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国内トップフォーミュラは今年で“50年目”を迎える。
いよいよ4月8日・9日に開幕を迎える2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。国内トップフォーミュラ50周年を迎え、新たな要素が続々と導入されており、これまでといは違ったシーズンとなりそうだ。
スーパーフォーミュラでは、喫緊の課題となっているカーボンニュートラル化など、サステナブルな社会を実現するための長期プロジェクト『SF NEXT50』を立ち上げ、さまざまなコンテンツの開発を行ってきた。昨シーズンは、その開発を進めてきたが、今年はついに開幕戦から新コンテンツが続々と導入される。
■新型車両・タイヤが2023スーパーフォーミュラを面白くする?
昨シーズン綿密なテストが繰り返されたSF23。
まず、話題となっているのが、車両の変更だ。昨年までのSF19をベースに、よりエキサイティングなレースを生み出すべく、ダウンフォース(マシンを地面に押さえつける力)の発生量などを見直し。開発テストでは幾度となく接近戦を想定したテストが繰り返され、後続車が受ける影響などのデータが集められた。
それを元に製作されたものが『SF23』だ。車体の根幹となるモノコックはSF19から変わっていないが、前後のウイングや車体の下面など、ダウンフォースに大きく変わるパーツの形状が一新された。
さらに車体の一部には、麻を用いた素材で作られたボディカウルが採用され、車体に使用するカーボンを減らす役割を担っている。
タイヤについても、昨年のものとは異なり、再生可能原料を使用した新しいスペックのタイヤを導入するなど、カーボンニュートラル化への動きも進められている。
3月に行われた鈴鹿サーキットでの公式テストを見る限り、この新しい車両とタイヤの特性をどこまで理解し、速さを見出していけるかが、今シーズンを戦う上での重要なポイントとなりそうだ。
実際にテストでは、2連覇王者の野尻智紀(TEAM MUGEN)をはじめ、昨年の上位ランカーたちは少々苦戦していた模様。逆にSF19時代はなかなか結果を残せなかったというチームやドライバーが上位進出のきっかけを掴みつつあるような感じだった。
関係者の間でも「今年は勢力図に変化がありそう」と予想している人がほとんどで、昨年とは違った顔ぶれでトップ争いが繰り広げられることも十分に考えられそうだ。
とはいっても、鈴鹿公式テストでは1秒以内に10台以上のマシンがひしめく僅差の結果となった。まだ各チームともSF23の速く走らせるために試行錯誤をしている段階ではあるのだが、今年も予選の上位3台に対してポイントが付与(詳細は後述)されるため、おそらく開幕大会から0.001秒を争う手に汗握るタイムアタック合戦が繰り広げられるだろう。
■今年も存在する“2レース制”で、どうポイントを稼ぐか
昨シーズン圧巻の走りを見せた野尻智紀。
そんな2023シーズンだが、全7大会9戦というスケジュールで開催される。通常なら土曜日に公式予選を行い、日曜日に決勝レースが行われるのだが、開幕大会となる富士スピードウェイ(4/8〜4/9)と最終大会の鈴鹿サーキット(10/28〜10/29)では、土曜・日曜それぞれで予選と決勝を行う“2レース制”が導入される。
この2大会でうまくパフォーマンスを引き出し、2戦とも力強い戦いができれば、大量得点ができるチャンスとなるのだが、逆に調子を崩してしまえば、失ってしまうポイントも大きくなる。今年も早速、4月の開幕大会が2レース制となるため、シーズンの行方を占う上でも見逃せない“2レース”となりそうだ。
<改めて、スーパーフォーミュラのポイントシステムをおさらい>
・予選(上位3台にポイント付与)
1位=3ポイント
2位=2ポイント
3位=1ポイント
・決勝(上位10台にポイント付与)
1位:20ポイント
2位:15ポイント
3位:11ポイント
4位:8ポイント
5位:6ポイント
6位:5ポイント
7位:4ポイント
8位:3ポイント
9位:2ポイント
10位:1ポイント
ドライバーズランキングは各個人が獲得したポイントとなるが、チームランキングに関しては、そのチームの車両が獲得した合計ポイントで競われる。
※なお、チームランキングでは予選ポイントは加算されない。
昨年は野尻智紀とTEAM MUGENが圧巻の走りをみせ、最終戦を待たずに両部門のチャンピオンが決まったが、今年はどんなシーズンになり、誰がチャンピオン争いに名乗りを上げるのか。開幕戦から目が離せないところだ。
■スーパーフォーミュラ恒例の『オーバーテイクシステム』が、一部運用変更
OTSの運用変更でドライバー同士の駆け引きが激しくなる。
そして、スーパーフォーミュラではレース中のオーバーテイク(追い抜き)を促進するために、2009年から『オーバーテイクシステム(OTS)』というものが導入されている。ステアリング(ハンドル)についているスイッチで発動させると、出力が約50~60馬力アップするようになり、前を走るマシンに並びかけるチャンスが生まれやすくなるというものだ。
導入当初は20秒間×5回をレース中に使用できるなど回数が決まっていたが、現在は1人あたり200秒間を自由に使い分けることができる。ただし、一度発動を終えるとインターバル(使用制限)の時間が設けられ、その間はOTSが使えない。
これまでは全コース統一で100秒とインターバルが決められていたが、2023年からサーキットによってインターバル時間が変更になることが発表された。具体的には以下の通りだ。
富士スピードウェイ(Rd.1、Rd.2、Rd.6)=120秒
鈴鹿サーキット(Rd.3、Rd.8、Rd.9)=100秒
オートポリス(Rd.4)=100秒
スポーツランドSUGO(Rd.5)=110秒
モビリティリゾートもてぎ(Rd.7)=120秒
また、これまではドライバーコックピットの上部にLEDライトが装着され、発動時は点滅していたが、こちらも2023年から変更となり、OTS発動時は点滅しないことになった。発動するタイミングが外観で判断しづらくなったが、その分ドライバー同士の駆け引きもがより激しいものになっていきそうだ。
なお、OTSの使用状況については、今年から本格的にサービスが始まるスーパーフォーミュラの新デジタルプラットフォーム『SFgo』で有料会員登録をすると、レース中に確認することができる。
このほかにもSFgoでは、全車のオンボード映像やアクセル・ブレーキ・エンジン回転数などのテレメトリー情報が見られるほか、ドライバーの無線も聴くことができる。是非とも、開幕前にチェックしておきたいところだ。
昨年、一昨年と野尻智紀が圧倒的な強さをみせ、2年連続でシリーズチャンピオンを獲得した。もし、3年連続でチャンピオンを獲得すれば、TCS NAKAJIMA RACING総監督の中嶋悟氏以来、国内トップフォーミュラでは史上2人目の快挙となる。
ただ、野尻の快進撃を阻止するべく、今年も多数のライバルが虎視眈々と準備を進めているほか、レッドブルジュニアドライバーで、F1のレッドブル&アルファタウリのリザーブドライバーも務めるリアム・ローソンをはじめ、久しぶりに海外ドライバーも複数人フル参戦し、3連覇を目指す彼にとっては手強いライバルの多い1年となりそうだ。
野尻が3年連続日本一という偉業を成し遂げるのか、それとも新たなヒーローが誕生するのか…。1戦たりとも見逃せないシーズンが、まもなくスタートする。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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