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モーター スポーツ コラム 2023年10月1日

バウティスタ逃げ切れるか?ラズガットリオグルが47点差に迫る | FIM スーパーバイク世界選手権2023 第11戦 ポルティマオ プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIM スーパーバイク世界選手権2023 第11戦 ポルティマオ

FIM スーパーバイク世界選手権2023 第11戦 ポルティマオ

市販車ベースのマシンで争う最高峰レース「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」の2023年シーズンは残り2戦。第10戦アラゴン(スペイン)に続き、2週連続開催となるレースがポルティマオ(ポルトガル)で開催されます。チャンピオン争いも佳境となった第11戦・ポルティマオ=9月29日(金)〜10月1日(日)のレースプレビューをお届けしましょう。

前戦・アラゴンはレース1でランキング首位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)が転倒、ノーポイントに終わり、3レースとも表彰台でフィニッシュしたランキング2位のトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)がポイント差を10点詰めて47点差に迫ることになりました。

残りは2戦=6レースですから、最大獲得ポイントは124点。ランキング3位のジョナサン・レイ(カワサキ=328点)は首位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ=504点)との間にそれ以上の差が開いてしまったため、チャンピオン争いから脱落。これでチャンピオン争いはアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)vsトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)の一騎討ちとなったのです。

これまで両者には大きな差が開いていましたから、47点差と聞くとかなり差がなくなったような印象を受けるかもしれませんが、依然として大きな差があるのは事実です。1レースあたりの最大獲得ポイントは62点。次が最終戦ですから、これすなわち62点以上の差がつくと、今回のポルティマオ(ポルトガル)でアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)の2年連続チャンピオンが決定します。

トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)がそれを阻止するにはポルティマオで3連勝を飾るのが理想です。しかし、前戦アラゴンのようにラズガットリオグルが1勝もできないレースウィークになってしまうと、その順位によってはバウティスタの王座が決まる可能性があります。何が何でも勝つしかない、崖っぷちにラズガットリオグルはいるわけです。

そんな中、ハイスピードかつ起伏に富んだポルティマオのアルガルヴェ・インターナショナルサーキットを得意とするのがトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)。チャンピオンを獲得した2021年はポールポジションを取り、レース1で優勝。2022年もレース1とスーパーポールレースで優勝と彼と相性の良いコースです。一方のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)も2回優勝経験がありますから、彼にとっても相性は良いと言えるでしょう。両者ともに得意という、まさにチャンピオン争いの主導権をどちらが取るのかがかかったレースに相応しい舞台です。

チャンピオン獲得の条件としてはアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)が3連勝の場合、トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)が全て2位ならチャンピオンは最終戦に持ち越しです。しかし、仮にバウティスタ3連勝で、ラズガットリオグルがレース1、レース2で3位になってしまうとチャンピオンがポルティマオで決定となります。ラズガットリオグルにとっては誰かが2位に入ってくると厄介なことになるわけです。

前戦・アラゴンではバウティスタのチームメイト、マイケル・ルーベン・リナルディ(ドゥカティ)がレース1で優勝したり、レース2で表彰台に昇ったりとドゥカティワークスからの放出が決まっても、バウティスタをしっかり援護射撃してくれました。今回のレースでもリナルディのパフォーマンスは大きなキーとなるはずです。

リナルディは現状、来季のシートが決まっていない状態ですが、ホンダ移籍の話があるようです。ホンダは来季もイケル・レクオーナ(ホンダ)とチャビ・ビエルゲ(ホンダ)のラインナップ継続を考えているようですが、MotoGP王者のマルク・マルケスがグレシーニ・ドゥカティへ移籍する噂がまことしやかに語られており、それが決まれば、イケル・レクオーナ(ホンダ)がMotoGPへ転向すると考えられています。そこで空いたシートにマイケル・ルーベン・リナルディ(ドゥカティ)が加わるという話なのですが、全てはマルケスの去就次第のようです。ストーブリーグはMotoGPの移籍事情、シート争いの影響を受けながら、日々変化していくことになるでしょう。

リナルディとしてはバウティスタの転倒があったとはいえ、今季初優勝を飾り、レース2でも3位表彰台と終盤戦は復調の兆しがあります。まずは世界選手権のトップカテゴリーに来季以降も身を置くためには自身がチャンピオン経験者たちと争うことができるポテンシャルを有していることを、さらに結果で証明する必要がありますから、今回のポルティマオでも注目すべきライダーでしょう。

来季に向けてラインナップを固めたのはBMWです。ワークスチームにはトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)が移籍し、マイケル・ファンデルマーク(BMW)の残留が決定。サテライトチームのBonovo Action BMWにはギャレット・ガーロフ(BMW)が残留し、ワークスからスコット・レディング(BMW)が移籍します。なかなかすごいラインナップとなったBMWですが、今季の終盤になっても表彰台はゼロ。ちょっと来季が心配になりますね。

BMWとホンダはマニュファクチャラー選手権でも4位、5位を接戦で争っており、終盤戦はホンダの2人が安定してポイントを取っているだけに、5位のホンダがBMWを逆転する可能性も出てきました。この2メーカーに本当はもう少し上位で争って欲しいものですが、ランキング4位を争うメーカー同士の熾烈な戦いもチャンピオン争いと共に注目です。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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