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モーター スポーツ コラム 2023年3月23日

TGR 7分の1勝~WEC開幕戦~

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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群雄割拠となった今年のハイパーカークラス。

昨年に引き続き、世界耐久選手権(WEC)の開幕戦の解説の仕事をいただきました。アメリカのフロリダ州セブリングでの1000マイル(8時間)レースで今年のWECシリーズが始まりました。
13時間の時差があるので、久しぶりの徹夜仕事です。
フロリダといえば、World Baseball Classicの準決勝と決勝の地。最強といわれる日本代表がアメリカに乗り込み、見事に優勝(この原稿を書いている時に勝ちました)。

WECでは、ハイパーカーが一気に増えましたが、最強のTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は勝って当然と目されているけれど、レースは終わってみなければわからない。トリッキーなサーキットとして知られているセブリング。今年からタイヤのウォーマーが使用禁止されているため、コールドタイヤでピットアウトした時のマシンコントロールが一つの不安要素だった。
しかし、ハイパーカークラスへタイヤを供給しているミシュランは、新たなコンパウンドを開発し、温まりが早く、ロングランのグリップ性能が安定しているという。天候にも恵まれて、スタートからゴールまでドライコンディションとなって、特にタイヤに関するトラブルは、デブリを踏んでしまってパンクしたこと以外は、これといってなかった。コールドタイヤでピットアウトするライバル車両、他のクラスの車両にも要注意。レース途中で電話にてコメントをもらった平川亮選手は「何度かヒヤッとすることがあった」と言っていた。TGRのチーム代表の小林可夢偉選手もその点には注意していたが、小林、平川選手は、国内でタイヤウォーマーなしのレースの経験があり、その経験がアドバンテージ。クラス違いのマシンのトラフィック処理も含めて国内のSUPER GTやスーパーフォーミュラの経験がWECでも生かされているのでしょう。

ポールポジションこそフェラーリに奪取されてしまったけれど、レースがスタートして周回を重ね、時間が経過するとTGRの2台が1-2体制を築いた。そこからはゴールを目指して周回を重ねる盤石の展開。

開幕戦を見る限り、バランス オブ パフォーマンス(BOP)は、TGRにとって大きな手枷足枷にはなっていなかったようだけれど、第2戦から第4戦までのBOPは第1戦とは異なるので、それがどう影響するか。そして、ハイパーカーのライバル達は、TGRを脅かすまでの熟成に至っていないことが明らかだったけれど、今後、第5戦までは、ヨーロッパのサーキットを転戦するので、そこでのパフォーマンスは完全にアップするだろうと予想される。今年ルマン24時間レース(第4戦)が100回を迎える。TGRには連覇がかかっている。ちょっと気が早いが第5戦の富士6時間への凱旋も期待したい。WECも始まったばかり。セブリングでの1勝はシリーズの7分の1に過ぎない。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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