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昨年はプロトタイプカーとGTマシン、2タイプの車両を3つのクラスに区分して混走レースとして行われていたFIA世界耐久選手権(WEC)は、2024年に大きく衣替え。プロトタイプカーはワンメイク状態だったLM P2クラスが廃止になりハイパーカークラスのみ、ハコのLM GTE AmクラスはLMGT3クラスへ変更。プロトとハコの2クラスに統一され、クラス区分が分かりやすくなった。
さらにハイパーカークラスのエントリーは9メーカーの19台、LMGT3クラスは9メーカーの18台、2クラス合わせて37台によるレースとなった。どちらのクラスもメーカーの威信を賭けたバトルが展開されそうで、面白いシリーズになりそうだ。
先日発表された年間エントリーのリストを見ると、ハイパーカークラスでは昨年のグリッケンハウスとバンウォールの名前が消え、新たにBMW(2台)、ランボルギーニ(1台)、そしてイソッタ(1台)の名前が追加された。これで従来のTGR(トヨタ・ガズー・レーシング、2台)、プジョー(2台)、フェラーリ(3台)、ポルシェ(5台)、キャデラック(1台)、アルピーヌ(2台)の6メーカーと合わせると9メーカーがそろうことになった。
ハイパーカーのドライバーラインナップに関しては、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとTGRの2チーム4台が全員を発表しているが、AFコルセの83号車フェラーリにはロバート・クビサの名前もある。さらにハーツ・チーム・ジョタのポルシェにはジェンソン・バトンやセバスティアン・フェテルというドライバーの名前も噂されている。またデイトナ24時間のテストに参戦して姿を現したランボルギーニSC63は日本でもおなじみのアンドレア・カルダレッリがドライブしていきなりトップタイムをマーク。そのシートにはロマン・グロージャンやダニール・クビアトらが収まる可能性もあるようだ。
昨年はTGRとフェラーリがトップ争いを見せたが、ここにポルシェ、ランボルギーニ、昨年WECヤIMSAで苦戦したプジョー、BMWが絡んでくれば俄然このクラスが面白くなること間違いない。
LMGT3クラスはハイパーカーに参戦するメーカー絡みの9チーム(アストンマーティン、BMW、フェラーリ、マクラーレン、ランボルギーニ、フォード、レクサス=トヨタ、コルベット=GM、ポルシェ)各2台の計18台に絞られた。GT3クラスで大活躍中のメルセデス、F1以外の活動を休止するアウディが漏れてしまったのは残念だが、これまでの4メーカー(アストンマーティン、コルベット、フェラーリ、ポルシェ)だけのバトルより車種バラエティも増え、賑やかになるだろう。なおメルセデスのワークスドライバーだったダニエル・ジュンカデラはコルベットへ、ラファエル・マルチェロはBMW(ハイパーカークラス?)へ移籍となった。
ドライバーに関してはプロが収まる第3ドライバーの発表はほぼあったが、ジェントルマン(ブロンズ)の第1ドライバーやシルバーによる第2ドライバーの発表はこれからとなる。発表されたドライバーの中で注目されるのは、46号車BMW M4のBドライバー。46番という数字からも想像が付くと思うが、ここにMoto GPで7回チャンピオンを獲得したバレンティーノ・ロッシが収まる!
日本人として気になるのはLMGT3クラス唯一の日本チーム、D’station Racing。第3ドライバーとしてアストンワークスドライバーであるマルコ・ソレンセンが発表されているが、残る2名も外国人ドライバーになるという噂も聞こえている。現段階での日本人ドライバーの参戦は、ハイパーカークラスTGRの小林可夢偉と平川亮だけだが、今後何人が加わるのだろう?
なお今季限りでWECから外れることになったLM P2クラスだが、ヨーロッピアン・ルマン・シリーズ(ELMS)やアジアン・ル・マン・シリーズなどではトップカテゴリーとして存続する。そしてWEC第4戦のル・マン24時間にもエントリー可となる。
来年のWECは南米サンパウロでのラウンドが加わり全8戦として開催予定。新たな時代のWECで覇権を握るのは? 今から開幕が楽しみでならない。
文:皆越 和也
皆越 和也
1961年熊本県出身。1980年代後半に富士スピードウェイで観戦した「WEC in JAPAN」で四輪モータースポーツに目覚め、モータースポーツ専門誌編集部等を経てフリーランスのフォトライターに。SUPER GTは全日本GT選手権がスタートした1993年より、ほとんどのレースを現場で取材している。
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