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モーター スポーツ コラム 2023年5月19日

2023スーパーフォーミュラ第4戦プレビュー シーズンも中盤戦に突入。鈴鹿でリセットされた勢力図はどう書き換わるのか?

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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3連覇を目指す野尻にとって第4戦は勝負の一戦となる。

開幕戦から白熱したバトルが繰り広げられている2023全日本スーパーフォーミュラ選手権。今週末は九州オートポリスを舞台に、シリーズ第4戦が行われる。

今シーズンは新しい空力パッケージを導入した『SF23』と、サスティナブル素材を一部採用した新しいヨコハマタイヤの登場により、勢力図にも変化が現れるかと思われたが、ここまでの3戦を振り返るとTEAM MUGENと2連覇王者・野尻智紀の強さは安泰の様子。特に開幕大会の富士スピードウェイでは不安要素を感じさせない走りをみせた。そこに新しいチームメイトであるリアム・ローソンが加入したことで、より一層手強い存在になっている印象だ。

加えて、予選では大湯都史樹(TGM Grand Prix)の速さが光り、決勝では後半までピットストップを引っ張る戦略を得意とする宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)と、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が上位争いに食い込むという流れとなっている。

さらに今年は、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)や、山下健太(KONDO RACING)が台頭してきているイメージだが、昨年と比べて勢力図が大きく変わることなく、ここまでの3戦を終えたという印象だ。

しかし、昨シーズンと違うことがあるとすれば……ランキング上位の“ポイント差”だ。

第3戦鈴鹿では、大湯と野尻が接触し2台ともリタイアという結果になった。SUPER GTでコンビを組む2人の“同士討ち”ということで、観ていたファンにとっても大きな衝撃だったことだろう。

ファンに衝撃を与えた第3戦での大湯と野尻のクラッシュ

余談だが、野尻が決勝で0ポイントとなったのは、2020年の最終戦富士以来。ちなみに、この時はトラブルによるリタイアだったのだが、自身のミスで決勝0ポイントとなったのは、2019年第3戦SUGO以来となる。そう考えると、ここ数年の野尻が残した成績が、いかに安定していたのかを物語るデータでもある。

今シーズンも抜群の安定感を見せつつあった野尻。富士での2連戦が終了した時には「今年も野尻の独走劇になるのではないか……」と感じたファンも少なくなかっただろう。ただ、第3戦鈴鹿で決勝0ポイントになった間に、ライバルたちが一気にポイント差を縮めた。2番手の宮田は4ポイント差、3番手のローソンは7ポイント差、4番手の坪井は10ポイント差と、今回の結果次第では逆転でランキング首位に躍り出ることができる範囲内にいる。

そういう意味で、今回の第4戦オートポリスから始まる中盤戦は、チャンピオン争いを占う上でも目が離せない期間となる。実際に昨シーズンも野尻が着々と表彰台圏内を守ってリードを広げていったのも、この中盤戦だ。今シーズンは横一線となっている中で、誰が最初に抜け出すか。ここが今週末の見どころとなるだろう。

もちろん、今回も注目ドライバーを挙げればキリはないのだが、なかでも気になる存在なのが、昨年のオートポリス大会を制した平川。予選では8番手となり優勝の望みは薄いかと思われたが、1周目で3番手まで順位を上げると、ライバルが先にピットストップを済ませる間にペースを上げていき、最終的にはトップに浮上。速さというよりも強さが際立った戦いぶりだった。

平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

今季もレースペースの良さは顕在。課題となっている予選ポジションが改善されれば、手強い存在になること間違いなしだ。

もう1人は、やはり“脅威の新人”リアム・ローソンだ。彼にとっては初めてのオートポリスとなるのだが、思えば4月の開幕戦富士も、初めての富士スピードウェイ実走行が公式予選という状況の中で、デビューウィンという快挙を成し遂げた。

過去を振り返っても、オートポリスでは外国人ドライバーが優勝を飾っているケースが多く、有名な例では彼の先輩でもあるピエール・ガスリー(2017年)だ。巧みなレース戦略でライバルを圧倒し、トップチェッカー。その後にF1のレギュラーシートを掴むことになるのだが、このオートポリスでの勝利が“決め手”になったと言っても過言ではない。

早くもF1昇格の噂が出ているローソン。ここで優勝できれば、チャンピオン争いでも優位に立てるだけに、彼にとっては初経験のコースではあるが、同時に勝負の1戦となるだろう。

そして、何だかんだと言っても目が離せないのが、野尻だ。前回のリタイアで積み上げてきた流れがリセットされたような感じを受けるが、それが悪い方向に行こうとしているわけではない。一度リセットされたものを、2連覇王者がどのようにして積み上げていくのか。非常に楽しみなところではある。

このほかにも、前回のリベンジに燃える大湯や、初優勝で勢いに乗る宮田。2戦連続で2位表彰台を獲得している坪井など、やはり注目ドライバーを挙げればキリがない。

いずれにしても、スーパーフォーミュラでチャンピオンを獲得するためには、1戦1戦の積み重ねが大事になってくる。九州の地で、どのドライバーが“新たな流れ”を手繰り寄せるのか……。観る側も、ついつい応援の手に力が入ってしまうような白熱のバトルが、今週も始まろうとしている。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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