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残り3戦、毎年恒例の後半に強いラズガットリオグル | FIM スーパーバイク世界選手権2023 第10戦 アラゴン(スペイン) プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシランキング2位のトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)
プロダクションバイクレースの世界選手権「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」の2023年シーズンも残すところ3戦となりました。第10戦アラゴン(スペイン)、ポルティマオ(ポルトガル)と2週連続のレースを経て、約1ヶ月のインターバルを経てアルゼンチン戦の代替レースとなったヘレス(スペイン)でのイベリア半島決戦となります。今回は第10戦・モーターランドアラゴン=9月22日(金)〜9月24日(日)のレースプレビューをお届けしましょう。
終盤4戦の再開となったマニクール(フランス)ではランキング2位のトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)がレース1とスーパーポールレースで優勝。そして、レース2ではランキング首位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)が優勝と、チャンピオン争い佳境にして争いが一気に激しくなってきました。
74点差に開いていた両者のポイント差は57点差に縮まり、トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)の大逆転もあり得る展開になってきましたね。ここ最近、この展開はWSBKのお決まりのような感じのパターンになってきて、ラズガットリオグルはなぜか前半戦でそれほど勝てず、中盤戦から勝ちだして、終盤戦にはチャンピオン争いの可能性を秘めるという展開はもはや毎年の恒例行事のようです。
カワサキ時代もヤマハに入ってからも、ラズガットリオグルはずっとこのパターンで、WSBK初優勝も2019年の終盤戦フランスでした(当時はカワサキの第二勢力チーム)。昨年も中盤戦のドニントンパーク(イギリス)から勝ち始め、終盤のフライアウェイ戦となったアルゼンチン、インドネシアでは圧倒的な強さを見せてチャンピオン争いを盛り上げてくれました。
さて、これから始まる3レースはアラゴン(スペイン)、ポルティマオ(ポルトガル)、ヘレス(スペイン)と続きますが、その内の2戦がアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)の母国スペインでのレースであることが一つの肝です。バウティスタは母国のレースにめっぽう強く、WSBKキャリアだけでも12回母国レースで優勝しているのです。苦戦したホンダ時代の2年間も母国スペインでのレースだけ表彰台に上がったりと、とにかく強いのです。
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【ハイライト】FIM スーパーバイク世界選手権2023 第9戦 マニクール(フランス) Race1. SuperPole. Race2
第10戦の舞台、モーターランドアラゴンでもドゥカティでのWSBKデビューイヤー2019年は3連勝。昨年もドゥカティ復帰ラウンドとなったレースでしたが2勝をマークしました。バウティスタが得意とするコースであることは間違いありません。
そんな中、逆にトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)はアラゴンで苦戦しがち。昨年のアラゴンでは3連続3位表彰台を獲得したものの、実は彼はまだ一度もアラゴンで優勝できていないのです。57点差に縮まった差がアラゴンを終えると124点が残り2戦の最大獲得ポイントとなりますが、 ラズガットリオグルが全てノーポイントで終わって、バウティスタが全勝しても119点差であり、今回はチャンピオンが決まりません。
つまり前回のフランスでトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)はチャンピオンの可能性を色濃く残したことになります。ただ、残り全てのレースでラズガットリオグルが優勝してもアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)が全て2位でフィニッシュするとバウティスタが5点差で王者になるという計算ですから、条件的には依然厳しい状況であることは変わりありません。
こうなると、チームメイトに援護射撃を頼むしかありません。もちろん、それはライバルを撃墜するという意味ではなく、チャンピオンを争うライバルの順位を上げさせないように速く走るという意味ですよ。首位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)のチームメイトであるマイケル・ルーベン・リナルディ(ドゥカティ)は来季ワークスのシートを失うことが決定しましたから、モチベーションの低下が心配です。
一方で、トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)自体は来季BMWへの移籍が決定しましたが、ヤマハに残留するチームメイトのアンドレア・ロカテリ(ヤマハ)は名手ジョナサン・レイ(カワサキ)の移籍を前に鼻息荒くなっていますから、ラズガットリオグルにとってはロカテリにもうひと頑張りしてもらいたいところでしょう。
一方、ランキング3位のジョナサン・レイ(カワサキ)はフランスで3連続3位表彰台を獲得しましたが、チャンピオン争いの可能性は崖っぷち。ただ、中盤戦から表彰台の常連になったレイがカワサキへの最後の奉公的に優勝または2位に入ってくるレースをしたとしたら、実質2人に絞られたバウティスタvsラズガットリオグルのチャンピオン争いに大きな影響を与えそうです。
そういう意味でもアラゴンは見逃せない1戦。来季、ラズガットリオグルの移籍が決定しているBMWはサテライトチームのギャレット・ガーロフ(BMW)がフランスの予選でポールポジションを獲得するなど最近はホンダを脅かす存在になっていますし、来季のレギュラーシート争いもまだ空きシートが多く、特にジョナサン・レイ(カワサキ)の抜けたカワサキのシートに誰が収まるのかを巡る闘いは熾烈(目星はついているでしょうが)。アピールしたいライダーがいつも以上の力を発揮して勢力図はグッチャグチャになりそうな予感。チャンピオン争いが面白くなるか、だいたい決まりね、となるかは今回のアラゴン次第と言えるでしょう。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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