戦できず、必然的にラインナップ変更を余儀なくされることになったのです。

そこで白羽の矢が立ったのが現役MotoGPライダーのヨハン・ザルコ。昨年、MotoGPで初優勝を達成したザルコがMotoGPウイナーとして「Team HRC with 日本郵便」から参戦することになりました。彼とトリオを形成するのは鈴鹿8耐優勝5回の最多記録タイにいる高橋巧、そして昨年2位表彰台を獲得した名越哲平です。

同チームのエースとも言えた長島哲太が今年からダンロップの開発ライダーになったことも影響して、高橋巧以外はラインナップを一新することにはなりましたが、昨年までも圧倒的なレースペースを見せて独走したホンダCBR1000RR−Rのワークスマシンですから、今年も独走劇を多くの関係者が予想しています。

そんな鈴鹿8耐で最強マシンに乗ることになったヨハン・ザルコ。2018年の中上貴晶の参戦以来6年ぶりに現役MotoGPライダーが8耐に参戦します。

ヨハン・ザルコは2度のMoto2でのチャンピオンを経て、ヤマハからMotoGPデビュー。いきなり優勝争いに絡むなどして注目を浴び、将来のヤマハのエースとして期待されていましたが、当時はバレンティーノ・ロッシがまだ現役だったこともあり、なかなかワークスのシートは巡ってこず、KTMに移籍します。

しかし、KTMも当時は厳しい状況で、シーズン途中で離脱。その後はドゥカティのサテライトチームを渡り歩くという形になりました。優勝を出来ぬまま時は過ぎ、昨年のオーストラリアGPでキャリア7年目にしてようやくMotoGPクラス初優勝を達成しました。

今季はホンダに移籍。ただ、ご存知の通り、ホンダのMotoGPは厳しい状況にあり、最高位はフランスGPの12位と大苦戦のシーズンを過ごしています。

ただ、昨年末の段階からヨーロッパのニュースサイトではザルコの鈴鹿8耐参戦は噂になっていましたし、契約の一つだったのではないかと見られています。耐久レース文化があるフランスのライダーだけにザルコの参戦は自然な流れと言えるでしょう。

ヨハン・ザルコは6月下旬のテスト走行で鈴鹿を初走行。フルアタックはしませんでしたが、初の鈴鹿に合わせこむ実力はさすが。いきなり安定したペースで走ってみせました。今年の鈴鹿8耐はMotoGPウイナーが見せるパフォーマンスに大いに注目したいですね。ポールシッターに名を刻むことも充分に考えられます。

ただ、例年のMotoGPライダー参戦と比べると準備の時間があまり無かったというのは不安要素です。かつてのMotoGPライダーたちは密かに来日してプライベートテストを行うことが多く、直前までメーカー貸切のテストに参加したりしていました。

しかし、近年ではFIM世界耐久選手権がレースウィークまでの約1ヶ月間にテスト制限を設けており、プライベートテストで走り込むことができません。残すテストチャンスはレースウィークの7月17日(水)の僅か1日だけ。

この少ないチャンスにザルコがどこまで仕上げてくるか大きな注目が集まります。今年の鈴鹿8耐に参戦する現役MotoGPライダーはヨハン・ザルコ1人だけですが、Moto2からはカタールGPで2位になったバリー・バルトゥスがスズキの「オートレース宇部Racing Team」から参戦。さらにMoto2からインドネシア出身のマリオ・アジが「SDG Team HARCPRO.Honda」から参戦します。どちらもグランプリで走る20歳のヤングタイガーたちですから、鈴鹿8耐で見せるであろう彼らの急成長にも期待したいですね。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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