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鈴鹿サーキットで初の3時間レースとなるSUPER GT2024第3戦。
早くもシーズン3戦目に突入する2024年のSUPER GT。今回は、鈴鹿サーキットで初の3時間レースを迎えることになる。前回の富士で得た“3時間レースにおける戦法”を駆使し、強いレースを披露するのはどのチームになるのか?
そろそろ気になるサクセスウェイト
第2戦で優勝した3号車Niterra MOTUL Z。
第2戦富士はレースウィークをとおして安定したコンディションに恵まれたが、例年よりも高い気温となった。そこで、各チームは持ち込んだタイヤをいかに“賢く”使うのか頭を悩ませつつ、ドライバーも巧みにマネージメントしながら予選と3時間レースを戦った。そのなかで圧巻の強さを見せ、新コンビでシーズン初優勝を飾ったのがNiterra MOTUL Zの高星明誠/三宅淳詞組。予選2位からの勝利で、大量得点獲得を果たした。現在のランキングトップは開幕戦の岡山でポール・トゥ・ウィンを飾ったau TOM’S GR Supraの坪井翔/山下健太組だが、これに4点差と迫り、2位につけている。今回は、搭載されるサクセスウェイトを考慮すれば、この上位2台が求めるのは“より確実な” レースになるだろう。しかも、ウェイトが50kg超となったため、燃料流量リストリクター径の調整が行なわれる。結果、実際搭載されるウェイトはそれぞれ45kgと37kgになるが、“絞られた”リストリクターでどこまでパワーを出せるのか。両チームは、状況に見合った戦い方で臨んでくることだろう。
一方、富士で速さを見せたものの結果に繋げられなかったチームは、鈴鹿で雪辱を果たそうと準備を進めているはず。なかでもARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8の野尻智紀/松下信治組がその筆頭ではないだろうか。3時間レースでは、3位表彰台が確実となるなか、チェッカーまで9分を切った時点でトラブルが発生。すべてが水泡に帰すという悔しすぎる幕切れで戦いを終えている。鈴鹿でのサクセスウェイトはわずか6kgだけに、当然ながら予選からトップ3、そして決勝でも表彰台がターゲットとなるのは言うまでもない。さらに、今シーズンから新たに投入されたシビック・タイプR-GTの初勝利も期待される。他のホンダ勢とともに、ホームコースでの躍進から目が離せない。
8号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT。
一方のライバル勢はどうか。トヨタ勢では、予選での安定した速さが決勝での結果に繋がりつつあるKeePer CERUMO GR Supraの石浦宏明/大湯都史樹組の新コンビをクローズアップしたい。ホンダ陣営から電撃移籍した大湯のパワフルな走りがチームに新風を吹き込み、上昇気流に乗っている。それを、結果としていち早く残したいはずだ。さらに、鈴鹿とZ GT500が好相性のニッサン勢はどうか。NISMOの2台(Niterra MOTUL Z、MOTUL AUTECH Z)はランキング上位だけにタフな戦いになりそうだが、富士でシーズン初入賞を遂げたMARELLI IMPUL Zの平峰一貴/ベルトラン・バゲット組が気になるところ。2022年の第5戦鈴鹿では最後尾スタートからレース展開を味方にして逆転勝利しているだけに、ドライバーとチームの底力を見せてくれそうだ。まずは、サクセスウェイトの軽いチームが見せる逆襲の行方を見守りたい。
6セットのタイヤの組み合わせは?
14号車 ENEOS X PRIME GR Supra。
3時間レースにおける持ち込み可能なドライタイヤは、6セット。“3時間&6セット”という組み合わせは、前回の富士に次いで2度目となる。各チームとも、すでに鈴鹿で用いるタイヤは選択済みだが、セオリーどおりであれば、主力となるタイヤが4セット、そしてバックアップ用として異なるタイプを2セットという組み合わせになるのではないか。ただし、時節柄、天候次第で気温の上昇が大きくなることも考えられるため、コンビネーションに工夫を凝らす可能性もある。前回の富士では、蓋を開けて見ると、バックアップタイヤのほうが路面コンディションによりマッチした……というチームもあったと聞くが、各チームによるタイヤ選択の“泣き笑い”が今回も見られるのだろうか?
