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片山義章選手(No.6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI)「ロベルトならやってくると信じてた」 | SUPER GT 2024 第3戦 鈴鹿【SUPERGT あの瞬間】
SUPER GT あの瞬間 by 島村 元子片山義章選手 | No.6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(写真左)
「あのとき、何があったの?」__ レースウィークの出来事、ドライバーに話してもらいたいと思いませんか? タフなレースを終えたドライバーに改めて話を聞く「SUPER GT あの瞬間」。2024年シーズンもレースの舞台裏に着目し、ドライバーの気持ちをコラムでお伝えします!
今シーズンから車両をフェラーリ296 GT3へとスイッチしたTeam LeMans。カラーリングもガラリと変わり、パッションあふれる走りを披露している。ニューマシン投入3戦目にして早くも表彰台に立った片山義章選手に、クルマのこと、そして仲の良いチームメイトであるロベルト・メリ・ムンタン選手のことを語ってもらった。
── 今シーズン3戦目、しかもニューマシンでの鈴鹿初表彰台となりました。改めてお気持ちを聞かせてください。
片山義章(以下、片山):ありがとうございます。今シーズン新しく車両が変わってアウディ(R8 LMS)からフェラーリ(296 GT3)となり、参戦1年目の第3戦目で表彰台に上がれたことは、すごくチームとしてもドライバーとしても、多分ファンのみんなも本当にうれしかったと思います。
── コンビを組むロベルト・メリ・ムンタン選手は鈴鹿が大好きだと聞きました。ムンタン選手と共にシーズン序盤で表彰台に上がったことは、今後に向けていい流れができたのではないですか?
片山:去年は(第5戦の)鈴鹿で僕がQ1(B組の)トップでしたが、Q2は5位でした。ロベルトがちょっと失敗しちゃったという悔しさと、決勝レースでもタイヤが外れた(※1)ので、僕たちとしては、去年は本当にすごくフラストレーションが溜まったレースだったんです。でも、今回は好きな鈴鹿でしっかり結果を残すことができて……ドライコンディションのなか、しかも荒れたレースでなくセーフティカーも出ず、自分たちの実力で3位の表彰台に立てたのはすごく良かった。チームとしてもドライバーとしても、とてもいい結果だったんじゃないかなと思います。
※1:10周の2コーナーで左リヤタイヤが外れ、そのままリタイアに。
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片山義章選手(No.6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI)「ロベルトならやってくると信じてた」 | SUPER GT 2024 第3戦 鈴鹿【 #SUPERGT あの瞬間】
── 公式練習の時点では15番手でしたが、その後の予選で大きく躍進して最終的には5番手に。この要因は?
片山:基本的に、ヨコハマタイヤ勢がみんなすごく苦戦してたと思うんです。そこで僕たちは大きくセットを変えて予選に向かったんです。それがすごくしっかりはまって、予選でタイムが出せたことが、すごいいい結果に結びつきました。ほんとにチームのみんなのおかげだと思います。
── 今シーズンは新たにフェラーリ296 GT3を投入。この車両には、どんな強みがありますか?
片山:コーナリングがすごく速く、直線も速い。バランスがすごく取れているクルマだと思います。ブレーキもコーナリングもいいし、直線もいいという感じ。BoPもいろいろあるので、どこかが突出していいっていうところはないんですが、バランスが取れているクルマなので、いろんなサーキットでしっかり結果が残せるんじゃないかなと思っています。
── 決勝ではどういう戦略をもって臨んだのですか?
片山:僕はすごくスタートが得意なので、担当することになりました。作戦的にはやっぱり前(のクルマ)にしっかりついていくということで……。タイヤの特徴の差もあるので、なんとか前についていけば、(ピット作業後)ニュータイヤになったときにしっかり巻き返しができるんじゃないかというのがチームの予想でした。なので、抜けなくてもついて行ってくれという指示の下、僕のスティントはしっかり仕事はこなせたのかなと思います。後半(第2、第3スティント)のロベルト選手にもしっかり仕事をしていただいて。ピットワークもすごく良かったので、作戦的には奇抜な作戦も採らず、しっかりとした普通の作戦でレースを完走できたと思います。
── オーソドックスな作戦を採るなか、戦いに影響を与えやすいタイヤのメインフォメーションなどをチームには伝えていたのですか?
片山:タイヤが厳しくなったら、逐一報告しろと言われてましたね。それがやっぱり(レース展開に)活きてくると思ったので、ロベルト選手にはしっかり情報を伝えました。ただ、(第2スティント以降は)ニュータイヤなんで、やっぱりある程度はマイル的にも余裕があったんじゃないかと思います。まぁ、(ムンタンは)素晴らしいドライバーだし、タイヤをしっかり残して最後までいいタイムで走り続けたので、そこはもっと見習って勉強したいなと思いました。
── ムンタン選手は、チェッカーまで30分程の時点で、前を走る31号車と僅差のバトルを展開して70周目にヘアピンで逆転。これで3番手に上がりました。そのときのチームはどんな感じでしたか? 見守ってる片山選手も緊張していたのではないですか?
