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モーター スポーツ コラム 2023年6月2日

ドゥカティお膝元での戦いでライバルの逆襲は? | FIM スーパーバイク世界選手権2023 第5戦 ミサノ プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)

アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)

市販スポーツバイクレースの最高峰「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」の第5戦がイタリアのミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリで開催されます。エミリア=ロマーニャラウンドとして開催される第5戦・ミサノですが、同州は洪水の影響で先日、F1が中止になったばかり。ミサノはアドリア海近くの海側にあり、レース開催には影響がないようです。今回は6月2日(金)〜4日(日)に開催される第5戦のレースプレビューをお届けしましょう。

ミサノといえばボローニャに本社を持つイタリアンバイクメーカー、ドゥカティのお膝元。近年はMotoGPやWSBKで日本メーカーを完全に駆逐し、凄まじい勢いでそのブランドイメージを向上させています。

今季のWSBKでドゥカティは12レース中11勝をマークし、その11勝全てをアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)が獲得する圧勝ぶりです。彼が同選手権に参戦し始めた2019年の勢いを感じさせますが、その年は第5戦イモラから連勝街道が止まり、最終的にはジョナサン・レイ(カワサキ)に逆転される結果になったのです。イモラはドゥカティ本社のボローニャにさらに近い場所。ホームレースから調子を崩していったというのが2019年でした。

その二の舞は避けたいところですが、当時は新車として登場したドゥカティ・パニガーレV4Rに対する性能調整が序盤の4戦で緩く、有利な状況ではありました。当時はレブリミットの回転数が成績によってドラスティックに変更されていましたから、新車特有の規制の無さで勝利していた部分はあります。しかし、今はマシンの熟成が進んだ部分もあり、ドゥカティ以外のライバル達がWSBKに特化したモディファイされたモデルを持ち込んでも、そう簡単にドゥカティに太刀打ちできない状況になっています。

今回もドゥカティの強さは変わらないでしょう。ランキング首位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)=236点、ランキング2位のトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)=167点、この両者には既に69点もの差がついており、追い付くのはかなり至難の業となっています。

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SBK #1バウティスタ圧勝!【ハイライト】FIM スーパーバイク世界選手権2023_第4戦 _カタルーニャ・サーキット(スペイン) RACE1、SuperPole&RACE2 レースハイライト

そんな中、来季に向けて気になるニュースが入ってきました。MotoGP転向も噂されていたトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)がBMWへの移籍を発表したのです。新しい変化を求めて、ということですが、今季のベストリザルトが6位と苦戦し、5メーカー中ランキング最下位となっているBMWへの移籍は驚きました。

MotoGPのシートを得る可能性が無くなりヤマハと決別というのは分かりますが、BMWに加わるというのは予想外でしたね。もちろん今季はヤマハのライダーですからラズガットリオグルはプロとして勝利を狙っていくことにはなりますが、一方でヤマハはアンドレア・ロカテッリ(ヤマハ)との契約を2年延長すると発表。今季5回の表彰台を獲得し、ステディな走りでポイントを勝ち取っていくロカテッリに高評価が出されたということになります。チームの力の入り方が変化してくる可能性もありますね。

そして、今季まだ1勝もできていないカワサキは鈴鹿8耐への不参加を表明しました。ジョナサン・レイ(カワサキ)、アレックス・ロウズ(カワサキ)を起用し、ギム・ロダ監督が指揮し、特に昨年はメカニックもスーパーバイク世界選手権のメンバーで戦うという体制での鈴鹿8耐挑戦でした。

ただ、ホンダワークスの速さには歯が立たず、大きな差を付けられての敗北。今年の不参加はメーカーワークスチームであるだけにかなり早い段階から決断されていたと考えられます。かつてのように圧勝とは行かなくなったWSBKのワークス活動の立て直しを最優先とし、後半戦の逆襲に向けてカワサキは準備を進めていくことになります。

一方でホンダは鈴鹿8耐にTeam HRCとして今年もワークス体制でエントリー予定。ライダーラインナップはまだ発表になってはいませんが、今年の鈴鹿8耐もMotoGPと日程が被っているため、昨年も走ったイケル・レクオーナ(ホンダ)らが起用される可能性が高いと見られています。ミサノでのテストでも新パーツを試したり、ワークスとしてホンダCBR1000RR−Rの強化を図るホンダはWSBKでも今後注目したい存在です。

FIM スーパーバイク世界選手権2023

FIM スーパーバイク世界選手権2023

来季以降に向けて様々な動きがありそうなスーパーバイク世界選手権ですが、第5戦・ミサノは昨年もアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)が2勝をマークしており、ドゥカティの地元で圧勝しそうな展開。ライバル陣営としてはここで起死回生の逆転をしておかないと苦しい展開に。

ミサノは鈴鹿8耐を欠場してWSBKに集中するジョナサン・レイ(カワサキ)にとっては彼がマークした118勝の最初の1勝を飾った地。イタリア人ライダーのアンドレア・ロカテッリ(ヤマハ)、アクセル・バサーニ(ドゥカティ)、マイケル・ルーベン・リナルディ(ドゥカティ)らにとっては母国レース。バウティスタ旋風を止めるライダーが現れるか注目しましょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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