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昨シーズンのサファリ・ラリー
緒戦のモンテカルロとスウェーデンはヒョンデが好調でした。しかし今シーズンから始まった新ポイントシステムのため以前ほどポイント差は広がっていません。最終日単独ポイント制が機能しているようです。選手たちがこれをどう評価しているかわかりませんが競技性が高まったことは間違いないようです。まだ先は長いので注視しましょう。
もうひとつの話題はWRC-2の台頭でしょう。長い間ヒョンデ、トヨタ、フォードと3社のみ、実質ヒョンデとトヨタの一騎打ちの連続でチャンピオンシップが競われてきましたが少なくとも5社以上ないと真の選手権とは云えないとR-1の将来を危惧する空気がFIAの中から出てくるのは当然の成り行きです。サービスポイント制限なし、SS500キロ以上、メカニック数制限なし、ヘリの使用OK等々、肥大化に伴う費用の拡大で新規参加メーカーが入りにくい状況を改善するため現在の規則が採用されました。昔に比べ費用を少なくし新規参入を促したわけですがそれでもメーカー数は増えていません。コンパクト化されたWRCのR-1クラスはエンジン出力増大、空力部品のためより高性能化し公道レースのようになりました。一方、程々の性能を持つR-2車両には長いあいだ車両を提供しているシュコダ、フォードに加えヒョンデ、シトロエン、VWに加え今年からトヨタ・ヤリスが大挙参戦。スウェーデンではクラス優勝は逃しましたものの多数のヤリスが上位に入りました。
R-2のリストリクターをもう少し広げてやればR1とR2の併合もできるかも知れません。
車が増えればドライバーも増える、そしてその中から若いチャンピオンが出るような改革がWRCの将来像になって欲しいですね。
さて、昨年70周年を迎えたサファリは1953年にエリザベス女王戴冠を記念してケニア、ウガンダ、タンザニア3国を舞台に開催された約6000キロの壮大なラリーでした。ラリーの正式名称は70年の間に数回変わりましたが現在はWRC Safari Rally です。
1960年代後半から当時発展途上にあった日本メーカーが世界一の冒険ラリーに挑戦を開始日産が70年、71年に連勝、続いて三菱が74年に初優勝するなど日本にサファリブームを起こしました。80年代にはトヨタが参入3連勝,90年代には4連勝、そしてスバルも参入して3回優勝するなど日本車全盛でした。
写真筆者提供
サファリ・ラリーは例年イースター(復活祭)の3月下旬から4月上旬ころ開催されていましたが、時折WRCカレンダーの調整により別の時期になることがあります。今年は元に戻ってイースター期間中です。開催時期は季節変動の激しいアフリカでは大変重要で、名だたる悪路のコースでは瓦礫,埃に悩まされ、一旦雨が降ると泥沼化します。この時期は乾季と雨季の境目に当たり天候の急変は勝負の決定的要素になるかもしれません。
降っても晴れても地獄です。いたわりながら賢く走る忍耐と経験が求められます。
写真筆者提供
サファリやアイボリーコーストそれにダカールラリーで活躍した篠塚健次郎さんがなくなりました。私もサファリで何度かご一緒しました。尊敬する偉大な戦友に心からのお悔やみを申し上げたいと思います。
ラリー概要は次のとおりです。
SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
---|---|---|---|---|
3/28 | 1 | 4.84 km | 117.22 km | 122.06 km |
3/29 | 6 | 127.58 km | 273.70 km | 401.28 km |
3/30 | 6 | 160.96 km | 337.54 km | 498.50 km |
3/31 | 6 | 74.38 km | 293.47 km | 367.85 km |
Total | 19 | 367.76 km | 1021.93 km | 1389.69 km |
トヨタはエバンス、ロバンペラ、勝田が出場。トヨタは目下サファリ3連勝中です。
ヒョンデはヌーヴィル、タナク、ラッピ。
フォードはフルモー、ミュンスターの2台。
文:福井敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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