片山:あの時点でタイム差を見ていたら、2位までいけるんじゃないかっていうぐらいのタイムで走ってたので、すごい盛り上がってました。ただ、他のチームもやっぱり直線が速かったり、すごく上手なドライバーだったので、ギリギリ2位には届かなかったんですけど、すごく盛り上がりましたね。僕も、“頼む! 抜いてくれ!” みたいな感じで……。もしかしたら抜けないのかなと、ずっとヒヤヒヤしていました。ただ、もう表彰台はいけると思っていたし、僕はロベルトならやってくれると信じて見ていました。
── ところで、ムンタン選手をSUPER GTに誘ったのは片山選手自身だったとそうですが、どういう経緯だったのですか?
片山:3年前のオフシーズン、僕がオーストラリアのフォーミュラ(S5000:タスマンシリーズ)へ走りに行ったとき、チームメイトだったんです。そこからの仲ですね。一緒にご飯とか行ったら、めちゃくちゃいい人で。それにすごく速かったので、(SUPER GTを一緒に)やりたいなとずっと思ってました。
── ムンタン選手自身、SUPER GTへの関心は?
片山:SUPER GT自体にすごく興味を持ってましたし、知る機会も あったみたいです。やっぱりいろんな海外の選手も(SUPER GTに)来ている関係上、すごく興味はあったようです。さらに、日本という国がとても大好きで。ご飯が美味しいし綺麗だし、自然はいっぱいあるしっていうことで、“日本大好き! 行きたい!”っていう感じでした。レースだけでなく、日本自体にそういう魅力を感じて、(SUPER GT参戦の)OKを出してくれました。
── となると、レースで来日するたびにガイドを兼ねて一緒に出かけたりしているのでしょうか?
片山:そうですね。毎回レースに行くときには、いろんなところに行ってます。遠くスペインから来ているので、サーキットのある現地の美味しいご飯とか一緒に食べに行ったり、観光スポットみたいなところに連れて行ったりしてますね。
── チームではどんな感じですか?
片山:すごくムードメーカーです。ただ、(レースに対して)厳しいところはやっぱり厳しいので、やはりプロだなって感じます。F1(2015年、マノー・マルシャにて参戦)の世界でやってきたこともあるぶん、チームのリーダーみたいなところもあるし。チームのなかでは、“愛されキャラ”みたいな感じですかね。
── 片山選手としては、そのムンタン選手からどういうところを吸収しよう、勉強しようと思っていますか?
No.6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI
片山:ロベルト選手はリーダーシップもありますし、すごく“レースIQ”が高い。僕は(レースを)20歳からと始めたのが遅いのですが、ロベルト選手はいろんなレースをしてきたこともあり、いろんな引き出しがあるんです。ドライビングだけじゃなく、セッティング、タイヤの選択、作戦だったり……ほんとレースIQが高くて。そこがすごく勉強になっています。ドライビングに関しても、やっぱりF2とかF1もそうですけど、タイヤマネージメントを必要とするWEC(世界耐久選手権)にも出てますし、とにかくレース(経験)が多いので、状況に見合った走り方がやっぱりうまいと思いますね。
── これから少しインターバルはありますが、次は今シーズン2回目の富士となります。サクセスウェイトが24kgになるなか、どのような戦いがしたいですか?
片山:去年はシーズンランキングが9位でしたが、今年は5位以内に必ず入りたいと思ってます。シリーズとしても、やっぱり重量が重くなってもなんとかついていって……。最終戦で(サクセス)ウェイトとか軽くなったときに優勝できるような下地作りというか、重くなってもしっかりポイントを獲る戦いを続け、好調をキープしたままシリーズを走り抜けたいなと思ってます。
── 今回、チームガレージでの取材という特別なシチュエーションですので、今シーズンから投入したフェラーリ296 GT3の“ここが好き!”を教えてください。
片山:フェラーリ296 GT3の好きなところは、(フロントフェンダーあたりを指さして)ここの部分が一番好きですね。もうやっぱり作りが違うなと。細かく空力のことを考えているのがわかるし、デザイン的にもすごく好きです。機能美って感じですね。
── 去年までは、ブルー基調のクルマでしたが、今シーズンは“ティフォシ”というか、赤のカラーリングがいっそうフェラーリのイメージに直結しますね。
片山:やはり(SUPER GTでは)フェラーリファンの方もすごく多いですし、フェラーリ、イコール赤っていうイメージもやっぱり強いので、ファンの方にはめちゃくちゃ喜ばれています。僕も、赤のフェラーリでレースをするということにすごく憧れがあったので、とてもうれしいです。
── では、最後に。今一番興味・関心のあることは何か、教えてください。
片山:僕は赤ワインが大好きなんです。イタリアワインもすごく好きなので、なんかイタリアの……フェラーリの工場見学に行きつつ、ワイン畑(に行く)みたいな感じかな(笑)。(赤ワインは)結構がっしり濃い系ではなくて、結構繊細な感じのワインが好きですね。イタリアワインなら、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノっていうのがあって、それがすごく好きです。ですが、ちょっと高いんで(苦笑)。今回、表彰台立ったのでお祝いに飲みたいなと思います(笑)。
文:島村元子
島村 元子
日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。
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