ただ、5月21日には沖縄、奄美地方での梅雨入りが発表され、ここのところ天候も周期変化が続いている。晴れればそれなりに気温も上昇するのだろうが、雨のコンディションともなればシーズン初のウエットレースになる。このあたりの不確定要素もレースの見どころとして気になるところだ。
そして、鈴鹿初となる3時間レースだが、果たして何周での戦いになるのだろう。昨年の第3戦は450km・77周を予定だったが、終盤に発生したアクシデントにより赤旗終了に。そこで、8月下旬に開催された真夏の第5戦も参考にして予想すると、ドライコンディションかつアクシデントなどもなく走破できれば、90~92周あたりになるのではと思われる。スタートからゴールまで、3スティントをどう区分するかも各チームの戦略次第。前回の富士と比較しながらの観戦も楽しめそうだ。参考までに、5月22日に発表されたGTアソシエイションによる大会規定のブルテンには、GT500、GT300両クラスにおいて、「決勝レース中、給油を伴うピットインを2回行う事か゛義務付けられる」と記されている。また、富士戦同様に、GT300クラスでは12チームが第3ドライバーを登録しており、鈴鹿でシーズン初レースを迎えるドライバーも現れそうだ。
GT300クラスは鈴鹿で専用テストを実施
2号車muta Racing GR86 GT。
第2戦富士が終わって間もなく、5月8、9日には鈴鹿でGTエントラント協会主催のGT300クラス専有テストが行なわれた。全参戦車両が出走したわけではないが、2日間合計4時間のテストで最速タイムをマークしたのは、現時点でランキングトップのmuta Racing GR86 GTの平良響(堤優威は欠席)。鈴鹿戦で搭載する54kgのサクセスウェイトを搭載してもなお、しっかり速さを引き出す走りを見せている。さらに、 LEON PYRAMID AMGの蒲生尚弥/篠原拓朗組やPONOS FERRARI 296のケイ・コッツォリーノ/リル・ワドゥ組も好タイムをマークしており、要マークだ。特に、鈴鹿初参戦のワドゥにとってはテストそのものが絶好の機会となったはず。昨年のWEC(世界耐久選手権)第3戦のスパ・フランコルシャンでWEC史上初の女性クラスウィナーとなった、その実力が発揮される日も近いのでは!?
そして、開幕戦では出走叶わず、第2戦富士でデビューにこぎつけたGAINER TANAX Zの富田竜一郎/石川京侍組もテストに参加。富士では、予選前日の車検において車幅が車両規則に合致しないというハプニングに見舞われ、深夜に及ぶ作業を経て、予選前の最終車検でようやく合格に至った。予選では、Q1に出走すると、全27台のなかで最高速をマークするという驚くべきパフォーマンスを披露し4番手に。だが、Q2出走前にトラブルが発生。最後尾スタートとなった決勝では、メカニカルトラブルが度重なってリタイヤという波乱万丈のデビューレースだったが、チームのホームサーキットとも言える鈴鹿で、ブラッシュアップした走りを見せてもらいたい。
この鈴鹿大会後、シリーズはおよそ2ヶ月後の第4戦富士まで“サマー・ブレイク”に入る。それゆえ、是が非でも鈴鹿でいい結果を残し、いい流れをキープしたいところ。3時間というタフなレースに挑む、各チームの奮闘に注目だ。
ドライバーからひと言!
山内英輝(2023年第3戦鈴鹿・GT300クラスポールポジション獲得者)
61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT。
BRZで走る鈴鹿はおもしろく、サーキットとしてもクルマに合っていると思います。もちろん、僕自身もすごく好きなサーキットです。観戦するなら、S字あたりは車体の動きがよく見れると思うし、ヘアピンではターボエンジンのアンチラグの音がすごく聞こえるはずです。1コーナーへの飛び込みも、見ていて楽しいと思うのでおすすめですね。
今年から予選システムが変わりましたが、僕自身やることはシンプルで、“ベストを尽くすだけ”と思っています。1周のアタックで力を出し切るというシチュエーションはQ1、Q2どちらでも同じ。そのタイヤで決勝スタートを切るので、1周でアタックを決めてくるのが大切だと考えています。
(GT300クラスの通算最多ポールポジション14回のタイ記録保持者だが)今年、ポールポジションを獲れば、井口卓人選手とのコンビで獲得できるので、ぜひふたりで獲れるようがんばりたいですね。
文:島村元子
島村 元子
日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。
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