鈴鹿8耐にも出るシュロッター＆岡谷に注目！ | FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第7戦 イモラ プレビュー

ランキング首位のニッコロ・ブレガ（ドゥカティ）

スーパーバイク世界選手権と共に転戦する「FIMスーパースポーツ世界選手権（WSSP）」は2023年シーズンの折り返しとなる第7戦・イモラ（イタリア）が7月14日（金）〜7月16日（日）に開催されます。岡谷雄太（カワサキ）と阿部真生騎（ヤマハ）の2人の日本人ライダーが挑戦するWSSP。今回は第7戦のプレビューをお届けしましょう。

上位クラスの「FIMスーパーバイク世界選手権（WSBK）」、そして同じく「MotoGP」と並んで、昨年から600cc以外のバイクも出場可能になったWSSPでもドゥカティの勢いが止まりません。前戦・ドニントンパークではランキング首位のニッコロ・ブレガ（ドゥカティ）が2連勝。今季8回目の優勝を飾ることになりました。さらにドニントンパークのレース2では優勝：ニッコロ・ブレガ（ドゥカティ）、2位：ヤリ・モンテラ（ドゥカティ）、3位：フェデリコ・カリカスロ（ドゥカティ）とついにドゥカティ・パニガーレV2が表彰台を独占。あっちもこっちもドゥカティの勝利。そして勢いづく中で迎える2ヶ月ぶりのイタリアでのレースはもはや祭状態でしょうね。

ランキング2位のステファノ・マンジー（ヤマハ）も第5戦・ミサノで優勝しましたが、ドニントンのレース2では表彰台に上がれず、ブレガとのポイント差はついに55点もの大差に広がってしまいました。ランキング3位のフェデリコ・カリカスロ（ドゥカティ）がここ最近は追い詰めてきているので、イモラではブレガ、マンジー、カリカスロのイタリアンライダーたちの闘いに注目が集まりそうです。

そんな中で日本のファンに注目して頂きたいのがカリカスロと同点でランキング4位につけるマーセル・シュロッター（MVアグスタ）です。今季初のリタイアをドニントンのレース2で作ってしまいましたが、プロダクションバイクカテゴリーのデビューシーズンながらも少数派のMVアグスタで善戦しており、今季は合計4回の表彰台を獲得しています。

Moto2で10シーズンも走ったドイツ人ライダーのマーセル・シュロッター（MVアグスタ）。Moto2では優勝こそ飾れませんでしたが、ポールポジション1回、そして数多くの表彰台を獲得しています。昔からリタイアが少ない安定感のあるライダーであり、次々に若いライダーが登場する中で常にシングルフィニッシュを続けてきていましたから、かなり実力派のライダーと言えるでしょう。

もっと早く、WSBKなど活躍できる舞台に来ても良かったと思うのですが、今季ようやくレーサーマシンからプロダクションバイクのレースに転向。苦戦することもなく、MVアグスタにとって近年で最も良い結果をもたらしています。

市販車ベースの経験という意味では、実は過去にその経験があります。2017年の鈴鹿8耐に「S−PULSE DREAM RACING」から参戦し、今年も鈴鹿8耐に同チームからの出場が決定しました。FIM世界耐久選手権を闘う渥美心、そしてヨシムラでも出場経験があるジョシュ・ウォーターズと組み、先日のテストではすぐにアジャストして好タイムをマーク。かなり忙しい中での来日テストでしたが、ちゃんと良い走りを披露する実力はさすがです。

スズキですが、1000ccのバイク、しかもファクトリーマシンと同等のスペックを持つマシンに乗った後、MVアグスタでマーセル・シュロッター（MVアグスタ）がどんな走りを見せるか注目。イタリア伝統のブランドですから、ホームレースでさらなるパフォーマンスアップを見せて欲しいものですね。

鈴鹿8耐のテストには今年もストッククラス（NSTという名前になります）の優勝を狙う「Kawasaki Plaza Racing Team」から岡谷雄太（カワサキ）が出走しました。その直前のドニントンパークでも今季の苦戦は変わりませんでしたが、鈴鹿8耐テストの直後のレースであるだけに、こちらも成績の向上に期待したいところです。イモラは2019年にスーパースポーツ300世界選手権で経験ずみですが、この時は1年目で苦戦していた時代で予選落ち。近年は同選手権に設定が無かったコースですが、全く知らないコースではないので、今季ベストリザルトを残して欲しいですね。

WSSPがイモラで開催されるのは2019年以来4年ぶり。その大会で2位になったのは当時ヤマハのフェデリコ・カリカスロ（ドゥカティ）。当時MVアグスタに乗っていたラファエル・デ・ローサ（ドゥカティ）も3位表彰台に上がっていますし、イタリアンライダーたちの活躍が予想されるイモララウンド。その中で鈴鹿8耐に出場する岡谷雄太（カワサキ）、マーセル・シュロッター（MVアグスタ）の活躍に注目してご覧になるとより楽しめるのではないでしょうか。

文：辻野ヒロシ