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モーター スポーツ コラム 2024年2月22日

レイがヤマハへ、ラズガットリオグルがBMWへ!大型移籍で新時代が始まる | FIM スーパーバイク世界選手権 2024 第1戦 フィリップアイランド プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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 FIM スーパーバイク世界選手権 2024 第1戦 フィリップアイランド

FIM スーパーバイク世界選手権 2024 第1戦 フィリップアイランド

市販車ベースの最高峰「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」の2024年シーズンがフィリップアイランド(オーストラリア)から開幕します。今季も全12ラウンド(36レース)で争われるWSBK。オーストラリアでの開幕ラウンドだけがフライアウェイ戦となり、第2ラウンド以降はイギリス、ヨーロッパで開催されるスケジュールとなります。

J SPORTSでは今年も「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」を生放送。今回は第1戦・フィリップアイランド=2月23日(金)〜2月25日(日)のレースプレビューと共にシーズンの行方を占っていきましょう。

さて、2024年は近年で一番とも言えるほどにトップライダーの大型移籍が相次ぎました。やはり最もファンを驚かせたのは、カワサキで6度のワールドチャンピオンを獲得した「カワサキの顔」とも言えるジョナサン・レイの衝撃的なヤマハへの移籍でしょう。

無敵だった6連覇の時代の後、ヤマハに移籍したトプラク・ラズガットリオグルの台頭、新型のドゥカティ・パニガーレV4Rに乗るアルバロ・バウティスタの参戦で3年間チャンピオンから遠ざかっていたジョナサン・レイ。昨年はトップ争いを展開しつつも、ついに1勝しかできないまでに苦戦しました。さすがに負け続けるレースをこれ以上できないレイはヤマハに移籍し、トップチーム「Pata Yamaha Promenton WSBK」から、アンドレア・ロカテリと共に参戦します。

注目の大型移籍ではありますが、レイはすでに37歳という年齢になり、身体的には余裕のある年頃ではありません。しかも、9年間も所属し、元ライダーのエンジニアでありメンターでもあったペレ・リバとバイクを仕上げていったカワサキの環境から、未経験のヤマハに乗り換えるというのは、いくら経験豊富なベテランといえども大きな試練です。フィリップアイランドでの直前テストでは大きな転倒も喫してしまうなど、レイは順風満帆ではありません。

一方で、ヤマハからBMWに移籍した2021年のチャンピオン、トプラク・ラズガットリオグルは絶好調。直前テストではなんとコースレコードタイムを上回る好タイムを記録して首位発進。早くもその高い順応性を結果で示すことになりました。

ラズガットリオグルのBMW移籍は実にギャンブル的でした。BMWはマニュファクチャラーズランキングで4位のメーカーであり、昨年の最高位は4位。2023年に新型モデルが投入されましたが、優勝争いに絡むポテンシャルが出ておらず、もう一度チャンピオンを狙うラズガットリオグルの移籍先としてはクエスチョンマークがつく状況でした。直前テストでチームメイトのマイケル・ファンデルマークがあまり良いタイムを出しているわけではないことを考えると、やはりトプラク・ラズガットリオグルは並大抵ではない実力の持ち主であることが分かります。果たしてレースでもその飛び抜けたスピードを披露することになるのか、開幕から注目です。

そして、圧倒的な強さを誇るドゥカティ勢は移籍した元チャンピオンたちを迎え撃つことになるわけですが、ドゥカティのワークスチーム「Aruba.it−Racing Ducati」にも新顔が加わることになりました。スーパースポーツ世界選手権を2年目で制し、見事にチャンピオンを獲得したニッコロ・ブレガです。世界選手権Moto2クラスで走り、プロダクションバイクのレースに転向したブレガですが、スーパーバイクでも事前のテストから安定した速さを披露。2年連続の王者、アルバロ・バウティスタの好敵手になりそうな勢いを見せています。

とはいえ、レースとなるとタイヤマネージメントを含めて、やはりルーキーのブレガにとって簡単ではない状況も待ち受けているはずです。シーズンが進んでいくにつれて戦い方を覚えた時に、ブレガのキャリアが一気に花開く可能性を期待せずにはいられません。

ドゥカティ勢ではワークス以外にも強烈な伏兵が参戦します。元MotoGPライダーのアンドレア・イアンノーネがプライベートチームの「Team GoEleven」から参戦。1台の小規模体制であり、久しぶりのレース復帰ながら、直前テストでは4番手タイムを記録というパフォーマンスを見せたのです。

イアンノーネは2019年までドゥカティ、スズキ、アプリリアからMotoGPに参戦し、優勝もしているライダー。しかし、ドーピング検査で禁止されている筋肉増強のステロイドを使用していたことが判明し、出場停止に。その処分が解けてからも5年間レースから遠ざかっていましたが、待望の復帰を果たすことになりました。

実はイアンノーネは開幕戦の舞台フィリップアイランドと相性が良く、MotoGP時代にはスズキで参戦した2018年に2位表彰台を獲得しています。5年のブランクがあったものの、まだ34歳という年齢。開幕から大暴れするか楽しみなライダーです。

国内メーカーではカワサキはレイが抜けた大穴を埋めるに相応しいビッグネーム加入はなく、アレックス・ロウズが残留し、ドゥカティのプライベートチームで3年間走ったアクセル・バサーニが加入。今季のポテンシャルは未知数ながら、電子制御にはかなりのアップデートが加えられているようで、今年は復権に向けた地固めの1年になりそうです。

また、マニュファクチャラーズランキングでは最下位となったホンダは今季、マシンを新型にアップデート。Team HRCからは引き続き、イケル・レクオーナとチャビ・ビエルゲが参戦します。ここ2年、鈴鹿8耐の助っ人としても活躍した2人ですが今年は鈴鹿8耐とスケジュールがバッティングしているため、8耐要員からは外れることになります。そんな環境下での残留。直前テストでも上位には名を連ねていないのが気がかりです。

大型移籍が相次いだ新時代。いよいよその勢力図が明らかになります。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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