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チケット30万枚即SOLD OUT!小林「その時点でル・マンは特別」| ル・マン24時間レース開幕直前 小林&平川スペシャルインタビュー
モータースポーツコラム by J SPORTS 編集部TOYOTA GAZOO Racing 小林可夢偉選手兼チーム代表・平川亮選手
1923年の第一回大会から、今年で100年を迎えるル・マン24時間レース。J SPORTSではこのアニバーサリーな大会を徹底LIVE配信でお届けする。
2021年よりトヨタGR010 HYBRIDを走らせる我らがトヨタは現在ル・マン5連覇中。記念すべき100周年大会に勝利すれば、フェラーリが持つ6連覇の記録に並ぶ快挙だ。チケット30万枚は売出し直後にSOLD OUT!そんな世界中のモーターファンの耳目を集める今大会へ挑むTOYOTA GAZOO Racingより、小林可夢偉選手兼チーム代表と、平川亮選手に話を聞いた。全3回に分けてお届けする。(聞き手:ピエール北川氏 | 以下、敬称略)
ル・マン24時間について
北川:ル・マン24時間レースが今年100周年を迎えます。この100周年のタイミングで、ドライバーとして走れる巡り合わせは特別なことだと思います。
小林:すごくラッキーだと思っています。まだ始まってもいないんで、実感ないですけど。100周年に向けて、言えないこともいっぱい準備していて、頭がいっぱいでございます。
平川:このタイミングで、トヨタのドライバーとして耐久レースの一番上のクラスで戦えることはすごいラッキー。こうしたチャンスをもらえて本当に恵まれているなとつくづく思います。あまり100周年という実感自体はないですが、優勝した去年の経験をしっかり生かしたいなと思っています。
北川:100周年だからこそ優勝したいという《色気》も出てしまいそうですが。
小林:色気というか、(優勝は)常に獲りたいものじゃないですか。タダ(無料)でロレックス・デイトナが貰えるんですよ? 去年もらったときの平川は「僕、これどうしたらいいんですかね?」って不安そうでした(笑)。持って帰る飛行機の中で「盗られないですかね?」とか、「上(機内の荷物入れ)に置いといて大丈夫ですかね?」とか、すげー心配してましたよね、ほんまに。
北川:ドライバーとして、ル・マン24時間レースの《特別さ》を教えてください。
小林:100周年のアニバーサリーで勝てるということは、節目として一生語り継がれると思う。でも、僕目線で言うと、ACO(フランス西部自動車クラブ)とかとコミュニケーションをとって、ACOがしようとしていることも知っているので、間違いなく今までのル・マン以上にお金も掛け、いろんな人を呼び、いろんなイベントをやります。チケットもオープンした途端にSOLD OUT。ル・マンって30万枚くらいチケットがあるらしんですけど、それが一瞬でSOLD OUT。僕たちが追加で買おうと思っても買えない。30万人も入ったら街中がパンクですよ。電波も通じないし、こうした状況に陥る時点で特別なんです。そこに対して、みんながちゃんと勝ちたいと思っている。それが結果として表れるかどうかは、ル・マンの女神しか分からない。正直、ドライバー目線で言うと「やるしかないでしょ!」という気分ですが、それ以外の部分では不安だらけです。
北川:20万人以上のファンがコースを埋め尽くす中で、平川選手は去年初めて表彰台に立ちました。そのときの興奮は覚えていますか?
平川:僕はどちらかと言うと《興奮》というよりも、《安心》の方が大きかったです。
小林:ほんまに? もう一回、去年の表彰台の写真を見返してみたら? ちょっと顔おかしかったで? いつもの平川の顔じゃなかった。完全にナチュラルハイになってるなって感じやった。自撮りのときの顔が見たことない顔してたんですよ。
平川:自分としても走り切ってやり切った感じがありました。自分の出番が終わってから最後に3時間くらい時間がありましたが、その3時間がすごく長くて、何したらいいか分からない。自分は何もできないのでレースも観たくない。そこでちょっと耐える時間が多かった。ギリギリのところでチャンピオンシップを失った経験もありましたし、いろんな記憶が蘇って、チェッカーを受けるまではどちらかと言うとドキドキしてて、チェッカーを受けた瞬間、リリースされたような感じ。すごい疲れもありますよね、尋常じゃない疲れ。
北川:24時間レースならではの苦労を教えてください。
小林可夢偉選手兼チーム代表
小林:たぶん聞く人を間違ってますね。僕は年がら年中24時間レースみたいなもんなんで。生活が耐久レース向きなんですよ。みんな僕とどっか行くとついて来れない。たぶん、僕は人より2倍くらいエネルギーがあるんですよ。だから24時間レースをしても意外に普通なんですよね。
北川:一般的にはレースは昼に行われるものですが、夜の戦いに向けてトレーニングしたり、特別な準備をしたりすることはありますか?
平川:夜はあまり苦労しないというか、シーズンオフにチームとしても耐久テストをやって、夜走る機会は結構あります。ル・マンはすごい灯りがあって、あまり夜っていう感覚はないですが、耐久テストだともっと暗い(状態の中で走る)。夜よりも次の日の朝・昼くらいの方が、疲れが出てくるような感じがして、自分に鞭を打って走らせるような感じです。
小林:どういう鞭を打つの?
平川:脚を叩いたり、自分に打撃を与えるとアドレナリンが出る。絶対にミスをおかしてはいけないけど、高次元で走らなきゃいけないので、その集中力と体力は、すごいところを要求される。少しのミスもしないように、できる限り集中力を高めることがすごい大変だと、去年戦ってみて思いましたね。
北川:一般の公道とサーキットが合わさる特殊なコースについての印象は?
小林:特殊なんですけど、昔のル・マンに比べると、おそらく路面は綺麗になっています。公道は日頃サーキットとして使ってないから、レースをすればするほどグリップがバンバン上がっていく。最後のスティントに乗ると「こんなにグリップするの?」っていうくらいグリップする。最初のサラサラ感から、レース終わり頃のグリップの違いにびっくりする。だから意外に僕は最後の方に乗っても楽しんでる。「こんなにグリップするんだったらもっといけるじゃん」みたいな。
北川:長いサルト・サーキットの攻略ポイントは?
TOYOTA GAZOO Racing 小林可夢偉選手兼チーム代表・平川亮選手
小林:集中してたら長いもくそもないですよ。1周が長いとかはあまり感じない。ル・マンの1スティンは13周で、普通は30何周するんで、そっちの方が飽きます。ル・マンの13周って結構あっという間なんですよ。全然楽しい。「もう終わりなん?」みたいな、そういう感じです。
平川:前回(第2戦)のポルティマオ(6時間レース)とか、1スティント37周して、ダブルで74周するんですけど、長いですね......。
小林:みんながル・マンに帰っていくのは、楽しいからです。楽しくないと誰も帰らない。ル・マンって、プロだけじゃなくて、趣味でやっているアマチュアの人もいますが、彼らは楽しいからあそこに戻る。苦しくてもあそこに戻りたいなとみんなが思うから、100周年という歴史が続いているんじゃないかなと思う。逆に、ミッキーマウス・サーキット(ハンガロリンク・サーキット)みたいなサーキットで24時間やれと言われたら、みんなしんどくて「俺、いいかな」って思うと思うんですよ。そうすると、そもそも歴史が続かないんですよ。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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