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キャシディはここが正念場?モナコでは予選での速さが鍵に | FIA フォーミュラE世界選手権 2024 第8戦 モナコ プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシキャシディはここが正念場?
今年日本初の市街地自動車レースを開催し、大きな注目を集めた「フォーミュラE」。全16戦で開催されるシーズン10(2024年)はいよいよ前半戦の締めくくりとなるレースを迎えます。第8戦の舞台はF1モナコGPとほぼ同じレイアウトで開催されるモンテカルロ市街地コース。今回は4月27日(土)にモナコ公国で開催される「Monaco e-prix」のレースプレビューをお届けします。
東京での興奮から2週間、常設サーキットであるイタリア・ミサノで第6戦&第7戦が開催されましたが、第6戦では来季の契約が崖っぷちと言われるアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)が起死回生のトップチェッカーを受けるも、レース後に車両規定違反が発覚して失格に。繰り上がりで、オリバー・ローランド(ニッサン)が今季初優勝を果たしました。
惜しくも東京での優勝を逃した「ニッサン」でしたが、2020年(シーズン6)のベルリン以来4年ぶりの優勝を勝ち取りました。ライバルのペナルティを受けての繰り上がりというのは残念でしたが、「ニッサン」のフルワークスとしての体制になってからは初めての優勝。このまま勢いに乗っていくことができるでしょうか?
そして第6戦ではニック・キャシディ(ジャガー)がまたもや不運なアクシデントに遭遇。スタート直後の接触でパーツを破損し、今季2度目のリタイアに追い込まれました。
一方で、いつも以上にエネルギーセーブをしながら走るレースになった第6戦では車両規定違反で失格になったものの、第7戦ではパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)が優勝し、ポルシェパワートレイン勢が速さを見せました。ウェーレインは今季2勝目を飾り、第6戦&第7戦で連続2位となり東京から3連続表彰台に登ったジェイク・デニス(アンドレッティ・ポルシェ)と同点でなんとかランキング首位をキープしました。
ニック・キャシディ(ジャガー)は2度のリタイアが無ければ、ポルシェ勢のドライバーたちと選手権ポイントで肉薄できたと思いますが、7戦を終えてトップの2人からは13点差。ランキングは4位に沈んでしまいました。
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【ハイライト】FIA フォーミュラE世界選手権 2024 第7戦 ・決勝 ミサノ(イタリア)
シーズン中盤での13点差は意外と大きな差です。もうリタイア、ノーポイントは許されない状況でしょう。それだけキャシディはライバルからマークされている証拠であり、第7戦でも3位と走り切れば上位フィニッシュとなる速さがあります。その速さは誰もが警戒するところです。
モナコはキャシディにとって正念場となるレースです。昨年、9番手スタートから追い上げ、見事に優勝を飾ったキャシディとしてはここで何としてでも勝ちたいでしょう。F1とほぼ同じコースレイアウトであるモナコで連勝することは今後の彼のキャリアを考えても大きな勲章になるはずです。
F1ではドライバーズサーキットと呼ばれ、ドライバーの実力差が出やすいコースとして知られるモナコですが、現レイアウトになってからの2年を見てみると、最終予選デュエルに2年連続で進出したのは僅か一人、ミッチ・エバンス(ジャガー)だけで、他の7人は2022年と23年で顔ぶれが異なっています。
昨年のモナコでデュエル進出を果たしたドライバーの顔ぶれを見てみると、ニッサン勢が3台、マセラッティ2台、NIOが2台、ジャガー1台という状況でした。年間を通じての結果では上位に来ていなかったNIO(現ERT)が2台ともトップ8デュエルに進出したことを考えると、予選の速さは得意ドライバーが優勢というよりはパワートレインに起因する部分が少なからずあると言えます。
モンテカルロ市街地コース
F1ほどのスピードになるとオーバーテイクが難しいコースとして知られているモナコですが、フォーミュラEの場合は順位の変動がかなりあります。とはいえ、昨年のニック・キャシディ(ジャガー)の9番手からの優勝は異例と言えますし、常設サーキットのミサノとは違い、ガードレールに囲まれたタイトなコースではやはり予選は大きな鍵になってくるはずです。
そんな中、期待はニッサンのパワートレインを使うドライバーたちの活躍です。昨年のデュエルはサッシャ・フェネルストラズ(ニッサン)とジェイク・ヒューズ(マクラーレン・ニッサン)によるニッサン勢のポールポジション争いとなりました。好結果のデータを持っているニッサンとしてはモナコでは上位スタートを勝ち取り、トップで走り切っての優勝を期待したいところですね。
今季2度のポールポジションを獲得し、3度のデュエル進出を果たしているオリバー・ローランド(ニッサン)にはもちろん期待がかかりますが、フロントロースタートになったサッシャ・フェネルストラズ(ニッサン)、そして昨年のモナコのポールシッターであり第7戦ミサノでもポールを奪ったジェイク・ヒューズ(マクラーレン・ニッサン)のパフォーマンスは注目です。
荒れる展開も予想されるモナコ。まさにサバイバルバトルを潜り抜けたドライバーたちが後半戦を優位に戦うことができるようになりそうです。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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