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勢力図激変のシーズン、ついにヤマハの牙城崩れる | FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第2戦 マンダリカ プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ開幕戦・オーストラリア
6メーカーのスポーツモデルが争う「FIMスーパースポーツ世界選手権」は舞台をインドネシアのマンダリカ・インターナショナルに移し、第2戦が開催されます。今季はシーズン途中から日本人ライダー2人が参戦する予定のスーパースポーツ世界選手権。注目が集まっていた開幕戦オーストラリアのレビューと共に、今回は3月3日(金)〜5日(日)にインドネシア・マンダリカで開催される第2戦のプレビューをお届けしましょう。
レギュレーションの大幅変更から2年目のシーズンを迎えている「スーパースポーツ世界選手権」。王者のドミニク・エガーター、ランキング2位のロレンツォ・バルダッサーリがスーパーバイク世界選手権に昇格したことによって、今季は勢力図が一変することが予想されていました。
とはいえ、今季は新しい顔ぶれがグランプリからも多数参戦することになり、昨年のランキング3位以降のライダーがそのままスライドして優勝争いをするのかどうなのか、興味深いところではありました。
開幕戦・オーストラリアでは昨年まで圧倒的な強さだったヤマハYZF−R6が優勝ならず。代わって優勝を飾ったのは現レギュレーション下で初優勝となったドゥカティ・パニガーレV2でした。ドゥカティのエースライダーであるニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)がレース1、レース2共に優勝を飾ったのです。
レース2ではヤマハのステファノ・マンジー(ヤマハ)とのビッグバトルを展開したニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)。マンジーをオーバーテイクしてレースをリードしていたところで珍事発生。なんとコース上を鳥が横断しているというので赤旗掲示、そのままレース終了となったのです。ペンギンがパレードする観光地としてもおなじみで、自然豊かなフィリップアイランドらしい珍事ですが、レースを赤旗にし、ブレガとドゥカティに2勝目をプレゼントしたのは、ロウバシガンというオーストラリア特有のカモの仲間だそうです。
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【ハイライト】FIM スーパースポーツ世界選手権/SSP600 2023 第1戦 フィリップアイランド(オーストラリア) 決勝レース2(コースに〇〇が侵入でレッドフラッグ!)
スーパーバイク世界選手権と並んでドゥカティのパーフェクトウィークとなったフィリップアイランドのレースでしたが、今季は大混戦になりそうな雲行きです。
ドミニク・エガーターのチャンピオンリソースを受け継いだ「Ten Kate Racing Yamaha」のステファノ・マンジー(ヤマハ)は優勝できなかったものの、ヤマハの初レースでポールポジションを獲得していますし、決勝レースでもアジャストして優勝するのは時間の問題でしょう。
そして、ヤマハ勢では予想外のライダーが躍進しました。レース1で2位表彰台を獲得したイタリア人ライダーのニコラス・スピネリ(ヤマハ)です。昨年、代役でスーパースポーツ世界選手権にスポット参戦の経験がある彼ですが、イタリア選手権のチャンピオンとしてプライベーターの「VFT Racing Yamaha」から参戦しました。レース2ではマシントラブルでノーポイントとなったものの、グランプリ出身ではない21歳のライダーがいきなり活躍したことは大きなサプライズでした。
ニコラス・スピネリ(ヤマハ)が所属する「VFT Racing Yamaha」は第3戦以降、日本人ライダーの阿部真生騎(ヤマハ)が参戦するチームでもあります。これは強力なチームメイトをターゲットにして走る阿部真生騎の活躍にも大いに期待がかかるというものです。スピネリにとってインドネシアのマンダリカもまた初めてレースをするコースになるはずで、2ラウンド連続の活躍があれば、これまた未来のライジングスターと言えるライダーの登場と言えるでしょう。
レース1の3位表彰台は長年、軽量級のMoto3世界選手権で活躍したジョン・マクフィー(カワサキ)が獲得。グランプリ出身のライダーが流石のレースを見せつけました。Moto3で4度の優勝経験があるマクフィーの速さは今季、レースを動かす存在になっていくでしょう。
そして、更なる驚きは今季から参戦した森脇緑率いる「MIE MS Honda Team」のタラン・マッケンジー(ホンダ)がレース1で5位フィニッシュしたこと。新規参戦であり、新型ホンダCBR600RRも初ながら見事に開幕戦からアジャストしてきた形です。タラン・マッケンジー(ホンダ)はロードレース世界選手権500ccクラスで何度も表彰台経験を持つニール・マッケンジーの息子。2021年に激戦区の英国スーパーバイク選手権でチャンピオンに輝き、昨年はドニントンパークのFIMスーパーバイク選手権にスポット参戦を果たしました。
Moto2で1年戦った経験があり、フィリップアイランドも経験済みとはいえ、スーパースポーツ世界選手権デビュー戦としては驚きの結果。今年はホンダファンも応援する対象ができましたね。
昨年、マンダリカで1勝したニッキー・トゥーリ(トライアンフ)も移籍後初レースでレース1を4位フィニッシュ。新体制でも好調な滑り出しを見せているだけに、マンダリカではいったい誰が頭角を表し、伏兵になっていくのか全く読めない状況です。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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