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モーター スポーツ コラム 2023年4月20日

いよいよ岡谷雄太と阿部真生騎がデビュー | FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第3戦 アッセン

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIM スーパースポーツ世界選手権2023

FIM スーパースポーツ世界選手権2023

スーパーバイク世界選手権に帯同する第2のシリーズ「FIMスーパースポーツ世界選手権」。今季はメインレースのスーパーバイク以上に注目を集めそうです。いよいよ第3戦アッセン(オランダ)から2人の日本人ライダー、岡谷雄太(カワサキ)、阿部真生騎(ヤマハ)が参戦するヨーロッパラウンドがスタート。今回は4月21日(金)〜23日(日)にオランダのTTサーキット・アッセンで開催される第3戦のプレビューをお届けしましょう。

さて、開幕から2戦はオーストラリア、インドネシアと転戦するフライアウェイ戦で開催された「FIMスーパースポーツ世界選手権」。ここから秋まで続くヨーロッパでのレースは「WorldSSP Challeng」というヨーロッパ戦限定クラスが混走する形となり、クラス優勝を争っていくことになります。

ここに参戦するのが今季から「FIMスーパースポーツ世界選手権」にデビューする岡谷雄太(カワサキ)と阿部真生騎(ヤマハ)です。

岡谷雄太(カワサキ)は昨年まで第3のシリーズである「FIMスーパースポーツ300世界選手権」に参戦。国内時代から得意とする小排気量マシンのクラスで走り、トータル4シーズンで優勝2回、合計9回の表彰台を獲得。今季はカワサキの600ccマシン、カワサキZX−6Rに乗っていよいよ「FIMスーパースポーツ世界選手権」に初挑戦します。

岡谷が何の後ろ盾もない中で単身ヨーロッパに乗り込んだのは2019年のこと。当時19歳だった彼は全日本ロードレースで優勝するなど、国内でのキャリア形成の道もあったはずです。しかし、海外思考が強く、日本人が誰も参戦していなかったスーパースポーツ300に参戦したのです。最初は苦労の連続。デビュー年は屈辱の予選落ちが続いた時期もありました。

徐々にヨーロッパのレースに慣れ始め、2年目からは日本人初のポールポジションを獲得するなど活躍。彼の活躍によって、ついに日本でもスーパースポーツ300がJ SPORTSで中継されるようになったのです。

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【ハイライト】FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第2戦 決勝 全2レース マンダリカ(インドネシア) SSP600クラス

その活躍が注目され、昨年は25倍の排気量となる1000ccマシンに乗り、鈴鹿8耐に初出場。Kawasaki Plaza Racing Teamから参戦し、なんとクラス優勝を成し遂げました。

近年は彼のような海外思考の強い若手ライダーが増えつつあります。MIE Racing森脇緑代表の勧めに後押しされたとはいえ、岡谷にとってコロナ禍になってもヨーロッパに留まり、挑戦を続けたことは岡谷のキャリアを大きく前進させたと言えるでしょう。

岡谷は今季、「Prodina Kawasaki Racing WSSP」からカワサキZX−6Rでの参戦。昨年は最高位8位を記録したチームで、まずは「FIMスーパースポーツ世界選手権」について学ぶシーズンになるかと思いますが、初戦からガンガン行って欲しいものですね。

そして、もう一人、阿部真生騎(ヤマハ)が「VFT Racing Yamaha」から参戦します。阿部真生騎は伝説のライダー、ノリックこと阿部典史さんの息子として知られ、典史さんと同じく祖父で元オートレーサーの阿部光雄さんから指導を受けて全日本ロードレースST600を戦ってきました。

昨年、バレンティーノ・ロッシが主宰する「VR46ライダーズアカデミー」を受講して経験を積んだ阿部真生騎。ロッシは父、典史さんの走りに憧れ、自らを「ロッシフミ」と呼んで欲しいと言ったほど。亡き父の代わりにレースの帝王学を教えてくれる偉大な存在が阿部真生騎にはいるというわけです。

とはいえ、阿部にとってヨーロッパでは初レース。コースの習熟を含めて立ちはだかるハードルは非常に高いものになるかもしれません。しかし、フル参戦するチームメイトのニコラス・スピネリ(ヤマハ)がいきなり2位表彰台を獲得するなどチーム体制はかなり恵まれていると言えますから、阿部が急激に秘めた実力を示すタイミングがやってくるかもしれません。

MotoGP、スーパーバイク世界選手権と同様にイタリアのドゥカティが強さを見せている「FIMスーパースポーツ世界選手権」でカワサキとヤマハに乗る2人の日本人ライダー達がどんな走りを見せるか、今季は非常に楽しみなシーズンになりそうです。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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